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カテゴリ:ペット
つづきですが・・・
私は助手席で,冷たく濡れてぐったりした子猫を私の両手や服でつつんで,必死であたためながら,家路に急ぐ車内にいました。 タオルで身体を拭いていくと,体毛がだんだん乾いてふわふわしてきました。 可愛らしい茶トラです。 顔を覗き込むと,ブルーグレーの瞳に光がありました。 高い声でかすかに鳴いています。 弱々しく,私の指をなめます。。。ありがとう,とでも言うように。 何とか,助けたい!! その一心でした。 そして,もう一度のぞき込んだ次の瞬間, 今度は子猫の眼球は砂のようなもので埋め尽くされていました。 開いたまぶたの隙間は白っぽい砂でいっぱいです。 まぶたを閉じると,はみ出してくる砂。痛いのか,頭を振ります。 帰ったらすぐ,お湯で洗ってあげよう・・・ 自宅に着くと,後部座席で眠るベビちゃんはパパに任せて, 私は泥だらけの子猫を抱いて,洗面所へ直行。 お湯をためて,身体中をあたためながら洗ってやると,何だか気持ち良さそうにしています。 で,顔も洗ってあげようと,洗面所の光の下でその目を見た時,びっくりしました。 まばたきするたびに両眼球を埋め尽くす白っぽい砂は,ひとつひとつが激しくうごめいていました。 ウジだったのです!何百,何千というウジが両目を覆い尽くしていました。。。 よくみると,顔にも身体にも卵が産みつけられています。 死にそうな個体だという認識で,ハエが卵を産みつけたのでしょう。 普段なら,虫の中でも,ゴキブリとウジとサシガメだけは大の苦手な私。 でも,この時は違いました! この可哀想な子を何とかして助けたいという一心で,素手でウジと卵を洗い落としていきました。 けれども多すぎてキリがありません。 動物学者のパパも,・・・これは厳しい,厳しすぎる,と言いました。。。でも,あきらめたくない! こうしているうちにも,ウジに食い破られてしまうかもしれない。 私はあちこちの動物病院に電話をしました。 夜11時過ぎなのでどこも留守電です。すぐに診てほしい,連絡を欲しいと,あちこちに入れました。 幸い,うちの犬猫のかかりつけの先生から返事が! 先生はいま遠方におられるとのことで,救急夜間診療の病院を紹介してもらいました。 ベビちゃんが寝室にいるので,私は残り,パパに子猫を救急に連れて行ってもらいました。 私は祈る思いで洗面所を掃除しながら,真っ青な顔で涙ぐんでいる娘子ちゃんに話しかけました。 「大丈夫?」 「わたし・・・ウジ見たの,生まれて初めてだった・・・。生きながら,ウジに食べられて,死んでいくの? そんなおそろしい・・・。あの子,ウジに食べられて,助からないの?」 ショックを受けている娘子の顔を見て,私は,冷静に思い返すと,恐ろしい光景に接していたんだということに初めて思い当たったのでした。。。 娘子ちゃんのベッドのそばで手を握り合って,生と死について話し合いました。 あんなに悲惨な状態でも,冷えきった状態でも,大きな声で必死に助けを求めてきた,強い子・・・ 「トラ,って呼びたいの」 と,娘子ちゃん。 「じゃあ,・・・コトラにしようか?」 手のひらサイズの,トラ。 強いよ! あんなに冷たい水の中にいて,心も身体も保っていた強さ。。。 それに,私たちがたまたまホタルを見にいったことで,すごいタイミングでギリギリに保護されたという,運の強さ。。。 娘子ちゃんを寝かせた後は,時々寝言のように泣くベビちゃんの相手をしながら,パパとコトラの帰りを待ちました。 ・・・もしかして,これはもう絶望的です,と言われて,連れて帰って来れなかったらどうしよう・・・本当は私も病院へついていきたかった・・・ などと思いながら待ちました。 と,玄関近くで猫の声! よかった!!帰ってきた!! 「きれいになったよ!」 と,パパ。 「念入りに,全部ウジも卵も取ってもらった。殺虫剤もつけた。抗生剤の注射もした。強い子だ。抵抗する元気が出てきたよ。きっと大丈夫でしょうって。」 「ホント!よかった~!!」 ホッとして眠りについてのは朝3時半を回った頃でした。 その後,朝6時頃までは,寝たりおきたりで時々にゃーにゃー鳴いていました。 ところが,朝6時以降は,8時になっても9時になっても,こんこんと眠っています。 午前中に動物病院へ連れて行く予定で, 何度か声かけしてみても,気がつきません。時々ニャーと返事はしても,目はつむったまま。 餌をたべさそうとしても,起きません。 触ってみても,抱いてみても,眠ったままです。。。だんだん心配になってきました。 電話をしてから,大急ぎで病院へ連れて行きました。 横になったまま,寝息を立てて,くた~っとのびています。 「昏睡状態みたいですね。」 と,獣医さん。。。え!?昏睡!? 寝ながら,時々,声かけに返事したりもしているのに,昏睡!?? そんなあ・・・ レントゲンを撮って,採血して・・・ (針を刺されても,眠っている・・・) 結果,血液的には問題はなく,ひどい状態だったにもかかわらず飢餓も脱水もない,肝機能も腎機能も大丈夫, レントゲンでは,肺もきれい。ただ・・・・ 後頭部の頭蓋骨をおそらく損傷しているだろうと言われてしまいました。 脳浮腫も少しあるようにみえるとのこと。 昏睡はそのせいでしょうとのこと。 利尿薬と抗生剤の注射を受けました。 ここ2日ほどが山で,数日以内にカタがつくでしょう,と言われました。。。 ああ,どういう意味・・・・・と,暗い気持ちに。 後頭部のダメージから,尿が出るかどうか,食事もとれるかどうか,分からない。まずは,もし夕方6時までに尿が出るようなら,ひとつめの関門クリア。点滴ができます・・・と言われ,一旦連れて帰りました。 午後からもコトラはひたすら眠り続けました。 尿は出ません。 夕方5時頃,のびをして起き出しました。おおあくび。 ん??本当に昏睡??疲れて寝ていたんじゃあ・・・?? おしっこの出口を,母猫のように触ってやると・・・やった!!出た出た!! それから,初めて四つ足でしっかり立ちました! 夕方6時に再び動物病院へ連れて行くと, 「あれ!起きてる!立ってる!別の猫みたい!!」 と,驚かれ,無事,点滴を受けました。 それでも,今夜が山だと言われ。。。 私がコトラと一緒に寝ることにしました。 私は,ひと晩中,コトラを助けたい,元気にさせたい,その一心で可愛がりました。 コトラは私に甘えて,私と触れ合っていないと夜は眠れませんでした。 そして,何度も餌をねだり,少量ずつ何度もあげているうちに・・・なんと!自分からパクついてくるではありませんか!! 抱っこ,エサ,目薬,トイレ・・・ 朝まで繰り返すうちに, みるみる,目もしっかり焦点が合ってきて,上手に毛づくろいまでして。 そして,朝! しっかりとした可愛らしい表情で,私に,ゴロゴロ,にゃあにゃあ,ぺろぺろ,すりすり・・・ トイレ用の大きめダンボール箱からは,ぴょんっ!とよじ上って出てくる! エサもがつがつ食べる! 見違えるような元気さ! 普通の可愛い活発な子猫になりました 心配していた視力にも問題はないようです。 昏睡??も,あれ以来,一度もありません。 私は,きっと,川に捨てられた地獄の一日に,消耗し切ったために,翌日,やっと安心できた場所でひたすら眠り込んだだけではないかと思えるのです。 私だって,もしもあの状況で夜の10時まで水につかっていたら, まあ,3日は寝込むんじゃないかと思えるのです。 ましてや,たった300グラムの小さな子猫。 生きていたのさえ,不思議なほどです。 私たちとの奇跡の出会いには,運命を感じずにはいられません。 今,たくさん食べて,たくさん甘える,快活なコトラを見て, ああ,うちにまた赤ちゃんが来ちゃったな,家族が増えちゃったよ と,心がワクワクするのでした お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 8, 2009 12:04:20 AM
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