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2005年10月30日
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カテゴリ:日本ミステリ
以前読んだ「れんげ野原のまんなかで」の作者、森谷明子さんの作品です。

第13回・鮎川哲也賞受賞作。

上にさぶらふ御猫(長保元年)/かかやく日の宮(寛弘二年)/雲隠(長和二年‐寛仁四年)

紫式部が探偵役となって、二つの消失事件の謎をときます。ワトスン役は式部に仕える少女、あてき(第二部以降の名前は小少将)です。

第一部「上にさぶらふ御猫」では、帝ご寵愛の猫が、牛車のなかから消え去ってしまった事件や、文箱の中身が消えうせるなど、日常の謎という趣です。
貴族の奥方は無闇に出歩いたりしないものらしく、おてんばな女童のあてきが式部の手足となって活躍します。
あてきが気になる少年と出会うエピソードも微笑ましいものです。
紫式部と夫との温かいふれあいや、娘の風邪を心配する親としての心情も描かれ、雅やかさはあまり感じられないものの、アットホームな感じは昔も今も共通なのかも、と身近に感じられます。

第二部「かかやく日の宮」ではあてきがすっかり大人になっています。それだけの月日が流れたことで、第一部ではまだ少ししか書かれていなかった源氏物語も、十一帖まで書き進められ、多くの人が待ち焦がれる話題の作品になっています。
そしてその中の「かかやく日の宮」と言う章が、確かに存在したのに、世間に流通する前に消失してしまうという事件が起こります。こちらは日常の謎ではなく、歴史上の謎です。これは実際に幻の章であるからです。
ここに千年間の謎が新しい解決を見ることになります。

第三部「雲隠」は短いながら「雲隠」の消失について描かれています。道長と紫式部の会話が印象的で、この場面における紫式部は本当にかっこいいです。


源氏物語といえば、大和和紀さんの漫画「あさきゆめみし」で軽く読んだことがあるくらいですが、そんな私でも理解できるのは、現代的と言ってもいいわかりやすい描き方がされているからでしょうか。

様々な謎が描かれていますが、浮島から人が消失するという本格推理的な謎もあり楽しませてくれました。
そしてそれぞれの謎ときには、さりげなく語られてきたエピソードにも含まれる幾つかの伏線が、うまく生かされているということに気づきます。

最後には物語の中での時の流れに無常さえ感じ、すっかり浸っていた平安時代に別れを告げるのを寂しく思いました。


千年の黙 千年の黙(しじま) : 森谷明子








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最終更新日  2005年10月30日 23時45分17秒
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