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草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2016年11月27日
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            第 百六 回 目


          愛妻・悦子の霊に 謹んで献ぐ (その四)



 ― 最初に掛けられた魔法は、生涯、解けた形跡は無かった、確かに

……、幸か不幸か……。そして、悦子は人生の終わりに臨んで( 現代医学の精髄を極めた、最先端の

医療と、日本屈指と定評のある著名な霊能者のエネルギーと、悦子が折り有る毎に頼りにし全幅の

信頼を寄せていた 七戸の神様 の庇護に加え、有難い浅草寺の観世音菩薩のお慈悲を忝なくした

揚げ句の、延命治療拒否の決断後に )、“ 思い残すことは、何もない ” と、そう断言して憚らな

かった。

 莞爾として微笑みながら言い切ったし、その大空の様に澄み切った表情には、一片の雲の翳りも

感じられなかった―、真に あっぱれ としか言いようも無い。


 ……… 考えれば、考えるほどに、不思議さが増加する「不可解なる現象」の連続だった、悦子

、君と共に過ごした日々、時間、一瞬一瞬が、悉く。


 事が起こっていた当時には、少しも違和感を覚えず、むしろ当然過ぎる事柄が生起していると、

当たり前の如くに受け止めていたのだが、そして又、今も不思議や小奇跡・ミラクルマターは

頻繁に発生を続けて止まない、当たり前の様に、日々に続いているのだ……

 これはやはり尋常一様な現象では有り得ないね、なんど考え直しても。幾度となく頬っぺを

抓り直しても…。


 悦子と結び合わされた瞬間から、非日常的な、だから、地球上では想像不可能な不思議が、

極く普通の物として、連続して、途切れることなく、続いているわけだし――、君も僕も

謂わば無我夢中で、恰も「夢の中で夢を見ている」ようだし、しかもきわめてリアルであり、

これ以外には在り得ない現実感を、伴ってもいた。


 だから、例の青森のねぶた祭りの日の夜更けに遭遇した「女性の幽霊」にしても、金町に住んで

いた頃、スナックからの帰りに一緒に目撃することになった、巨大なオレンジ色の UFO に

しても、ほんの付録にしか過ぎないエピソードなのさ、実際の話が。


 今、僕の生涯で何度目か、はっきり分からないけれど、夏目漱石全集を読み返している。

漱石の言う「恐れない女」と「恐れる男」の表現を、今更ながら、自分自身の身に

引き比べている。勿論、大いに恐れる男としての克征と、恐れずに、臆せずにどんどん

行動する、少しも恐れを知らない悦子と、捉え直して見ながら…。

 恐れない女の悦子は、この僕・克征に対した時に最もその本質を発揮した様に、思う。

大体において、積極的で、非常に行動的ではあっても、通常の意味では用心深かったし、

警戒すべき対象に対しては、それなりに「恐れる事を知っていた」のだから、悦子の総体を

捉えて「恐れない女」と言うレッテルを貼るのは、全くの的外れと言わざるを得ないのだが。


 事が、克征の事となると、俄かに何も恐れなくなってしまう。そうとしか解釈のしようが

ないのだ。実際の話が…。

 今、突然にフラッシュの様に浮かんできたワンシーンがある。 ― 「お父さん、素敵!」

、そう言って僕のカラオケで歌う姿を、手放しで賞賛している君の、実に無邪気で、倖せ

そのものと言った表情と声が、つい昨日の出来事のように蘇ってくる…。そう、悦子は

何時だって手放しだった、僕に関する事柄では。

 実際、呆れてしまうほどに、あっけらかんと

手放し状態だった。実に、信じられないくらいに。


 思うに君は、無意識の裡に克征を「教育」していた。

 純粋にして、天真爛漫な楽天家振りを

遺憾無く発揮しつつ…。純粋にして、無償の愛情こそが、偉大なる教育者の唯一の資質だと

でも、主張するかの如くに……。


 知らぬ間に、僕を 最良のティーチャーに仕上げてしまった。

 そして、人生に対してちゃらんぽらんだった僕に、明確にして一筋に太い、ド性骨を

植え付けてくれていた、人生の道筋を、立派な、堂々たる目標・目的を与えて呉れていた。

人間業とは思えない、見事な手際で以て、無尽蔵な愛情という手段だけを、巧みに行使

してね。実に、感嘆の一語に尽きるのですよ、実際のところが。





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最終更新日  2016年11月27日 06時39分33秒
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