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のんびり幸兵衛夢日記

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2012.11.15
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カテゴリ:読書
あすなろ物語」(井上靖)を読みました。
「しろばんば」「夏草冬涛(なつくさふゆなみ)」「北の海」の自伝的小説三部作を読んだ母が、これも読みたいというので買って、昨日から読み、今日午後から叔母が来る予定なので、渡そうと思っています。

今度の主人公の名は、鮎太。洪作と同じく、作者の分身的な存在です。
先に読んだ三部作より創作された部分が多いですが、やはり共通する部分も多くあります。
出来事や人物など具体的な事柄は違っていても、成長するに従い主人公が感じるものは、共通しているところが多いいです。

洪作も鮎太も、特に優れた人物としては描かれていません。
勉強はできたようですが。
でも、周りからは好かれます。
主人公がどれだけ努力したかということを言葉数多く描くこともなく、ただあっさりと勉強した、ぐらいに書いてあるだけ。
また、当時これだけ回り道して人生を送れたのだからお金に困ることもなく身なりもきちんとしていたのだと思いますが、「北の海」の中で、服装には極端に構わずボロを着てめちゃくちゃだったころのことしか触れられていません。

三部作やこの作品の全体に見られるこういった姿勢は、作者の謙虚さが、自分を投影している主人公の努力や絶えずつとめてきたことを、わざとそっけなく書かせているのではないかと思いました。

三部作で、洪作はのんびり、のびのびと田舎で暮らし、素朴に都会への憧れを抱いて成長していきます。
友人も、のん気にやりたい放題の様子でした。
なのに気づけば、右傾化したり、左翼に走ったり。
そういう、世の中の流れには全く関係なく少年時代を送っているようでいて、自然と時局にのまれていく様子が少しだけ描かれていました。

この小説では、もう少し時代が進んで、戦争に突入し、終戦を迎える辺りまでが描かれていますが、やはり主人公の鮎太には思想的に特別なものはなく、ただ自分が成長して何者になるかということを心の中心に据えて、生きていっているようです。
けれども、そういう本人の気持ちとは関係なく、赤紙は二度もやってきて、戦争に巻き込まれるし、新聞記者として書きたくないことも記事にし、職場や自分の周りの人がみんな疲弊しきった状況の中で生きていくことになる様子が描かれています。

この小説は、タイトルが示すように、青春とか、向上心とか、強い意志といったものが描かれていますが、明確に書かれていないからこそ、平和を訴えるものにもなっているような気がしました。





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最終更新日  2012.11.15 15:30:23
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