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カテゴリ:あたくしごと
里帰りするといつも、昔私が使っていた部屋や、私が置き去りにした品々が入った箱などをひっくり返してみたりする。何かを探すわけでもなく、古い物をごそごそ掘り出していると、すっかり忘れていたのような物が発掘されるのである。
で、今日は、私が大学を卒業する頃から使っていた電話機が見つかった。就職活動を始めるにあたって「留守電がついてなきゃね」と購入した代物だった。あの小さいカセットテープがついてるタイプのやつである。 興味半分に電話機に電源に入れて、留守電メッセージの再生ボタンのボタンを押してみたところ… 15年前に留守電に残されたメッセージの数々が残っていた。 今ではほとんど連絡し合うこともなくなった人達の声が次から次へと流れてくる。 私はその場で固まって、テープの両面を一気に聞いてしまった。 大学の友達、ゼミの後輩、幼馴染の友達、就職が決まった会社の人事課の人、その頃大好きでたまらなかった人、そして母。 みんな他愛のない10秒、20秒のメッセージ。 「○○先輩の電話番号知ってたら教えてください。」 「△日はどうしても行けなくなっちゃった、ごめんね。」 「あれー、まだ帰ってないの? 11時ごろまでだったらいいから電話下さい。」 「あしたの集合場所は●●駅の西口ってことでよろしくねー。」 母はやっぱり最多登場である。 「風邪はどうですか。出かけているんだからきっと良くなったのね。薬代のお金、振り込んでおきました。また電話します…。」 15年前のいろんな場面が突然目に浮かんできて、何とも表現し難い感情が込み上げてきたのだった。 若かったな。まだ知らない事がいっぱいあったな…。 留守電の音を聞きつけて、こてつが部屋に走り込んできて、私はいきなり現実に引き戻された。 「だれそれ? Dada(パパ)?」 「ちがうの、これはみんな昔の学校のお友達。」 思えば遠くへ来たもんだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年07月21日 23時30分48秒
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