カテゴリ:映画
スペイン・サラマンカの広場でテロ撲滅の国際サミットが開催された。
大勢の聴衆を前にスピーチをしようとした瞬間にアシュトン米大統領が何者かに狙撃される。 続けて遠くから爆発音がし、混乱が広がる広場の中で、演説台に仕掛けられた爆弾が爆発する。 大統領暗殺の現場に居合わせた8人の視点から事件を追うことでその全貌が明らかになっていく。 大統領暗殺が発生した同じ場所、同じ時間を8人の視点で別々に描く凝った構成に、 そこから描き出される練りに練られた破綻のない緻密な脚本。もう見事の一言です。 無関係に思われた8人が互いに絡み合い、徐々に事件の全貌に迫っていく展開は抜群に面白い。 他に人物の視点ではちょっとしたことも、その人物の視点では意味を持ち、物語も広がっていく。 しかも、それぞれの視点が”この先どうなるんだ!”という一番盛り上がるところで切り替わる。 おかげで、興味も緊張感も全く途切れることなく、ラストまで一気に駆け抜ける。 米国の対テロ政策批判をデモのプラカードやレポーターのコメントにさりげなく盛り込んだり、 手段を選ばない冷酷なテロリストが最後にとった咄嗟の行動が人間味のあるものだったり、 物語の周辺も手を抜かず丁寧に描いているおかげで、奥行きのある作品に仕上がっている。 実を言うとこの作品、8人の視点から描くというので難解で長尺だと思って少し敬遠していた。 ところが実際は全く逆で、複雑な展開なのに観る側を混乱させることなくすっきりと見せ、 しかも90分という短い時間にエッセンスをぎゅっと凝縮させた素晴らしい作品だった。 ボリュームを持たせたくなるこの題材を、こんな形に料理した監督の手腕には素直に感心する。 間違いなく今年を代表するサスペンス作品だろう。 この作品でも使われている”この先どうなるんだろう!”というところで物語を中断させる展開は、 作劇手法の1つで”クリフハンガー”というらしい。知らなかった。 シリーズ化されることが多い海外ドラマでは、これでもかというくらい多用される手法だね。 ■バンテージ・ポイント ![]() おすすめ度(3点満点): ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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