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さくさく堂のシナプスな存在

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2011年05月21日
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カテゴリ:読書のこと
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ちょっと前に娘とタイム・パラドクスの話をしていて、
「そういえばこんな話があるよ」
と例に出したのがこの本のエピソードだった。

家にインターネットの工事の人が入って、
仕事もできず、手持ちぶさたで待っているときに、
なんとなく手に取ったのはたぶんその時話をしたから。

なんか30年前の文庫は、文字が小さいっすよねえ。
そんな苦労を乗り越え、一気読み。

描かれる過去の時代は昭和初期の東京。
作者は大正13年生まれの東京育ちである。
綿密な調査を基に、マニアックに当時の東京を描いているのだが、
そこにリアリティとノスタルジーを感じさせるのは、
作者が少年期に実際に見た風景だからであろう。
粋でお洒落で、関東大震災から復興していく東京がそこにある。

作者が工学部出身ということもあるし、
タイム・トラベルをするのが男性(だけではないが)ということもあって、
着目点が男性的。
戦前の自動車のほうが(スバル360より)かっこいいとか。

   ハドソン系の中級車エセックス・スーパー・シックスは直列六気筒
   七十馬力のエンジンを積み、時速一三〇キロのまま丸一日走行可能。
   しかもガソリン消費量はリッターあたり八ないし一〇キロ


当時のカフェーは今で言うキャバクラに近くて、「肉体美人」のサービスは、マッサージ・サービス、ネッキング・サービス、ポケット・サービス、無抵抗サービスなどがあった、とか。(ちなみに詳細な記述まではない)

蛍光管が発明される前のネオンサインには中間色がなく、赤、青、黄色などの毒々しい色だった、とか。


日頃インタビューでお話を聞く方は、このあたりの年代のことが多い。
まあ、東京在住の方はほとんどいないのだが、
昭和初期の東京の描写として、資料的価値のある作品である。

初読は高校生のときだが、今読むと昭和初期の用語を結構拾えるので、
当時いろいろ読み飛ばしていたことがわかる。
子供に本を薦めるとき、「これはちょっと言葉遣いが難しいかな」
と躊躇してしまうことがあるが、
多少読み飛ばしながらでも読書は堪能できるのだ。
自分が体験しているのに、やっぱり「これはまだ難しいかな」と
つい思ってしまう。これ、直らないだろうか。


肝心のタイム・パラドクスのほうだが、これが鮮やかである。
昭和初期の風俗を描くことにページ数の大半を使っているので、
最後の種明かし、辻褄合わせの部分はちょっと駆け足感があるが、
パズルのピースがあるべき所にカチカチっとはまっていく爽快感がある。
タイム・トラベルをしてきた男と関わったことによって
運命が変わりそうになる人々が実際どうなったか、
という整合性も読後に確認すると面白い。
「でも、なんかよくわかんね-」みたいなもやもやも残しつつ(笑)。
実に見事だ。


数年前は絶版状態でプレミア価格がついていたらしい。
文庫に4000円とか!
最近、書店で平積みになっていて、
「今どき広瀬正かあ?」と不思議に思ったことがあるが、
復刊リクエストの声によって2008年に復刊されたからだったのか。
うれしいことである。

新版は、字も大きい。(笑)





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最終更新日  2011年05月22日 11時38分53秒
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