文書の審査・承認のいろいろ
A氏:「文書」の審査・承認が必要だとすると、ハンコを押す2つの欄が必要だね。私:通常、作成者の欄が追加されて、3つの欄となるね。 しかし、中小企業では、作成から承認まで同一人が行うことが多いから、審査欄を削除して最低、作成・承認の2欄にしている例が多いね。 それでも、2回同じサインをしなくはいけないね。A氏:それでは、「文書」の審査を要求しているISO9001の要求を満たしていないのではないの?私:その場合、マニュアルで、審査は承認者が行うと明記しているね。A氏:俺の元いた会社では、審査欄が2つあって、部長が承認欄に捺印するが、2つの審査欄には課長と次長が捺印していたね。 もっとも次長は、判を押すだけで課長が実際に審査しているのだがね。 作成は係長だね。 これは印だけでなく、実際に作成している。私:君のところは大手企業だから、機能があいまいな次長とか副課長が多いからね。 ある会社で、ISO9001をとるとき、無意味な捺印をやめようとして、「文書」の欄を作成・審査・承認の3つの欄に機能的に統一したことがある。 従来は、ハンコを押す欄が5つくらいあったんだね。 そうしたら、従来、ハンコを押していた副課長がと次長が押す欄がなくなった。 副課長と次長から文句が出たので、3つの欄の欄外に押すようにしたというね。 要するに、これらの人は「俺が見た」という証拠を形式的に残したいだけなんだね。A氏:失礼な言い方かもしれないが、犬の小便みたいだね。 「審査」の中味がないんだね。 それから、作成・審査・承認には日付が必要なのかね。私:通常は日付が必要なので、ハンコでもデータ印といって、日付が入ったものを使うね。 ISO9001の拡大で使用が増えたようだよ。 その「文書」の発効日が必要だからね。 しかし、「文書」によっては、3つの欄の上に年月日を書くものもある。 これに書けば、データ印は不要だが、つい、欄外なので記入を忘れるという弱点があるね。 データ印がおすすめだが、「文書」作成がパソコン化してきたので、よほど、経理的に重要であるような「文書」以外はパソコンの文字入力になってきているので、データ印は「記録」確認には使うが、「文書」には使わなくなっているようだね。A氏:君は「文書」にハンコを押すのを好まないね。私:特に社内用の「文書」にはね。 ISO9001以前から、ある超大手企業では社内用「文書」の承認には承認者の名前のカタカナのトップの文字を書き、この文字を丸で囲んで承認としていたね。 佐藤ならサだけだね。 同姓なら、名前のトップのカタカナを一文字追加するだけだ。 承認で同姓同名というのはあまりないだろうが、あれば、どちらかに二重丸をするんだろうね。A氏:俺の会社では、ISO9001以前は、購買の注文書は工場長が承認印を押すことになっていたけれど、厖大な量なので、工場長は印を秘書の女性に渡し、その女性が機械的に捺印していたね。私:これは「記録」への捺印の話だが、ある中堅企業の社長は叩き上げで、現場をよく知っていたんで、営業マン約200名の週報に全部目を通していたね。 読んだという証拠にこれも赤のサインペンで苗字の一文字をサインしていた。 そして、コメントがあるとその赤ペンで書いていたね。 「文書」の作成・審査・承認や「記録」の確認などにハンコや署名の仕方があり、各社いろいろだが、その会社の知的体力があらわれているね。