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トールも製作に関わったオラクルカードです♪

楽天カード

2009年07月16日
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マリアはゆっくりとステーションを歩いていた。
緑の少女の糸屋に行ってみようと思ったのだ。
彼女は手仕事が好きだったから、織って布にしてもいいし、編んでもいい。糸ならば何にでも使える。
トールも忙しそうだから、自分で行ってみようと思った。

ところがよく考えてみると、彼女はステーションに行ったことがないのだった。
料理や裁縫といったものは昔おぼえてできるのだが、そういえば「お買い物」というものをしたことがない。

道や会計の仕方はトールが知っているから問題はないが、気持ちとしては完全なおのぼりさん状態だ。
のんびり物珍しげにショッピングモールを歩いていると、あちこちから店の主たちに声をかけられた。

「おねえさん、あんたの瞳と同じ色の石、どうだい?」
「この木は鉢植えでもきれいな花を咲かせるんですよ~。いい匂いでしょう?」

べつに買わされたりするわけでもなく、にこにこ見たり話しているだけなのだが、なんだか不思議な感じがする。


もう少しで少女の糸屋だ、というモールの十字路に、小さい噴水のような場所があった。
そこで少し一休みしていると、2歳くらいのちいさな羽の生えた子が、えんえんと泣いていた。どうやら迷子のようだ。

「どうしたの、どこからきたの?」

優しい声で聞くと、その子は上を指差した。
見上げると……高い天井だ。

(天使エリアのどこかから落っこちちゃったのかしら?)

首をかしげて、マリアはその子を抱き上げた。
とりあえず緑の少女に聞いてみようと店に行ってみたが、残念ながら少女は上で会議中だそうだ。
留守番のドラゴンが、天使エリアにはテレポートステーションからいけるよ、と教えてくれた。

子供を抱いてテレポステーションまで行き、真剣な表情で行き先の掲示板をじーっと見る。
天使エリアといっても広いらしく、その中のどこに届ければいいのかがわからない。
緑の少女の下の娘で、保育園のようなものに入っている子がいると聞いたことがあったが、そういうところか、それとも迷子センターのような場所があるのだろうか。

「あなた、何階からきたの?」

「うんあっちー」

抱いている子に聞くと、子供はにっこり笑って天井を指差す。もしかしたら直接飛んでゆけるルートがあるのかもしれないが、あいにくマリアには羽はないのだ。
しばらくそこで悩んでいると、親切な人が受付の位置を教えてくれた。

天使エリアについて、入り口のエネルギー緩衝帯にある受付に子供をつれていく。
預けてすぐ帰ろうとすると、こちらへどうぞ、と誘導され、なぜかあれよあれよという間に、さらに上層階へと連れて行かれてしまった。

ミカエルやラファエル、それにザドキエルやカマエルなど、先日緑の少女が回ったフロアではないかと思われる場所に連れられていくと、たくさんの天使たちが待ち構えていた。

おかえり。ようやく帰ってきたのだな。

口々にそう言われて、ほとんどもみくちゃのようにハグされる。
何が何やらわからず、マリアはしばし呆然としていた。

「おかえり、はトールと緑ちゃんではないの?」

「いやいやおまえもだよ、トールよりおまえのほうが長いのだよ」

涙ぐみながら言われる。
結局その日は糸も買えず、ルキアに戻る暇もなくてステーションのトールの部屋に泊まった。

エリア統括はその場所の結界と物理的に結びつけられるため、改装可能な比較的しっかりとした私室が与えられる。

トールはまだ使っていなかったベッドをマリアに譲り、増える一方の書類をさして肩をすくめて見せた。
技術主任が出勤してこないため、ルーチンの仕事が進まずにデスクワークまで手が回らないのだ。技術のフォローをかねて現場にも行っているし、会議にも出なくてはならない。

そういえば今日はこんな会議があったよ、とトールは笑いながらマリアに語った。



あまり上層部の出席していない、わりあい身近な連中が五人ほどの気楽な会議室。

「だから、こうして、こうすれば……こうでしょ!」

緑の少女が、ホワイトボードをばんばん叩きながら熱弁をふるっている。

「……それ、本当にできると思ってるんですか?」

腕を組んで聞いていたトールが苦笑した。

「できるよ。やる!」

エメラルドの瞳を輝かせて、少女は言い切る。とはいっても、細かいところなどはまだ何も決まっていない、というかまだ単なる構想段階でしかない。
だがたしかに壮大な、心躍る計画ではあった。

話を聞いて、マリアは分身をみつめて微笑んだ。

「それなら細部はあなたとデセルが担当するわけね。たいへんで、楽しみなことね」

ころころと笑う。
少女がやるというのなら、技術面は彼らがどうにかする、多少無理でもしてしまうに違いないのだ。
そういうときのトールとデセルの見事な息の合い方を、マリアはよく知っていた。

「彼が引き受けてくれたら、だけれどね」

無理強いはしたくないが、そうなったら楽しいだろうと思う。
親友への信頼に瞳をきらめかせて、トールは言った。
















*************

>>【銀の月のものがたり】 目次1 ・ 目次 2

>>登場人物紹介(随時更新)



私からみると、マリアってトールのおねいちゃん、って感じです 笑
田舎から出たことなかったおねいちゃんが、弟の彼女がお店出したと聞いて
電車乗りついで路線図くびっぴきで頑張ってみたー、みたいなw


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最終更新日  2009年07月16日 09時43分37秒
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