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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪

楽天カード

2009年06月01日
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いくつかの過去世を見たのちに、トールの意識は現在のルキアの自室に戻った。
まだ俯瞰しただけで、いつかまた深く入ることになる過去世もあるのだろう。けれど今はこれでいいはずだ。

グラディウスと天使時代と、大きなトラウマであった二つの人格を統合して、自分が姿も口調も変わりつつあるだろうことに、彼は気づいていた。
魂の本質はなにも変わりはしないが、三次元の肉体を持たない今の状態では、エネルギー的な変化がすぐに外見などに現れる。それは魔法学校などでもよくあることで、とくに珍しくはない。

いや、トールは元々すべてを知っていたのだ。ただそれを下の本体たちや、記憶を失っていた緑の少女に対して、あえて隠していたにすぎない。
元ツインだから、過去世のどこかで一緒だったからという理由で今そばにいるのではないと、まずそれを伝えたかったから。

封じていた記憶のエネルギーが回復した今、彼の姿は本来のものに戻ったといってよさそうだった。
長くなった銀髪をかきあげて、彼は椅子から立ち上がった。開け放った大きな窓から、陽の光のあふれるバルコニーを見やる。針葉樹のすがすがしい香りが風にのって流れてきた。

そのとき、ドアを開けて緑の少女がやってきた。
彼女もまた、彼が見た過去を同じく追ってきたはずだ。緊張した面持ちの彼女に、トールは元のままの口調で優しく声をかけた。

「何も知らないほうがよかったですか?」

すると少女はほんの少し首をかしげ、じっと彼の青い瞳を見つめた。

なにも知らないとき、ただトールといたとき、彼女はただ楽しかった。彼のことは、なにも理由がなくても大好き、だった。
ずっと忘れていた天使の子のこと、魂の融合のこと、いろいろ過去を知ってしまった今、そのときの関係と微妙に変わってしまった部分というのは、たしかにあるのだろうけれど。

しかしやはり、これは知らなければならなかったのだろう、と彼女は思う。
今生でこのまま知らなかったとしても、いつかまた同じことを繰り返すのだ。
そしてそのとき、それでもうまく会えるかどうか、うまく思い出せるチャンスを得られるかどうか、わからない。

「ううん……これでよかったんだと思うし……」

ベニトアイトの深い青が、今も昔も変わらずに自分をつつんでいるのを感じながら、ゆっくりと少女は続けた。

「知る前と変わらずに……ううん、前よりもっと深い気持ちをもって、愛してると、おもう」

最後は少し早口になる。トールが微笑んだ。
そう、いつだってこの微笑みは、この優しい瞳は自分のそばにあった、と彼女は思った。
なにも知らなかったときも、海のように包んでくれる彼の存在が大好きだった。

けれども思い出した今、どんなに自分が愛されていたか、がよくわかる。
今生初めて会ってからずっと、彼はひとことも過去世について触れなかった。ジャンヌの過去世で一緒にいたことは最初にわかっていたけれど、それでさえ、彼から話題にすることはなかった。
あらゆる面において彼女を支え、協力しながら、彼が言っていたのはいつも同じだ。

私はただ、私のしたいことをしているだけ。
だからあなたも、自由に望みを叶えてください。
私はそれを力のかぎり応援しましょう、と。

穏やかでしかし強靭なその姿勢を、それこそ数億年、数十億年の昔から、天使の子として彼女の魂が生まれたその瞬間から、彼はずっと続けてきたのだ。
なんという揺るぎのない、支え手として絶対的な強さだろう。

フレデリカも同じだ。
彼女は、少女の選択することならすべて受け入れる、と言ってくれる。不良になろうが、優等生だろうが、死のうが生まれようが、少女の意思のもとに行われた事はすべてそれでいいのだと。
肉体レベルで死んでも、帰ってくるだけ。
ロストするレベルは、それは悲しいけれども、彼女がそう選択した結果なら仕方ない。ただ、誰かに無理やりロストさせられそうになった、などは話は別だけど。
本体に対してフレデリカは笑ったそうだ。

「やばい。確かにミカエルに怒られるわ、アタシ。でもまあ、いろいろ口うるさく言ってくれるのはミカエルが居るからいいのよね。アタシはアタシの信じるままにやるだけよ。
好きなものは好きだし。嫌いなものは嫌いだし。それだけね」

これまたなんという、ぶれのない大きな愛であることか。それも放任ではなく、育ての母としてとても細かいケアもしてくれることを少女は知っている。
そしてこの二人には、出会ってから気の遠くなるほど長い間に、一度たりと裏切られたことも、受けとめてもらえなかったこともない。

自分が愛というものを百パーセント信頼していられるのは、きつい転生を重ねながらも見捨てられ不安というものがまったくないのは、ミカエルやラファエルはじめ、彼らのこうした支えが常にあったからなのだろう。

それらは、過去を思い出したからこそ手に入れることができた贈り物だ。
長らくトラウマであったオペのときにも、その後の戦闘にも、他のいくつもの転生にも、当時の自分が孤独だと思い込んでいたときでさえ、なんとたくさんの暖かな手に包まれていたことか。

一連のできごとは、まさしく上からの出版祝いだった。
思い出してよかった、とあらためて少女は思った。



「トール、これからも気持ちは変わらないか?」

少女の口をついて出たのは、いつもの彼女とはまったく違った話し方の声だった。
トールは一瞬目をしばたたき、すぐに事態を理解した。
少女の中に、もっと高次元の存在が入ってきているのだ。

魂というのは、下から上までつながった大きな縦長の存在、ということもできるだろう。
肉体のある三次元から、もっと上も下も、そして他の面も同時に存在している。どこのポイントにアクセスするか、どの一面を切り取るか、でそれぞれ見えるものが違うのだ。
誰だって上をたどれば、天使やマスターたち、高次元の存在にいきつく。

今は少女のもっとずっと上の面……それもおそらく、アエル側の系統のマスターの面が現れているのだろうと思われた。
威厳のある声でその存在は続けた。

「この魂にはルシオラだけではない、私の系統であるアエルの部分もある。それでもやっていく覚悟はあるか?」

「もちろん、永遠に」

トールは即答した。それは一万二千年前、アエルとルシオラの魂が融合したときに心に決めたことだ。いまさら問われるまでもない。

存在は満足そうにうなずき、では、とこれからの話を始めた。
それは、トールが長年希求していた変化の兆し、少女の魂を根本から癒す旅の始まりだった。





















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移行期間中はご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ両方をごらん下さいませm(_ _)m

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ついに現代編です~
せっかく戻ってきたので、またーりいく、つもり(笑)
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最終更新日  2009年06月01日 13時55分35秒
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