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2010年06月02日
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「基本的な身の回り品は用意があるから心配は要らない。
この2週間だけは、普段の生活の気分とは切り替えてくれるかな? できるだけ、でいいから」

そう言われて、リフィアはほとんど何も持たずに神殿での潔斎に入った。
訓練というかすでに何かの儀式なのか、そういったものも続いていたが、今までの訓練施設ではなく、巫女達の暮らす住居棟や礼拝堂へと場所を移している。

彼女には女性棟の一室が与えられた。
ベッドと机と小さな鏡台のある個室で、縦長の窓が切ってある。
案内してくれた女修道院長は、一般人の伴侶役を快く思っていないのだろう。穏やかながらどことなく棘のある言い回しで、世話役の巫女を紹介するとさっさと行ってしまった。

「これから2週間、お世話させていただくティラウェリア、ティーラと申します、リフィア様。よろしくお願いいたします」

白い巫女服を着た、ハニーブロンドにすみれ色の瞳の二十歳ほどの女性がにっこり微笑む。その名前にリフィアは聞き覚えがあった。

「ティーラさん……もしかして、エル・フィンさんの?」
「まあ、フィンをご存知なのですか」

ぱっと巫女の顔が輝いた。

「いえ、私は総務にいますけれど、それほどお会いしたことはなくて。アルディアスがお世話になっているようですわ」
「アルディアス様には、こちらこそ何から何までお世話になっていて……。先日の布告の件も、おかげでフィンはこちらに戻ってくることができますもの」
「二年も離れていらしたんですものね。よかったですね」
「ありがとうございます」

リフィアが微笑むと、ティーラはほのかに顔を赤らめた。恋人の話になると、すみれ色の瞳にほんのりと赤みが増して鮮やかな色彩になる。
エル・フィンさんは優しい素敵な恋人なのだろうな、とリフィアは思い、その微笑ましさに古参巫女の前にいたときの緊張が少しやわらいだ。

(ティーラさん、街の若い子より大人びているわね。規律のあるところで過ごしていると違うわ)

アルディアスから聞いたところによると確か二十歳を過ぎたくらいだから、学生の妹とあまり年齢差がないはずだ。
しかし妹はもっと子供っぽいし、ちょっとした言葉や行動が違う。
孤児院で子供達の世話もしているそうだし、可愛らしい顔立ちの中にもしっかりした芯が見て取れた。

それからティーラは日用品や生活についての説明をしてくれたが、鏡台のヘアブラシのところで、リフィアが先日の悪戯のことを話すと目を輝かせた。

「いいなぁ~。大神官様の銀髪、綺麗ですもの。私も三つ編みやってみたい……楽しいでしょうね」
「やっているうちに熱中して止められなくなってしまって……しかもそのまま寝てしまったものだから、癖がとれなくて、部隊の人にはご心配をかけてしまったようなのだけれど」
「それ、わかります。あんなに綺麗な髪ですもの、やりがい、ありますよね」

互いに少し砕けた調子になってリフィアが苦笑すると、見たかったです~とティーラは残念そうな顔をした。

「フィンは髪が短いんですもの。似合うと思うのに」
「エル・フィンさんも綺麗なお顔立ちでいらっしゃるものね」

言いながら、二人にそちら系の噂話があったことを思い出す。二人とも長身の軍人なのだが、それぞれ鑑賞に耐えうる顔立ちをしているから、そういった中傷の噂も流しやすかったのだろう。
もっともそれを聞いたリフィアが当人に伝えたとき、アルディアスは大笑いしていただけだったが。

思えばあの容姿で十五歳から入隊していたのだ。今ですら軍人には見えない柔和さで、まだ体格のでききらない若い頃はさらに中性よりに見えたのだろうから、噂ぐらいは色々とあったのに違いない。
今さら流される噂話程度、なんの痛痒も感じないというところなのだろう。



潔斎の日々は、リフィアにはかなり退屈だった。

最初の頃は、日々が修行の巫女達と一緒に、神紋を模したお守り作りを手伝ったりした。
巫女達が作った形代に、大神官が直接エネルギーを入れて完成するらしい。
だからご利益はありますよ、とティーラは笑い、神殿で授けているお守りにそんな効能が本当にあるとは知らなかったリフィアは、感心して「まだご利益のない」形代を眺めたのだった。

そうした手作業をしたりお祈りに参加したりする一方で、前儀式のようなものも徐々に入り、瞑想のための時間が少しずつ多く設けられてくる。

アルディアスと会えるのは前儀式か訓練などのときか、食事のときくらいだった。
ろくに物のない部屋でひとり瞑想といっても、慣れないリフィアはすぐ飽きてしまう。

あるとき食堂で顔を合わせたアルディアスは、軽い苦笑を浮かべて(退屈かい?)と聞いてきた。

(ええまあ。細かい規則も多くて)
(すまないね。これでも先代と私で、意味のない慣習だけの規則はかなり廃止したんだよ。後は面倒だろうけど、慣れてしまえばそう気になるものでもないから)

そう言ってグラスに口をつけるアルディアスの前の食膳には、まったく手がつけられていない。

「……食べないの?」
「断食中なんだよ。これは神に捧げられるもので、まあ飾りのようなものさ。リンはもたないから、ちゃんと食べたほうがいいよ」
「まあ……」
「大丈夫。水と『ヴェータ(生命の水)』は許されているし、慣れているからね。私のことは気にしないで」

銀髪の男は微笑んだ。
その手のグラスには、とろりとした金色の液体が満たされている。各種の果物や薬草を秘伝の製法で発酵させ、上澄みをとったものなのだそうだ。
発酵の度合いによって、甘いジュース様のものから神酒まで、何段階かあるらしい。

リフィアの膳に添えられているのはほとんどジュースだったが、おそらく彼のものはもう少し度数が高いのだろう。まったく顔にも態度にも出ないから、推測でしかないが。

「断食って、どれくらいするの?」
「潔斎開始から、神事の終わりまで徐々に。本当に食べないのは一週間くらいだよ」
「一週間……」

リフィアにはまったく想像のつかない世界だ。目をぱちくりさせながら食後、棟をわかれて寮に戻ろうとすると、彼女の白い巫女服をちらりと見てアルディアスが囁いた。

(リフィアン、瞑想は退屈だろうけれど、少し長く集中してみると驚く事があるよ)
(驚くこと? なあに?)
(すぐにわかるよ)

なにか含みのある表情をしている。結局アルディアスはそれ以上何も教えてくれず、リフィアは不思議に思いながら部屋に戻って瞑想してみたのだった。

そこで見えたものは。
アルディアスが去年の秋、市街戦の後に神殿で見たものと同じだ。
そしてもうひとつ、アルディアス自身は気づいていない、十代の頃の彼。

神殿に満ちる気を借りてか、どうやら彼女は時間旅行をしたらしい。
あまりにも退屈な時間に、心が遊び歩いてしまったのだろうか。

あるいは彼が辛くひとりぼっちの時に手を差し伸べられたらという彼女の願いを、気まぐれな誰かが叶えてくれたのかもしれなかった。




















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【第二部 陽の雫】 目次



リフィアさんちのお話は、以前にアップされたものですが
ここに繋がってくるのでしたw



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最終更新日  2010年06月02日 11時06分34秒
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