カテゴリ:映画
北海道学院大学のプロレス研究会は、ここのところ盛り上がらない冴えない試合で人気がない。
そんなある日、在学中に司法試験に合格した秀才の五十嵐がなぜか入部してくる。 毎日熱心に練習に励むものの上達しない五十嵐だが、"マリリン仮面"としてデビューを果たす。 ところがそのデビュー戦で段取りを忘れて、ぶっ倒れるまでの全力ファイトを展開してしまう。 実は五十嵐は事故により一度眠ると事故以降の記憶を全て忘れる脳機能障害を抱えていた。 全力ファイトで人気が出たマリリン仮面を潰そうと、学生プロレスチャンピオンが挑戦者に指名する。 プロレス好きにはたまらない熱い作品。おもしろかった! 公開時は軽いコメディのように紹介されていたが、意外にも本格的なドラマで驚いた。 学生プロレスが題材なので当然コミカルな部分はあるが、あくまでエッセンス。 新しいことを記憶できない五十嵐の苦悩が、背景や環境を含めて実に丁寧に描かれている。 写真やメモでその事実があったことをいくら記録しても、自分の記憶として残ることはない。 もしかしたらそんな事実はなかったんじゃないかという不安や恐怖は拭い去ることができない。 さらに、男手一つで育ててくれた父親の期待を裏切ってしまった後ろめたさも重なる。 永遠に昨日と変わらない絶望的な日常の中で唯一見つけた希望が”学生プロレス”。 この辺りの心情を誤魔化さすじっくりと描いているからこそ、プロレスシーンが生きてくる。 役者達が吹替えなしで挑んでいる終盤のチャンピオンとのタッグマッチの面白さは絶品! 監督は絶対にプロレス大好きだ。でないと、あんなにツボを突いたプロレスシーンは撮れない。 それまでの数々の伏線をプロレスの試合だけで回収する展開は、まるで「ロッキー」だ。 そして、この手の映画のお約束であり醍醐味でもある興奮と感動をたっぷりと味あわせてくれる。 五十嵐役の佐藤隆太はハマリ役。明るいイメージの彼が時折見せる悲しい表情は印象的だった。 分かっていても息子への期待を捨てきれない父親を演じた泉谷しげるも素晴らしく、涙を誘う。 今までに少しでもプロレスにハマった経験のある人には強力おすすめ! 内容的には非の打ち所のない傑作だが、唯一の欠点は最後のスタッフロールに流れる曲。 いくらなんでもチャットモンチーはないだろう。作品に全く合っていない。ダメすぎ。 やっぱり最後は、挿入歌と同じウルフルズの男臭い曲でガツンと締めて欲しかった。 ■ガチ☆ボーイ おすすめ度(3点満点): お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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