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第 三百八十三 回 目
芝居台本 『 リア王 』 その三 5 〔 第一幕 第五場 〕 前場と同じ、内庭 リア、ケント、道化が登場。 リア 一足先に行ってコーンウォールにこの手紙を届けてくれ。懸命に急がぬと、俺の方が先になる ぞ。 ケント この手紙をお届けするまでは、一睡も致さぬ積りです。(退場) 道化 もしお前さんが俺の阿保だったら、おっさん、年寄り早く年寄りになり過ぎた懲らしめに、ぶん 殴ってやるところだよ。 リア どうしてだ? 道化 年寄になるのは、智慧を貯めてから後の事にして貰いたいものだね。 リア おお、俺を気違いにしてくれるな、気違いにだけは! 一紳士登場。 リア おお! 馬の準備は支度は出来たか? 紳士 は、出来ましてございます。 リア 来い、小僧。 道化 何も知らない生娘(きむすめ)が、引込む俺の尻眺め、けらけら笑っているうちに、何でも彼で も知り尽くし、一目、倅に逢わん思召し。(一同退場) 6 〔 第二幕 第一場 〕 グロスター伯の居城の中庭 エドマンドとカランが両端から出て来て出遭う。 エドマンド 元気で何よりだな、カラン。 カラン 御同様に。唯今、おどさま(お父上様)にお目に係り、御報告申上げておきましたが、コーン ウォールの公爵並びに奥方リーガン様には今宵こちらに御厄介になりたいとの事。 エドマンド どうしてそういう事に? カラン いや、それは存じませぬ。お聞き及びでしょうな、例の取沙汰(とりざた)、それ、あの内証 話というか、まだほんの耳こすり程度の噂に過ぎませぬが? エドマンド いや、まだだ。聞かせてくれ、どういう事なのだ。 カラン 戦がはじまりそうだという話を、お聞きになりませぬか、それもコーンウォール、アルバニー 両公爵の間に? エドマンド いや、全く。 カラン いずれお耳に入りましょう。では、これで失礼を。(退場) エドマンド 公爵が今夜この城に? ますます結構! 至極結構! 俺としては是が非でもやってのけ ねばならぬ事がある。早い所、巧く片付きますようにだ! エドガー、一寸話がある! 降りて来て下さ い! エドガー! エドガー登場。 エドマンド おどさまがお身柄を狙っている、さあ、一刻も早くこの場を! 幸い夜で人目につかぬ。 あんちゃ(兄上)は何かコーンウォール公の陰口をおききになったのでは? 公はここに御渡りです。奥 方のリーガン様も御一緒だ。それとも公の肩を持って、アルバニー公爵を非難するような事をおっしゃっ たのではありませんか? よく考えて下さい。 エドガー 決してそのような事は言わぬ、一言も。 エドマンド 父上がお出でらしい。失礼だがこれも計略です、剣を抜いて兄上と切結んで見せねばなら ない。あんちゃ(兄上)も抜いて下さい。守る振りをして頂くのです、立廻りを巧く ― 剣を棄てろ! おどさまの前に出るのだ。明かりを持って来い! ここだ! ―― 逃げて下さい、あんちゃ ― 松明 だ、松明を! (エドガー慌てて逃げる)そう、お元気で。幾らか血が流れていたほうが、激しく戦った ように見えるだろうな。(自分の腕に傷を附ける)― おどさま、おど様! ここだ、ここだ!誰も助け てくれぬのか? グロスターが松明を持った召使たちと共に登場。 グロスター どうした、エドマンド、悪党はどこにいる? エドマンド それ、そこに、その闇の中に立ちはだかり、鋭い抜身を振回しておりました。 グロスター だが、今は何処に居るのだ、そいつは? エドマンド これを、おどさま、血が。 グロスター その悪党は何処にいるのだ。 エドマンド こちらの方へ逃げて行きました、結局、わがー― グロスター 後を追え、さあ!追い掛けるのだ。(数人の召使が命令に随う)結局、わがどうしたと言 うのだ? エドマンド おどさまを殺すのに同意しそうもないと見たからでしょう。それどころか、わが逆に説得 するの挙にでたものですから、それこそ猛烈な一撃をもって、この腕に傷を負わせたのです。しかし、わ が渾身の勇気を振絞り立向かったため、相手は急に逃げ出してしまいました。 グロスター 逃げられるものなら逃げてみろ、この領内で捕らえずにおくものか。我が公爵殿が今宵こ の城にお成りになる。公の権威を借りて直ぐにも触れを出そう、その極悪卑劣な犯人を見つけた者は必ず 褒美を取らせる。 エドマンド 一応、心を翻させようと説得したのですが、駄目でした。さすがに腹が立って、今度は何 も彼もばらしてしまうぞと嚇してやりましたが、その答えがこうです、「この妾腹の乞食野郎、もしこの 俺が貴様の言う事を打消したら、誰が貴様の言葉を真(ま)に受けたりするものか、たとえ俺の自筆の手 紙を引張り出そうと平気だ、何であろうと片端からそれもこれもおんじ(弟)の唆しで、貴様の書いた 筋書通り、恐ろしい悪だくみに載せられたのだと言いくるめてやる。誰の目にも、俺が死んで得をするの は貴様だからな」と。 グロスター それでも人の子か、底知れぬ悪党めが!(奥でタケット調のトランペットの響き)おお、 あれを、公爵のラッパだ! 御枉駕(おうが)の理由は解らぬ。ともあれ、港の入口は悉く鎖してしまう に限る。公にもいずれ御諒解頂けよう。更に奴の人相書きを四方に配れ、それからわの領地は、人情を 弁えた親思いのうがに預け、その手で自由に采領(さいりょう)できるよう取計うことにしよう。 コーンウォール、リーガン、侍者達が登場。 コーンウォール 一体、どうしたのだ? 到着早々、といっても今しがた着いたばかりだが、妙な話を 聞かされたぞ。 リーガン もし本当の事でしたら、如何なる罰を下そうとも、さほどの罪人には軽過ぎましょう。どう しましたか、伯爵? グロスター おお、奥方、この老いたる胸は張裂けて、ついに張裂けてしまいました。 リーガン 何という事が!あのエドガーが? エドガーは父に仕えるあの無頼の騎士共とぐるになって いたのでは? グロスター それは存じませぬ。余りと言えば、余りにも! エドマンド 実は、左様で、奥方。 リーガン それなら不思議はない。あねちゃ(姉)から一行の様子を知らせて参り、もしあの連中が コーンウォールの館に転げ込むような事があったなら、わ(私)は館におらぬようにと注意書が添えてあ りました。 コーンウォール 私とて居たくはない、リーガン。エドマンド、話によると、うがはおどちゃに対して 子としての勤めを立派に果たしたそうだな。 エドマンド 当然の事を行ったまでに御座います。 グロスター これはあんちゃ(兄)のたくらみを暴いてくれました、お蔭でこの傷を、それ、この通り 兄を捕らえようと致しましたので。 コーンウォール 追手は出したのか? グロスター はい、勿論にございます。 コーンウォール 捉えたが最後、二度と悪事が働けぬようにしてやろう。所で、エドマンド、お前の孝 心には感服した。この場で直ちに家中の一人に加える。 エドマンド 喜んでお役に立ちましょう。 コーンウォール 時に、まだ知らぬであろうな、我等が何故こちらへ参ったのかは? リーガン それも選りに選って、暗い夜道を辿って。グロスター伯、その事であなたのお智慧を借りね ばなりませぬ。 グロスター 喜んでお役に立ちましょう。(トランペットの吹奏、一同退場) 7 〔 第二幕 第二場 〕 グロスター伯の居城の前 ケントとオズワルドが左右から出て来て遭う。 オズワルド お早う。この邸の人かい? ケント ああ。 オズワルド 馬はどこに繋ぐのだ? ケント そこの溝だ。 オズワルド まあ、お互い、同じ人間様だ、教えてくれよ。( ケント 俺はお前さんと同じ人間ではない。 オズワルド 何故そう突っかかるのだ? ケント 面の皮の厚い奴だ、あれは二日前の事だ、王様の御前で俺が貴様の足を掬い、一殴りくれて やった筈だ。さ、抜け、やくざ野郎、夜でも幸い月は照っている、剣を抜け!(自分の剣を抜く) オズワルド どけ!うがに用はない。 ケント 抜けというのに、この無頼漢め! オズワルド 助けてくれ! おおい! 人殺しだ、助けてくれ! エドマンドが抜剣して登場。 エドマンド どうした? 二人共離れろ! そもそも事の起こりは? ケント お前さんさ、鉄面皮、よかったら相手になってやる! コーンウォール、リーガン、グロスター、及び召使達が登場。 グロスター その得物は? 何故(なにゆえ)の刃物三昧(ざんまい)か? 何が因(もと)でこのよ うな騒ぎに? コーンウォール 鎮(しずま)れ、命が惜しいなら! 先に手を出せば死刑だ。事の起こりは何か? リーガン あねちゃと王からの使者に違いない! コーンウォール 争いの因は何か? 答えろ。 オズワルド この老いぼれのならず者が、はい、その胡麻塩の髯(ひげ)に免じて、命だけは勘弁して やりましたが ―― ケント 公爵、もしお許しが頂けますなら、この篩(ふるい)の目を通らないがらくた悪党、粉々に 踏み潰して漆喰(しっくい)にして、便所の壁にでも塗りたいところで御座います。 コーンウォール 何に腹を立てているのか? ケント どんな敵(かたき)同士にしても、わとこのごろつき程、肌の合わない間柄はまずありますま い。 コーンウォール なぜこの男をごろつき呼ばわりするのだ? おまえはこの男に何をしたのだ? オズワルド 何もしは致しませぬ。たまたまこの男の王様が、ごく最近、ふとした誤解からわを御打擲 (ごちょうちゃく)になりまして、その折、この男が王様と示合し、その御機嫌を取ろうとして、後ろか らわの足を掬いましたので。 ケント 如何にやくざな臆病者でも、あきめくらの豪傑アイアースが相手なら、どんな阿保扱いも易々 (いい)たるものだ。 コーンウォール 足枷(あしかせ)を持って来い! いい年をしてどこまで大口を叩く気か、よし、教 えてやろう! ケント わざわざ足枷に及びませぬ。わは王の御命令にて遣わされた者、いささか不敬の誹(そしり) りを免れますまい。 コーンウォール 足枷を持って来い! 誰が何と言おうと、明日の昼までこいつを台に曝しておくの だ。 リーガン 昼まで? 夜までも、ついでにそこで一晩夜明かしさせておやり。 ケント 何と仰せになります。たとえわが犬でも、お父君が飼っておいでとあれば、そのように酷くは お扱いになりますまい。 リーガン いいえ、おどさまの手下なればこそ。 コーンウォール まさしくあねちゃの手紙にあった手合いと一つ穴の貉(むじな)だ。さ、早くここへ 足枷を。(足枷が運び入れられる) グロスター 差出がましゅうはございまするが、公爵、どうぞお留まり下さいまし。お考えのお仕置き は、最も下賤陋劣な輩が、こそ泥、その他の極ありふれた罪を犯した場合の恥ずべきものにございます。 王も必ず御気色を損なわせられましょう。 コーンウォール その責めは身が負う。 リーガン それよりあねちゃの御機嫌を損ないましょう、己が召使頭が、ほかでもない、御自分の用 を果たそうとして、辱められ、なぶりものにされたとお聞きになったら。その男の脚を。(ケントは足枷 台に掛けられる。それを見てコーンウォールに)さあ、参りましょう。(グロスターとケントを残して一 同退場) ケント 早く昇れ、下界を照らす燈火、その光を借りてこの手紙を読むのだ。ほかでもないコーディリ ア様から頂いたものだ、この身の仮の姿をどこからか聞き及んでおいでらしい。それなら、やがて……乱 れた秩序を建直し、損なわれた箇所に手当てを施して下さろう。いや、すっかり疲れた寝も足りぬ。重い 目にはもっけの幸いだ。(眠りに入る) 8 〔 第二幕 第三場 〕 野原 エドガー登場。 エドガー 俺を捕らえる触書が廻っているという、が、木の洞のお蔭で幸い追手は免れた。とにかく逃 げられるだけ逃げ延びよう! エドガーの俺はもう居ないのだ。(退場) 9 〔 第二幕 第四場 〕 グロスター伯の居城の前 ケントが足枷を掛けられたまま。リア、道化、紳士が登場。 リア おかしな話だな、急に館を留守にし、しかも使者を返して寄こさぬというのは。 紳士 わ(私)の承りました限り、前夜まではこちらへお越しのお積りは無かったように御座います。 ケント ようこそ、ここへ! リア うがはその辱めを慰みにして済ませる気か? ケント まさか、そのような事も。 道化 は、は、は! 生き物を繋ぐには急所があって、馬は頭、犬や熊は首、猿は腰、人間ならば脚と 相場が決まっている。 リア 誰だ、お前の身分を知らず、このような目に遭わせたのは? ケント 例のお二人にございます、お姫様とお婿様の。 リア 嘘をいうな。 ケント 真(まこと)にございます。 リア 嘘を言うなと申すに。 ケント 真の事と申上げております。 リア 嘘だ、嘘だ、これが二人の仕業であるものか。人殺しに過ぐる大罪だぞ、ほかでもない、わが遣 わした使者だというのに。委細を速やかに話して聴かせろ。 ケント 申上げます。公爵のお館に着き、王の御書面をお二方のお手もとにお渡し致した時、汗にまみ れた使者が一人、湯気を立てて駆込んでまいり、主人ゴネリル様よりと、即座の口上、お二人にはすぐさ まそれにお目をお通しになりました。読み終わる否や、直ちに召使共をお呼集めになり、そのまま馬にて こちらへ。その際、私には、後から附いて来い、手が空いたら返事を考えようからと、大層冷たい一瞥を お与えになりました。ところが、またここで別の使者に出遭い、向こうから挨拶をされましたが、そいつ は例の、数日前、王の御前で生意気な態度を示した男でした。で、つい剣を抜いてしまったのです。奴は 怯えて大声挙げて邸中の者を呼び起こしました。そこでお二方は、非は私にあり、この位の辱めは当然だ とお考えになった次第にございます。 リア おお、腹が煮え返り、熱いものがこの胸元まで! 娘は何処にいる? ケント グロスター伯の所に、奥においでの筈。 リア 附いて来るな、ここにおれ。(奥に入る) 紳士 お話のほかは何もなさらなかったのか? ケント 何も。だが、一体どういう訳でこればかりのお供を連れてお出歩きになる? 道化 足枷を嵌められたのも、そんな事を訊いたためとあれば、至極当然の報いと言うほか無いな。 ケント なぜだ、阿保? 道化 欲得ずくの 御家来衆は 上辺つくろい 附いては来るが 嵐が来れば 見えもへちまも ある ものかはと お前を棄てる… リアが再び登場、その後にグロスターが続く。 リア 会いたくない? 病気だ、疲れている、只の口実だ。 グロスター 仰せでは御座いますが、公爵は御存知の通り火の様に激しい御気性の持主、一旦こうとお ぼし立たれたからには、梃子(てこ)でもお動きになりませぬ。 リア 疫病に取憑かれるがよい! 俺はどうしてもコーンウォール公夫婦に会って話がしたいのだ。 グロスター はい、その通りお二人にお伝え申上げたのですが。 リア 国王がコーンウォール公に会いたい、おどちゃ(父)が娘と会って話がしたい、その礼を尽くせ と言っているのだ、ええい、我慢がならぬ! いや待て、本当に具合が悪いのかも知れぬ…(ケントを 見て)、これでも王と言えるのか! 二人に言え、この従者を引渡せと、直ぐにだ、ここへ来るように 言え! グロスター 何とか丸く納まりますように。(退場) リア ああ、この胸の内! 熱いものが胸元まで! ええい、下れ! 道化 たんと怒鳴るがいいや、おっさん! グロスターが再び登場、続いてコーンウォールとリーガンが召使達と現れる。 リア 早起きだな、二人共。 コーンウォール ようこそ! (ケントを自由にするように指図する) リーガン 久しぶりにお目に掛かれて嬉しゅうございます。 リア リーガン、それが本心であろう。(ケントに)おお、やっと自由になったか?この事は、また改 めて聞かせて貰おう ― それよりもリーガン、んがの姉は悪者だぞ、とても信じては貰えまい、あいつ が如何に酷い心の持主か! リーガン お願い、落着いて下さいまし。あねちゃの方にいささかでも手落ちがあったとは考えられ ませぬ。どうぞ、あねちゃの所へお戻り下さいますよう、一言、悪かったと仰って下さいまし。 リア あれに許しを乞えと? 戻るものか、リーガン。あいつは わ を睨付け、蝮の舌をもってこの 心臓を突刺したのだ。光れ稲妻、一瞬にして人を盲(めしい)と化すその閃光を、あいつの目の中に射込 んでくれ! リーガン 恐ろしい事を! 同じ呪いをわにもお浴びせになりましょう、もしお憤りが ― リア 何を言う、リーガン、うがが俺の呪いを受けるような事はない。(奥でタケット調のトランペッ ト) コーンウォール あのラッパは? リーガン どうやら ― あねちゃらしい、手紙にもあった、直ぐ行くからと。 オズワルド登場。 リーガン んがの御主人が見えたのだろう? リア 退れ! 俺の目に触れるな! コーンウォール なぜそのような事を仰せに? リア 誰だ、俺の抱えている男を足枷に掛けたのは? ゴネリル登場。 リア 誰だ、あれは?(ゴネリルに)この髯を見て恥じぬのか? おお、リーガン、んがはその女の手 を取ろうと? ゴネリル なぜ手を取ってはなりませぬ? わが何か罪を犯したとでも? リア おお、この胸、まだ持ちこたえる積りか? どうして俺の従者は足枷を嵌められたのだ? コーンウォール わがやった事です、が、この男の働いた乱暴は、更に厳しい処分に値しましょう。 リア 公がみずからやったと? リーガン お願いです、おどさま、お附きも半分に暇を出し、一旦あねちゃの所にお戻り下さいまし。 リア この女のもとに戻れと? 頼むから娘、俺を気違いにしないで呉れ! お前は俺の娘だ ― お れは堪える、リーガンの所にとどまる事にしよう、供の騎士百人もそうさせる。 リーガン そうお望みの通りにはまいりませぬ。 リア それを本気で言うのか? リーガン 言うまでもございませぬ。 ゴネリル なぜお気に入らないのでしょう、この人が使っている召使なり、わの館の者なりが用を足し たのでは? リーガン お附きは二十五人にして下さい、それ以上はお断わり致します。 リア 俺はお前に何もかも遣った。 リーガン それも、良い時に下さいました。 リア (ゴネリルに)んがの所に行こう。んがの五十はそれでも二倍だ。 ゴネリル 一寸お待ちを。何人にもせよ同じ館に住むのに、お附きが必要でしょうか? リア おお、必要を言うな! 如何に賤しい乞食でも、その取るに足りない持物の中に、何か余計な物 を持っている。自然が必要とする以外の物を禁じてみるがよい、人間の暮らしは畜生同然の惨めなものと なろう。この情知らずの鬼共、必ず復讐してやる。(雷鳴が近づいて来る)おお、阿保、俺は気が狂いそ うだ!(そとへ飛び出して行く、道化、グロスター、ケントが後を追う) グロスター、再び戻って来る。 グロスター 王には大層お憤りで。 コーンウォール どこへ行かれた? グロスター 馬をお命じになりましたが、どちらにお出での積りかわかりませぬ。 コーンウォール 門は閉めておいた方がよい。さ、嵐が来ぬうちに。(一同入る) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年10月23日 12時49分48秒
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