こんな生き方!
テレビで見たある女性の話。確か40代だったと思う。看護師としてバリバリ働いていた数年前に病気で失明,白杖を持たないと歩けない状態になってしまった。その後は家に引きこもる毎日だったけど、ブラインドメイクというのを教わった。目の見えない人は化粧を自分でなかなかうまくできない。そういう人が自分で鏡を見ないでできる化粧法だという。パレットに時計のようにいろんな色が並んでいて時計回りに自分の指で塗っていくと化粧が完成する。それで自信をつけた彼女は表に出るようになる。週に何度か居酒屋で仕事をするようになる。最初は皿洗いから始まって今では接客もこなす。お客さんと話もする。通勤も白杖をついて電車で通う。まだ40代外出が怖いと言っていては一生家に居ることになるから。目が見えない人が一歩を踏み出すのは相当大変だし勇気がいると思う。勇気を出して街に出てみる。それだけでも彼女の勇気に拍手したくなる。かつての看護師の同僚から仕事の話が持ち込まれた。かつて総合病院で働いていた彼女に眼科の看護師さんに目の見えない患者さんの気持ちに寄り添うためにどうしたらいいのか講義してほしいというもの。気持ちに寄り添い、どう手助けをするのがいいのか、どう声がけするのがいいのか。そういうことは実際に目の見えない人でないとわからないことも多い。より良い看護を目指して協力してほしいと頼まれて、彼女は自分にもできること、自分にしかできないことがあると前向きに考えている。病気をして引きこもり状態になってしまった人はきっと大勢いると思う。何かきっかけがあれば何かを始められる。自信を取り戻すことができれば外の世界に踏み出せる。私もかつてはそういう状態を経験したから、彼女の気持ちも理解できる。彼女は今看護師をしていたとき以上に毎日が充実して楽しいという。障害に負けないで立ち向かっていく、彼女のこんな生き方が素敵だ。