2007/05/01(火)14:00
「ジョーシン関係」?
「昨晩、ジョージ、ローラご夫妻に招かれて大変すばらしいひと時を過ごした」。安倍晋三首相は首脳会談後の共同記者会見で、ブッシュ大統領を3回もファーストネームで呼んだ。首相は首脳会談で「シンゾウ」「ジョージ」と呼ぼうと決めたことを、すぐに実践に移した。
「共通の価値観」を強調しながら、すれ違いも目立つ日米関係。両首脳ともに、首相訪米の成功を演出しようという思いが前面に出た。
特に北朝鮮問題で、両首脳は違いをいかに小さく見せるかに腐心した。柔軟路線に転じた米政権と、拉致問題で譲歩できない安倍政権の距離は次第に開いている。
この点で大統領は日本側の期待に応えたと言えるだろう。大統領は「核施設を停止するだけでなく、すべての核計画と核兵器を放棄する」よう北朝鮮に求め、約束が守られなければ「我々はさらに制裁措置を行う能力がある」と表明した。
拉致問題でも昨年4月に横田早紀江さんと面会したことに触れ「胸が張り裂ける思いだった」と振り返った。めぐみさんの写真を執務室に飾ってあるとも付け加えた。さらに「テロ支援国家解除は拉致問題の進展を条件とするのか」との首相の問いには「考慮する」と語った。日本側が望んだ通りの展開だった。
一方、首相は米国のイラク政策を「支援する」と改めて表明。米国が望む集団的自衛権の憲法解釈見直しを検討する有識者懇談会を訪米直前に設置したことも伝えた。
日米の首脳が互いにファーストネームで呼び合う関係は過去にもあった。ロナルド・レーガン元大統領と中曽根康弘元首相の「ロンヤス関係」である。
ジョージ・ブッシュ大統領と安倍晋三首相の場合は「ジョーシン関係」とでも言えようか(笑)。
不思議なのは、小泉純一郎前首相とブッシュ大統領は互いにファーストネームで呼び合わなかったことだ。あれだけ極端に米国に傾斜した外交を展開した小泉前首相なのに。