「現実的な、丁寧な暮らし」
自宅用の「パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ」が残り一回二回分になってしまいました。もう、焙煎後時間が経ってますので…最初の頃の鮮烈な香りは弱くなっていますが…その繊細で柔らかな口当たりと上質な甘さ、それらを引き立てる酸のクオリティとキャラクターの素晴らしさがまだまだ生き生きとしています。カッピングだけでなく、このように自分の日常で、リラックスして愉しむと…「パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ」の底知れない素晴らしさをしみじみと感じられます。お店では…毎日「ニカラグア・エンバシー」を淹れて試飲してもらってます。さかもとこーひーに慣れていない方には「飲みやすくて美味しい」って感じで…常連さんは「何これ!美味しい♪」って感動してもらうことが多いです。「ニカラグア・エンバシー」の説明はいつも同じなんですが…ニカラグアで一番標高の高い農園なんです…ニカラグアのメインの産地よりも収穫がひと月かたひと月半も遅いんです…標高が高い分収穫が遅いんで、標高が高い厳しい気候だと、とってもきれいな味わいになりやすいんですが、熟すのが難しいので甘さが乗りにくいんですね…でも、このエンバシーはゆっくりと完熟させたことが分かるような、上質な甘さが素晴らしいと思うんです…暖かいと熟しやすいんですが、一気に熟すんで大味になりやすいんですね…その点、ゆっくりと熟していくと時間をかけて色々な成分ができていくようで、冷めていく中で色々な味わいや香りが感じられて、今僕が一番気に入っているこーひーなんです…まぁ、農園の頂上まで、はぁーはぁーいいながら登った思い出もありますしね…まだ生産量が少ないので、登った人だけしか手にはいらなかったんです…こんな話しを毎日しています。残りあと1週間前後になります。そんなこんなで…さかもとこーひーは開店以来、家庭や幼稚園、小中学校、公民館等へ出張しての「コーヒー教室」をずーっと続けているんですが…このところ、学校や公民館での「こーひーレッスン」が目立って多くなっています。近所の中学校で11月12月1月と三ヶ月連続して頂き…来月は公民館で2回…3月はロータリー倶楽部と…呼ばれています。テーマは…いつも「コーヒーはフルーツだ!」と「丁寧な暮らし」で一緒です。「コーヒーはフルーツだ!」で…農産物としてのコーヒーの話しから入ります。コーヒーって、真空パックだったり、缶に入っていたり、黒い粉だったり、最近はコーヒーバックだったりと…なんかフルーツや農産物としてのイメージが弱いですね。土壌や品種、気候から…フルーツの完熟した美味しさ…その魅力を活かす焙煎、ブレンド…そして日本の恵まれた四季を愉しむさかもとこーひーへとお話ししていきます。そこから、淹れ方のお話しをしながら…3種類のこーひーを飲み…その香りや味わいの違い…お菓子とのフードペアリングを楽しんでもらいます。そんな中…色々と質問にお答えしていくのですが…最近、必ずお話しするのが…豆の挽きについてです。さかもとこーひーの通販では豆でのお届けが80%前後ですので、あまり気にしていなかったのですが…おゆみ野店で近所のお客様とお話しするようになり…よく聞かれるのが…家にミルはあるんだけど面倒なので「粉」で…家のミルよりはお店の高性能なミルのほうが良いでしょうから「粉」にしてください…そんなケースなんです。どうも「手挽きミル」とか「高性能なミル」…そして「淹れる直前に挽かないといけない」…そういった情報が根強く広まっているようです。勿論…それはそれで間違っていないし、理想的なんだと思いますが…それが日常的に難しいとなると…今度は一気に簡便になって「粉」になってしまう落差が気になるんです。さかもとこーひーは、喫茶店でもカフェでも無いビーンズショップですし…マニア向けでも無く…普通のこーひー好きの家庭向けのビーンズショップなんで…日常的な暮らしの中で、無理無く美味しいこーひーを楽しんでもらいたいんです。で…高性能なミル、粗さを調節できるミルは素晴らしいんですが…主婦には高いし…毎回挽くのが面倒なこともあって…まず「安価なプロペラ式ミル」をお勧めしています。「こーひーレッスン」でも、実際にプロペラ式ミルを使って淹れています。(10g当たり、5秒挽いて…5秒毎にミルを軽く振るときれいに挽きが揃います。10gの時は、5秒挽いて軽く振り、もう2秒くらい挽きます。)次に…朝の分は、夜台所の片付けのついでに挽いておくことをお勧めしています。或は…二日分三日分をまとめて挽いて、ジプロック等で冷凍しておくこともお勧めしています。このくらい気軽に考えることをお勧めしているんです。挽くのが面倒だからと「粉」で買うよりも…このほうが遥かに気軽に美味しくこーひーを楽しめると思ってます。どうも…コーヒーは専門店やマニア的なアプローチが目立ったので…固く考えるか、一気に手抜きになってしまうかに極端になっているように感じるんです。しかし…家庭にお届けする段階までは…プロが素材のクオリティや焙煎、ブレンドで完成度を高め…家庭での抽出は気軽に簡単にできることを広めたいと思っているのです。(豆の完成度の低さを、抽出の技術で飲みやすくしてきた歴史を感じます。)コーヒーはプロが淹れないと美味しくならない…そんな空気がまだ濃いように感じるので…さかもとこーひーでは、家庭とおなじ環境にしているんです。浄水器も器具も家庭と同じようにしています。「豆の量は少なく…細挽き…95℃以上の熱いお湯…4分」…これが、さかもとこーひーの基本なんです。専門店の常識とは違うので、コーヒーのキャリアがある人ほど、受け入れてくれませんが…これは、さかもとこーひーの豆が前提なんです…地道に伝えていきたいと思ってます。(細挽きだと粉っぽい?…これもよく聞かれますが…粗挽きのほうが、粒子が舌に当り粉っぽく感じると思います。素材のクオリティが低かったり、焙煎が悪いと、細挽きでは不味くなりますね。)これなら、簡単で、しかも割安に、毎日楽しめると思ってます。そんな…「現実的な、丁寧な暮らし」…を、毎日お勧めしています。「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。