テーマ:ミステリはお好き?(1454)
カテゴリ:海外ミステリ(マ行作家)
面白かったです。何が一番面白かったかというと、七人の女性の生き様です。 結婚してアメリカを離れ、夫ピーターとイギリスで暮らし始めたサリー。 新しい命も授かり穏やかな幸福の中にいた彼女に一通の手紙が届きます。 それは、サリーのおばが夫を殺して自殺したことを知らせる友人からの手紙でした。 ところがサリーにはおばが七人います。 そそっかしい友人はどのおばのことか書いていません。 動揺し不安から眠れなくなったサリーを心配して、ピーターは誰が殺したのかを推理してみせると告げます。 子供の頃両親をなくして一番上のおばに引き取られたサリーは、一緒に暮らしてきたおばたちの思い出を話し始めるのでした。 語られる七人のおばたちの過去はすさまじいものです。 女性の嫌なところが見本市のように次から次へと出てきます。 女の幸せは結婚にあると疑わず、自分の価値観を押し付け世間体第一のクララ、 髪をひっつめにしたさえない女教師テッシー、 恐ろしくわがままな子供をさらに甘やかすバツイチのアグネス、 ついアルコールに頼ってしまうイーディス、 美人だけど男性恐怖症のモリー、 愛が全てで、相手が他人の夫でもかまわないドリス、 甘やかされて育ったため金銭感覚がないジュディ。 ぶつかりあい、憎みあい、不幸な結婚へと突っ走る様子は、彼女たちの誰が殺人者となってもおかしくないと思えます。 七人もおばがいるというのもすごいですが、その描き分けが巧みなので七人を混同することもありません。 私にはわかりませんでしたが、ピーターは見事に夫を殺したおばを言い当てます。 そうだったのか~、とそこでやっと伏線に気づき、やられた、と思うのです。 もちろんミステリーとしても優れた作品でした。 これはちょっと変わった設定のミステリで知られるパット・マガーの2作目の作品です。 私はこれまでに「探偵を捜せ!」だけは読んだ事がありました。 他にも「被害者を捜せ!」、「目撃者を捜せ!」というのもあります。 それを聞いて娘が言いました。「犯人を捜せ!はないの?」 娘よ、犯人を捜すのが一般的なミステリというものなんだよ。 七人のおば : パトリシア・マガー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんばんは。
このシリーズ、創元推理文庫の広告ページで見かけて、ちょっと気になっていました。 (タイトルも設定もおもしろいですものね) しかし、すごいキャラクターのおばさまたちのお話ですね。 みな姉妹ということですよね。 しかし、過去の思い出話で最近の殺人の犯人をあてるというプロット、おもしろそうです。 図書館で探してみようかな? それから、最後の娘さんの発言と、それに対するさみあどさんのコメント、ナイスですっ。 思わず、ふき出してしまいました。 (2006年12月12日 02時30分11秒)
ときあさぎさん、こんにちは!
>このシリーズ、創元推理文庫の広告ページで見かけて、ちょっと気になっていました。 >(タイトルも設定もおもしろいですものね) 斬新な企画を考えた物ですよね。もちろん、内容も面白かったのですが。 >しかし、すごいキャラクターのおばさまたちのお話ですね。 >みな姉妹ということですよね。 父親が再婚しているので母親は違いますが、七人姉妹です。彼女たちの若い頃の様子が重要な手がかりです。 >しかし、過去の思い出話で最近の殺人の犯人をあてるというプロット、おもしろそうです。 >図書館で探してみようかな? ミステリだというのを忘れるくらい彼女たちの生き様に夢中になってしまいました。おすすめです♪ >それから、最後の娘さんの発言と、それに対するさみあどさんのコメント、ナイスですっ。 >思わず、ふき出してしまいました。 誰に似たのかとぼけていますね。実はうちではこんな会話ばかりなんですよ。 (2006年12月12日 19時19分28秒) |
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