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カテゴリ:読書
完全にお気に入りの作家となってしまった飯嶋和一氏の『出星前夜』を図書館で借りてきて読んでいます。
『始祖鳥記』、『黄金旅風』、『雷電本紀』そして本作と立て続けに読んでいるので、ちょっと勿体無い気分もありますけれど、どうしても読みたくなってしまう魅力のようなモノが飯嶋氏の作品にはあるように思います。 さて、この『出星前夜』、他の作品同様にフィクションでありながら史実を詳細に取材して執筆されているので、作品中の出来事が全て本当なのではないかと錯覚してしまいそうになるほどです。 江戸時代におこった島原の乱を扱った作品なのですが、読み進めると時の幕府に反抗するキリシタンの反乱というだけの出来事では無かったようだという事を知ることが出来ます。 当地の環境に始まり、天災や疫病など民衆を苦しめる要素は幾つもありましたけれど、何より彼等が苦しめられたのは支配者達の身勝手で横暴な政治体制。 幾ら耐えても先の見えない世界の絶望感は読んでいると本当に痛々しいです。 読んでいて痛々しく感じますし、あまりに悲劇的。 そして史実がベースの物語だけに、その結末も大まかには知っているので、読んでいて楽しいという雰囲気では無いのです。 それでも先を読み進めたいという気分にさせられるのは、果たして著者のテクニックだけなのでしょうか。 自分の中に残酷な物を好む何かが潜んでいるような感じがしてならないのです。 破滅に向かって突き進む作品中の人々を救ってあげる事など出来ず、時には何ともいたたまれなくなるのにも関わらず、先が知りたいと本を読みふけっている自分に何とも言えない気持ちにさせられています。 勿論、全ての物語が明るく楽しい物ばかりではつまらないですし、こういう物語でも良いから読む事で過去の出来事を知るきっかけを作るのも大切なのでしょうね。 今丁度物語の前半まで読み終えたので、このまま最後までしっかり読み進めようと思います。 始祖鳥記 黄金旅風 雷電本紀 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.01.31 16:11:58
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