テーマ:ミステリはお好き?(1450)
カテゴリ:海外ミステリ
イギリスの田舎町ウィンチャムに大雪が降った次の朝、おかしな足跡が発見されます。 まるでロバが後ろ足だけで歩いたようなその足跡は、まっさらな新雪に覆われた道の真ん中から突然始まっていました。 近所の家を一軒一軒訪れ、あるところでは生垣にとびのり、また塀を通りぬけ、急斜面の屋根の上では円を描いて……。 足跡を辿っていた町の一行は、野原の真ん中に立つ一本のオークの木へ行き着き、大枝からぶら下がった男の死体を発見します。 ひづめの足跡はそこでぷっつりと途切れていました。まるで足跡の主がそこから空へ飛び立ったかのように。 しかも、その木には、昔魔女が縛り首になったという伝説がありました。 作者のノーマン・ベロウはイギリスの推理小説家で、1934年から1957年までの間に20冊の長編ミステリーを発表しましたが、そのどれもが密室殺人や人間消失などの不可能犯罪もの、しかも怪奇趣味です。 そして今回が、本邦初紹介。 またまた不遇な作家さん発見ですが、この方、海外でも再評価の動きがあるらしいので、これからどんどん翻訳されることが期待されます。 この作品の語り手、グレゴリーは、妻に見放され、叔父さんの許に身を寄せるためにこの町にやってきたばかりです。 この叔父はやたら飲ん兵衛で、ほろ酔い加減でシェークスピアを暗唱しているうちはいいけれど、さらに酔いが進むと「青い魔女」を見てしまう始末。 怪奇現象の研究家のミス・フォーブスは、謎のひづめの足跡は1855年イギリスデヴォン州の各地でも発見されたことがあることから、オカルト現象に違いないと主張します。 そんな田舎町の住人たちが野次馬となって、あれこれ自分の説を披露しつつ足跡を追っていく過程が面白く、引きつけられます。 不可能犯罪への興味だけでほとんどの部分を引っ張っていくという、こんな話は初めてでした。 トリック自体がそれほど驚くような物ではなくても……ちょっとだけアンフェアじゃないの?という部分があっても……これでもかというくらいに見せてくれる謎の情景が魅力的だったのでよしとします。 魔王の足跡 : ノーマン・ベロウ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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才能が再評価され、作品が世界に出るというのは嬉しいことですね。
でもできるなら、生きて花実のあるうちに…^^; これからは、発掘する人の才能もキーポイントかも?! (2006年09月08日 01時04分12秒)
あんじぇ(*・∀・)さん、こんにちは!
>才能が再評価され、作品が世界に出るというのは嬉しいことですね。 >でもできるなら、生きて花実のあるうちに…^^; >これからは、発掘する人の才能もキーポイントかも?! 発掘する人の才能……なるほど、そうですね。 さらに、情熱がどれくらいあるかということも、また運命を変えるのでしょうね。 (2006年09月08日 15時32分28秒) |
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