三一太福

2006/08/16(水)17:54

谷垣財務相,総裁選へ追い風?

谷垣禎一政調会長(26)

 来月にシンガポールで開催される国際通貨基金(IMF)総会で、アジア各国の発言権を強めるための改革が進展しそうだ。IMFの議決の投票件数に直結する基金への各国の出資額を見直す方針で、中国、韓国などの出資枠の拡大が焦点になっている。日本からは谷垣禎一財務相が出席する予定で、自民党総裁選に向け総会での外交手腕、中韓とのかけひきも注目される。  IMFは、1944年に設立が合意された国連の専門機関で現在、184ヵ国が加盟し、出資総額は約3000億ドル。各国は出資額に応じてIMFが行う融資の実行や、経済・金融面での国際支援策の決定に関する議決の投票権数、理事を送り込む権利を持つ。日本の出資額は、米国に次いで2番目でアジアを代表する立場にある。  今回、各国の出資額の見直しが浮上しているのは、設立当時の経済力などをベースとした現行の出資枠構成と実際の経済状況が大幅にかい離。経済力に比べ、十分な発言力が与えられていないなど国際経済の実態にそぐわないケースが目立ってきたためだ。特に韓国、中国、トルコ、メキシコの4カ国は、最重要の出資枠是正対象国となっているほか、これに次ぐ是正対象の第2グループとしてマレーシア、タイ、シンガポールなどアジアの主要国を含んだ10数ヵ国がリストアップされている。  すでに、今月初めに来日したIMFのラト専務理事は、この出資枠問題で小泉純一郎首相や谷垣財務相と会談。谷垣財務相は、経済力に比べ権限が過小な韓国、中国など4カ国については出資枠・権限を拡大する方向で見直すことを、ラト専務理事と確認した。  ただ、これらの国の出資額拡大で、現状に対し相対的に権限が縮小する国もあることから、総会では見直し案への反発も予想されている。このため、谷垣財務相には、アジアの国が多く含まれる権限拡大要求組と、他の加盟国との調整役が期待されており、日本とアジアの経済連携の強化に向けた重要な布石になる見通しだ。  また、谷垣氏が出資額見直し案のとりまとめに大きく貢献すれば、中韓との関係改善・ホットライン構築構想の糸口につながる可能性もあり、総裁選に向けた存在感をアピールできるか、関心を集めそうだ。

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