このたびの旅~祝梅温泉
車にべバストヒーターを付けることにした。ガソリンタンクに穴を開けるので、できるだけタンクを空にしてほしいという。そこで、以前からの懸案だった祝梅温泉探訪にチャレンジすることにした。この温泉はガイドブックにはもちろん載っていないし、看板もないらしい。大きなボーリングのピンが目印というだけで、はなはだ心許ない。地図だけでたどり着ける人はかなり少数だろう。カーナビのおかげで肉薄できたが、それでも迷った。ブログに載っていた写真を見ていなければたどり着けなかったにちがいない。この時期の北海道は15時をすぎると夕暮れ時になる。13時半に家を出て、15時を過ぎても見つけられなかったので少し焦った。行き方は、とにかく自衛隊の東千歳駐屯地を目指す。そうするとトンネルの手前に高圧線がありそこを左折。しばらく行くとボーリングのピンがあるので、そこを左折するとすぐ着く。犬とネコがいるらしいのだが、この日は人なつっこい犬が出迎えてくれた。何度かの火災のあと、2008年に再建された建物がこれ。建物の東側はこんな風景。玄関に入ると、まるでそこはふつうの民家。ドアを開けると居間のようなところでおばあさんが座っていて店番をしている。入浴料350円を払い、男女別の内風呂へはその居間から行く。まるでどこかの家にもらい湯をしにきたような感じ。浴槽は小さめの銭湯くらいの大きさ。薄茶色の、モール泉系のお湯と思われるが、これがなめらかでぬめりがあり、温まる。20度くらいの冷泉を薪で加熱しているそうで、地元の常連によれば、それがお湯の柔らかさの原因だという。冷泉をそのままペットボトルに入れて持ち帰る人は多いらしい。塩分はまったく感じないので、飲んだり炊飯に使う。化粧水がわりになるので毎日ぬっているという人もいた。このお風呂の部分は外から見るとこうなっている。お風呂からはこんな景色が見える。温泉にやたら詳しい男性としばし歓談。60代なかばくらいにしか見えないのに73歳のこと。温泉ジャーナリストかと思うくらい詳しいが地元の人。温泉が好きで全国を旅しては温泉に入っているらしい。彼のナンバーワンは草津だそう。脱衣場で苫小牧から来た50歳くらいの男性と歓談。渓流釣りをやる人で、彼のおすすめは岩間温泉と、中標津の旅館「だいいち」。ほかにいいところは?と根堀葉堀訊こうとしたら、「祝梅ですよ」と爽やかに言い残して帰っていった。こういう、人との触れあいが楽しい。こういう楽しさを知ってしまうと、あいさつもなく目をかわすこともしない客がほとんどの、ふつうの温泉には行く気がしなくなる。受付におばあさんがいるのもほっとする。農産物も少しだけ売っているので、この日は卵を買って帰った。○○べ温泉、モツタ海浜温泉、そしてこの祝梅温泉。泉質のよさでこの3つをしのぐ温泉はそう多くないと思うが、比較的近くにこんないい温泉があったとは、とんだ灯台下暗しだった。いつまでも汗がひかず困った。