|
カテゴリ:廃校
季節と時刻、空模様とアングルに応じて校舎はその表情を変える。
子供がいなくなって最初の四季がめぐりつつある。降りしきる冬の雨も彼は寡黙に耐えていた。 そして次の朝がきた。あの坂をのぼって子供たちがやってくる。校門に、玄関に「おはよう」の声がひびく。ここ中設楽だけではなく、あらゆる校舎で挨拶の声がよみがえる。 ゴースト化した都会のニュータウンを逃れ帰郷した人、田楽の里の学校を守るためIターンを決めた人、僻村の分校跡で日曜塾をひらく人、廃校巡りの過程でそんな人たちの声を聞けた。 あの人たちの夢はけっしてまぼろしに終わらない。集中と効率化だけが幸福への道ではないと皆が気づいた時、廃校は、ふたたび生きたシンボルとして我々の進むべき道を示すだろう。 ‘あきらけきみ代の大道ふませんとおもいたてたるまなびやぞこれ’――自分は今、母校校歌の歌詞を噛み締める。 奥三河廃校木造校舎編 了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[廃校] カテゴリの最新記事
|
|