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草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2022年11月16日
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夢(いめ)の逢(あひ)は 苦しかりけり 覺(おどろ)きて かき探れども 手にも觸れねば 

(― 夢での逢瀬は苦しいものであった。びっくりして相手を手で掻き探ったが、手にさえ触れ

ないのだから)


 一重(ひとへ)のみ 妹が結ばむ 帯をすら 三重結ぶべく わが身はなりぬ(― 夢で契った

恋人が一重に結ぶ帯でさえ、私は用心して浮気されないように三重に結ぶようになったことだ)


 わが戀は 千引(ちびき)の石(いは)を 七(なな)ばかり 首(くび)に繋(か)けむも 神の

諸伏(もろふし)(― 私の恋はまるで千人で引くような大きな岩を七つ程も自分の首に懸けたよ

うに重くて苦しいが、これも神様の思し召しと思えば苦痛とは感じないのだ)


 暮(ゆう)さらば 屋戸(やど)開(あ)け設(ま)けて われ待(ま)たむ 夢(いめ)に相見に 

來(こ)むとふ人を(― 夕方になったなら家の戸を引き開けて用意して私は待とうよ、夢で逢い

に来ようと言う人を)


 朝夕(あさよひ)に 見む時さへや 吾妹子(わぎもこ)が 見とも見ぬごと なほ戀(こほ)し

けむ(― 私が恋人と結婚して一緒に住み、朝に晩に毎日顔を合わせる様になったとしても、そ

れでも日頃見ないかのように私の最愛の女性は、なおも恋しいだろう)


 生ける世に 吾(あ)はいまだ見ず 言(こと)絶えて かくおもしろく 縫(ぬ)える袋は(―

 こんなに素晴らしく縫い上げた袋を私はまだ生涯に見たことがない。何という芸の冴えであろ

う)


 吾妹子(わぎもこ)が 形見の衣 下に着て 直(ただ)に逢うまでは われ脱(ぬ)かめやも

(― 最愛の女性の形見である衣を上着の下に着ていて、夢ではなくて直接に会うまでは私は絶

対にこの下着は脱がないよ、金輪際)


 戀死なむ そこも同じそ 何せむに 人目他言(ひとごと) 言痛(こちた)みわがせむ(― 君

に恋焦がれて私は死んでしまおう。それで本望だ。どうして他人の無責任な視線や噂を私が辛い

などと思ったりしようか、断じてしないのだ)


 夢(いめ)にだに 見えばこそあらめ かくばかり 見えずしあるは 戀ひて死ねとか(― せ

めて夢にだけでも見えるならば、私が生きていく価値はあるだろうが、こんな風に夢にさえ姿を

現さないのは、私に死んでしまえと言うことなのだろうか、そんな薄情過ぎる事があってよいだ

ろうか)


 思ひ絶え わびにしものを なかなかに 何か苦しく 相見そめけむ(― 当時の私はすっか

り断念して、気力が抜けて、諦めきっていたものを…。何だって性懲りもなく再び相見て、恋を

復活させてしまったのだろうか? ああ、又もやあの地獄の様な苦しみと焦燥をやり直さなけれ

ばいけないなどとは! 失恋も絶望なら、一時的な得恋もそれ以上の過酷な試練が待っているの

を熟知していながら…)


 相見ては 幾日(いくか)も經ぬを ここだくも 狂ひに狂ひ 思ほゆるかも(― 会ってから

何日も経っていないのに、もうこんなにも物狂おしく恋しいのであろうか…、分かりきっていた

事とは言え、腸が千切れる様に痛むかの如くに苦しいのだよ)


 かくばかり 面影にのみ 思ほえば いかにかもせむ 人目繁くて(― こんなに恋しい君が

面影になって見えるのはどうしたことだろうか。人の目が繁くて、とても会いには行けないと言

うのに)


 相見てば しましく戀は和(な)ぎむかと 思へどいよよ 戀ひまさりけり(― 会う事が出来

たので暫くの間はこの激しい恋心は和らぐだろうと考えたが、どうだろうか、こんなにも益々恋

しさが募って来てどうしようもないのだ。恋は思案の外とはこの事を言うのか)


 夜(よ)のほどろ わが出でて來れば 吾妹子が 面(おも)へりしくし 面影に見ゆ(― 早朝

の夜のまだ明け際に私が恋人の寝屋を出て来た時の、彼女の悲しそうな表情がありありと目の前

に見えることだ)


 夜のほどろ 出でつつ來らく 遍多(たびまね)くなれば わが胸截(た)ち燒くごとし(― 夜

の明け際に帰って来る事が度重なったので、私の胸は切るように、焼くように苦しいことだ)


   次の数首は仲の良い姉妹の間で交わされたもの。但し、一種の恋歌と解してもよい。

 外(よそ)にゐて 戀ふるは苦し 吾妹子を 繼(つ)ぎて相見む 事計(ことはかり)せよ(― 

よそに離れていて懐かしく思っているのは苦しいことです。あなたに続けて会えるように計らっ

て下さい)


 遠くあらば わびてもあらむを 里近く 在りと聞きつつ 見ぬが術(すべ)なさ(― 遠くに

離れているのでしたらがっかりもしながら諦めもつきますが、里近くに住んでいると聞きながら

会えないのは堪らない事です)


 白雲の たなびく山の 高高(たかだか)に わが思(も)ふ妹を 見むよしもがな(― 白雲の

棚引いている高い山を仰ぎ見る様に敬愛している妹に会う手立ては無いものかしら)


 いかならむ 時にか妹を 葎生(むぐらふ)の きたなき屋戸(やど)に 入りいませなむ(― 

一体何時になったら、恋しい妹に雑草の生えている陋屋においで頂くことが出来るでしょうか。

実に心もとない事で御座います)





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最終更新日  2022年11月16日 15時48分59秒
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