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さくさく堂のシナプスな存在

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2016年02月01日
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カテゴリ:読書のこと
仕事で、お名前だけちらっと出てきた中西準子さん。
環境リスク学の研究者で、横浜国立大学を経て産総研へ。
「安全・安心」とか「リスク」という概念は
ぼんやりしたまま言葉だけが定着してしまっているので、
もう少しすっきりしたくて、毎日出版文化賞を受賞した『環境リスク学』を読む。

『環境リスク学』は2004年の出版で、
大きく取り上げているのが環境ホルモン(特にダイオキシン)とBSEだ。
ほんの10年前なのに、リスク問題の世の中の関心は
あっと言う間に次の話題に移ってしまうと感じる。
あくまでも2004年段階の知見だと思いつつ読み進めるが、
中西氏のリスクというものに対する一貫した態度が感じられる内容だった。

特にダイオキシンについては、危険性が大きく報道されたその後については、
案外知られていないかもしれない。
私は、「あれ違ったんだよ」ということはちらっちらっと聞こえていたけれど、
一通りの流れがわかって面白かったし、かなり驚いた。

だいたい環境問題に取り組む人の人物像というのは先入観があるが、
中西氏はこう語る。

「私は自分の出す資料からあらゆる思想的な言葉を削ぎ取りました。思想の闘争になれば、いつまでも対立が解けない。出すべきは事実、思想の違いを超えて認めることができる事実、これこそか今の思想的な勢力関係を崩す力をもっている。これが自然科学の強みだ。自分は今それをもっている。私はそう考えました」

でも、リスクというのは将来起こり得る被害を想定するものなので、
確定する事実はものすごく少ない。
それを積み上げていく地道さには驚嘆する。

誰だってリスクはないに越したことはない。
それを、「全くない状態にしたい」と思ってしまうことによる弊害を、
測定値による事実で積み重ねてきた経緯が順々に語られる。

「疑わしいものがあるとき、どうすればいいのか? 「禁止する」と「何もしない」という二分法的な考え方では、これからの環境問題には対処できない、その中間の道を選ぶべきだというのが、私の考え方である。その中間の道とは、リスク評価をし、リスクの大きさとその物質を禁止したときの別のリスクの大きさとを比較しながら対策を立てることである」

「日本は規制値をつくっても、いったんつくると、そのあとの変更ができません。(中略)例えば五年計画で始まって、三年たって明らかにだめだとわかったときになぜ止められないか。(中略)
 だから、自分たちでリスクを計算することは重要です。市民団体も計算してほしい。自分たちでリスクを予測すれば、やたらと批判できないことがわかります。リスクの予測がある範囲でしかできないという問題点も見えてくる。それに、問題点が見えたからといって、未来にこういうことが起きそうだ、ああいうことが起きるかもしれないと、いろいろなリスクを全部取り入れることはできないということもわかるのです。リスク予測を自分たちのものにすることは、責任を持って自分たちで社会を作っていくということにもつながるのです。誰かにやってもらえば済むというものではありません」

ほんのりと市民自治の姿勢に言及していて、興味深い。


この本の1部第1章は、横国の最終講義だ。
インタビュー、聞き書きといったものはつい、
これが語られたときの実際の言葉と、今読んでいる文章との差異を
イメージしながら読んでしまう。

「こういう最終講義の原稿、やれたら幸せだろうなあ」というのと、
「実際やったら、果てしなく時間がかかりそうだなあ」というのと、
両方思いながら読んだ。



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最終更新日  2016年02月01日 10時27分02秒
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