カテゴリ:映画
真っ赤なスポーツカーに乗った女性がバイクに乗った2人組の男に銃撃され死亡した。
彼女の名はヴェロニカ・ゲリン。アイルランド・ダブリンの地元紙の女性記者。 彼女はアイルランドで蔓延する麻薬を撲滅するため、麻薬組織を相手に紙面を通して戦っていた。 志半ばで銃弾に倒れたが、彼女の死により麻薬撲滅の機運が高まり、世の中が変わり始める・・・。 アイルランドの麻薬撲滅に最も貢献した実在の人物の半生を描いた作品。 実在の人物を描いた作品は、主演俳優がその人物をいかに魅力的に演じるかがポイントだが、 主演のケイト・ブランシェットはその要求に見事に応える熱演だった。 ジャーナリストとして麻薬組織の脅しに決して屈せずに立ち向かっていく強い面と、 普通の女性として襲撃の恐怖に怯えながら必死に耐える弱い面を見事に体現している。 ケイト・ブランシェットは「エリザベス」でも主演をはって高評価を得ているが、 どんな役でも役と一体化して抜群の存在感を醸し出す本当に器用で上手い女優だ。 物語もわざとらしい誇張や不自然が展開もなく、きれいにまとまっている。 しかし、麻薬撲滅に命をかけてまで取り組むようになったきっかけの描き方が弱いのために、 今一つ物語に入り込めず、「すごい人だな」と一歩引いた視点でしか観ることができなかった。 ジャーナリストとして強烈に感じ取った”何か”をもっと突っ込んで描いて欲しかった。 ヴェロニカ・ゲリンの活動は、結果的に麻薬撲滅という目的を達成したが、 それを最も強く望んだ本人は見届けることができなかった。改革は常に一歩遅い。 アイルランドを舞台に実在の人物を描いた他の作品としては、 アイルランドの独立運動家の生涯を描いた「マイケル・コリンズ」がある。 主演のリーアム・ニーソンがケイト・ブランシェットに負けない熱演を見せるこの作品もおすすめ。 ■ヴェロニカ・ゲリン おすすめ度(3点満点): お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月24日 01時17分59秒
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