上江洲先生特別講義13(最終回)
ところで、先生の発音はよく言われるように美しい。ネイティブ並に綺麗な発音をされる。日本人男性でここまで綺麗に英語を話す人を私はあまり知らない。(日本人女性は英語が上手な方が多い)英語の発音で難しいのはreallyやgirlなど「r」と「l」が連続して出てくる発音だと個人的には思っている。舌を丸めてから上の歯にくっつけるまでの動きが日本人にはなかなか出来ない。あとはthの発音。上江洲先生はこれらの単語の発音も大変綺麗だ。上江洲先生は、ご自身の塾SORAの生徒さん(高校生)に対し、発音矯正も行っていると言う。また、小学英語もロカビリー先生のブログや細川先生のお話によると、大変インタラクティブに進んでいくらしい。授業内に「話す」時間を多めに取っている印象を受ける。今回の特別授業でも、日比谷高校の英語を大変美しい発音で読まれていった。そして、要所要所でさまざまな例文を出し、それらをまるで映画のワンシーンのように印象的に発音される。さらに、こうして出てきた例文に対し、関西弁で意味を添えていく。これは生徒達にとり、大変印象深い授業だと思う。 たとえば、細川先生も言及されていたが、否定疑問文の際に出した例文「Aren't I cool?」は秀逸だった。(元ネタは皆さんもご存じのアレらしい)また、anotherという単語が出てきた時には、「もう1つの別の、と覚えなさい」とズバリ言い切った。力量のある先生というのは、こうした重要単語の訳語をズバリ1つに絞って言い切る傾向が強い。(そういえば、細川先生が現代文の特別講義をやってくださった時、「逆説」の意味は、こうこうこういう風に覚えておくといいよと、やはり言い切っていた)もちろん、上江洲先生の場合は、これらの例文に「関西弁」を付け加えて、印象を強める。先ほどの「Aren't I cool?」に対し、「カッコええやろ~?」という関西弁を当てたかと思えば、anotherという単語に対しては、「またこれやっ!もうえぇっちゅうねん!」というニュアンスを生徒達に伝えた。こんな例文や訳語がすらすら出てくるところが上江洲先生のすごさだ。力量のある先生というのは、数学であれば、別解の多さ、板書の美しさ、各定理の根本からの理解、その場で問題を作成できる能力などが判断基準になるだろう。国語の先生であれば、比喩の巧みさや例示のわかりやすさということになるのだろうか。他に背景知識の豊富さも重要かもしれない。では、英語の先生の場合はどうであろうか。やはり発音の美しさと例文の豊富さに英語の先生の力量は見えてくると思う。上江洲先生は、その両方を持ち合わせている。あらゆる場面場面で、さまざまな知識や例文がスラスラと出てくるのだ。そして出てきた例文を美しい発音で生徒達に聞かせ、その上、関西弁の訳語でダメを押す。これが先生の授業の特長なのだろう。 普段から上江洲先生の指導を受けているSORAの生徒さん達はもしかしたら気づいていないかもしれない。しかし、SORAの生徒さん達にとって、英語は間違いなく武器になることと思う。それは当然のことだ。なぜなら、上江洲先生が出す例文は全てが洗練されており、それをネイティブ並の発音で印象づけ、さらにこれ以上ないほどピッタリの訳を当てはめていくのだから。生徒さん達の頭の中には、きっとどんどん生きた英文が蓄積されていくはずである。 進学塾SORAの秘密を探ろうと、全国の多くの先生方がSORAさんを訪問していると思う。しかし、SORAで使っている教材、プリント類など、そうした外面的なものだけを取り入れても、きっと同じような効果は生まれないだろう。なぜなら、進学塾SORAの合格実績や指導の秘密は教材やカリキュラムにあるのではないからだ。進学塾SORAの秘密は上江洲先生そのものにあるのだ。あの味は決して他の先生には出せないだろう。だから、私も上江洲先生の授業を聞いて、それを自分なりの色で自塾に落とし込んでいくしかない。そうすることで、またSORAとは違った自分なりの色が出てくるのだと思う。そんなことが分かった1日でもあった。 上江洲先生の塾が近くにあったら嫌だろう。きっとそれは多くの塾経営者が考えるはずだ。だが一方で、こんなことも考えるかもしれない。もし自分の子供を預けるとしたら、ぜひ上江洲先生の塾に預けたいと。良い塾の定義はいろいろあるだろう。私が思う良い塾とは、「同業者から見て近くにいてほしくない塾」であると同時に、「同業者が自分の子供を預けたいと思う塾」だ(←私は子供がいないけど)。上江洲先生の塾というのは、そうした魅力に溢れている。今回、先生の授業を拝見し、その思いを強くした。 上江洲先生。今回は本当にありがとうございました。先生の日比谷高校の英語解説を受けることが出来た当塾の塾生は本当に幸せです。重ね重ねありがとうございます。また、お会いできる日を楽しみにしております。それまでまた修業の日々です。 ※自分自身の指導を見つめ直すために、上江洲先生の授業とは関係のないことも書いたため長くなりました。実はまだブログ原稿は残っているのですが、細川先生のブログと重なる部分も多いですし、今回はここで終わりといたします。赤虎先生の次回作にご期待ください(ジャンプ風)