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せび邸

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セビセビ

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2006.07.18
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腹立ちまぎれにつまらないことを考えて黙りこんでいる私に、ムオンが言った。

「お願いします。私の知らないシオンのことを教えて下さい。話して下さい。新月の夜にふたりで

交わした言葉のことを」




私は考えた。と、同時に今も考えているのだが。。




あのとき私が考えていたのは、こんなことだ。

ムオンの言ったことはどれが本当でどれが嘘か。そしてまだ「語られていないこと」はあるのか。

あるとしたら何か。

ムオンは私のついた嘘に、本当に気づいているのか。見当違いなことを嘘だと思い込んでいるだけ

ではないのか? それともはったりにすぎないのか。

私はムオンにどこまで話すべきか。




そして今、私が考えているのは、こんなことだ。

シオンに関する覚書を書き始めたものの、これから先は私に関することにも触れなければならな

い。どこまで書くべきか。事実を書くべきか。信じてもらえそうな範囲で留めておくべきか。その

場合、この覚書に読み取れる物語は、多くの謎めいた細部を残す怪異譚になるだろう。

こちらの問題は、この覚書を書き始めて以来、ずっと考えていたことなので、漠然ながら結論は出

ている。

おそらく私は、細部に若干の美化と修正を施しながら、基本的に事実を書いていくだろう。そうし

なければわざわざこんな覚書を残す必要はないわけだから。

だからこれより先を書くにあたり、念押ししておきたいことが、ある。

私は、いくぶん風変わりな性格と生活をしているが、この社会を受け入れて生きている。幼稚な自

己顕示欲にかられて、誰からも信じてもらえない話を書き残すことの意味のなさも理解できてい

る。そしてこれから書こうとしていることが、どれほどその無意味なつくり話に似て見えるかとい

うことも理解している。

それでも書かずにいられないのは、私とムオンとシオンとが実際に体験した事実がここにあるから

なのだ。




昨日聞いた話によるとムオンもまた、私と同じ衝動に駆られているそうだ。

彼女はシオンに関する覚書を、あたかも創作であるかのような形式にして、自身のブログに掲載し

はじめたそうだ。

嘘だと思うなら、検索してみるといい。それはどこかに、あるはずだ。

無音またはMuonという名の語り手による、もうひとつのシオンの物語が。

おそらく饒舌な丁寧語で書かれているであろうその物語は、ムオンの視点から語られた事の顛末

だ。ムオンの話から推測すると、そこではまず、シオンとムオンの出会いと再会、名前に関する不

思議な縁、育まれた友情、そしてシオンの失踪について語られていくだろう。その後は私の覚書と

内容が重なるが、ムオンがシオンの恋人と思い込んでいた謎の男(つまり私なのだが)とのやりと

りが、彼女の視点から語られていくだろう。




(つづく)








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Last updated  2006.07.20 09:08:12
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blue rose2792@ Re:元気です(06/17) それはなによりでした。 ほっといたしま…
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