ようやく梅雨らしい天候が続き、周りの山や畑がしっとりと潤っている。久しぶりに雨上がりの山々に立ち上る霧の風景に、15年前に引っ越してきて初めて見た時の驚きと美しさを思い出した。そんな雨上がりの午後に訪ねてきた年上のドクターが「霧立ち上るみどりの郷ね」と、私の名前(みどり)をもじって言い表し、うっとりと眺めていたことも思い出される。
梅雨だけでなく、先行きの見えないコロナの収束に否が応でも気分は滅入ってくる。果たしてオリンピックは開催されるのだろうか。田舎のばあさんが何かを言ったところで何の解決にもならないが、もうお手上げ状態である。何が何でも開催しようと突っ走っているオリンピック関係者や政治家を見ていると、大丈夫なのかなと思う反面、滑稽にさえ思える。テレビの報道でも、「コロナ感染が収束しないままオリンピックを開催していいのか」と批判していた人が、選抜競技や出場選手のことを慮ってか、あるいは自局の報道権のことを慮ってか、歯切れの悪い基調で伝えるのを見ると大変だなと苦笑してしまう。
それにしてもこの度の新型コロナウイルスの強かさには驚嘆するばかりである。世界中の科学者が必死になって対策を練って防御し、治療薬やワクチンを開発するのをあざ笑うかのように姿を変え、攻撃の手を緩めないどころかその強さは増していくばかりである。まったく手強い相手である。私の感覚だと、これまでよりもっと深刻な状況になっているのではないかとさえ思っている。人と未知のウイルスとの戦いは、これから先も続いていくであろう。
ウイルスに感染して死ぬか、ワクチン接種で死ぬか、あるいは病気や事故で人生が終わるか、「何事もすべては神の思召すままに」。粛々と運命の定めるままにというのが私のいまの心境ではあるが、少しは心が晴れるような出来事があればうれしい。
そういえば今朝いちばんで届いた婿からの贈り物・山形月山の黄色いサクランボ。きれいなクリーム色で、この前送ってくれた佐藤錦というサクランボより甘かった。初物を食べると長生きするというが、長生きはできなくとも珍しくて美味しい食べ物は冥途の土産になる。
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Last updated
2021.06.30 13:10:44