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カテゴリ:宗教法人税制
宗教法人は、地域の公共の道路や施設を利用することを含めて成り立っている。それらの建設や維持管理に、民間法人は、応分の税負担をしているが、宗教法人は、収益事業をしない限り非課税になっている税目が多い。宗教法人も、社会全体として支えあう制度の一員にならなければ公平感が保てない。 公益のための活動をしている宗教団体は多く、信仰を持つことで救われる人びと、特定の宗教団体の支援で救済される人びともいるが、信仰を持たない人もいる。健康で文化的な生活は、全ての国民が享受すべき権利なので、全ての個人、法人が、応分の負担をして支えあわなければならない。 税法上の優遇措置を受けている団体の中で、全体の公平性を確保する税負担を求めるために、長年議論されてきたのが公益法人制度改革だ。その後に見えてくるのは、宗教法人課税制度見直しで、それも「聖域無き構造改革」に入る。 宗教法人が、所有している土地の非課税面積を減らしたり、固定資産税分を自治体に寄付したりしている例もある。宗教法人に課税できない税があるから、消費税で負担させようとの考え方は、非課税ながら寄付している宗教法人と、寄付していない宗教法人の間に、不公平をもたらす。 極めて厳しい財政状況下で、現在、課税範囲が狭いと言われている宗教法人への課税強化を求める意見が大多数であることも忘れてはならない。宗教に関わる人々からも、その様な声が聞こえ始めている。 日本では、地域、世代、収入による格差がそれぞれ拡大している。宗教の旅路で見てきた宗教団体でも、地域の年齢構成、経済状況、交通の便などの影響による格差がかなり生じている様に見えた。 出来るだけ薄く広く公平に課税するのは当然のことだが、公的部門と社会福祉に掛かる費用は、社会を維持していくのに必要だ。それをどう負担するかは、国民の意見を反映して国会が決めることだ。 公平負担の原則の下に、応分の負担をどの様に分け合い、社会の公正を保つか、国民全体を巻き込みじっくり議論しなければならない。宗教法人課税制度見直しは、無宗教の国民が多いと言われながらも、「宗教への信頼が揺らぐ一方で、宗教へ依存する日本人も多い」という実態を考えて、より議論を深めなければならない時期に来た。 細々とした宗教行事や祭りは、伝統的な文化や仕来りを守り、地域の連帯を保っている。故郷で行われる行事に参加することが、地域の活性化につながり、更に野山の手入れに参加することで、周辺の自然が維持保全されてきた。 消費税が増税されると、故郷を離れている親戚縁者が、氏神様の祭りや先祖供養に帰る時、ガソリン代、交通費、手土産などの費用捻出に苦労する。そうしたことで、帰郷もままならなくなり、年中行事が衰退し、野山が荒れ、地球温暖化や水源不足が起こるのではないか。今でも人口減で、自然が荒廃し、廃墟が増え、商店街が消えつつあるのを、宗教施設を巡る旅路で見かけてきた。 かつて、間伐、枝打ち、下草刈りで山の管理が行き届いていた時は、ミネラルや養分を十分に含んだ水が水路を流れる中で更に豊かさを蓄えて、太陽に暖められ田圃に綺麗な水面を作っていた。その頃は、一反(約九九一・七四平方メートル=約九・九一七四アール)当り、素作り(化学肥料などを入れないで、太陽エネルギー、田圃にある養分と流水で耕作)六俵(三六〇キログラム)と言われてきた。それに近い状態に戻せば、原油高騰時に値上がりした化学肥料などを減らすこともできる。 国民が、それぞれ縁のある地域の祭祀に参加することが、地域の自然を守り、農業と漁業を豊にしている。そのことを考えれば、人の移動が少なくなる可能性のある消費税増税を、大幅に行うことは避けなければならない。それが、国民と宗教法人を含む様々な団体に応分の負担を求める理由の一つだ。宗教関係者は、政治家に選挙で票を出すように見せかけて、課税強化を逃れようとしても、時代の流れが、それを許さないところに来ている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.11.24 00:00:19
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