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草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2023年06月02日
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暇(いとま)無み 來(こ)ざりし君に 霍公鳥(ほととぎす) われ斯(か)く戀ふと 行きて告げ

こそ(― 暇がないので、訪ねて来なかった方に、ホトトギスよ、私がこんなに恋していると、

行って告げておくれ)


 言(こと)繁み 君は來(き)まさず 霍公鳥 汝(なれ)だに來鳴け 朝戸(あさと)開かむ(― 

噂がひどいものだから、あの方はおいでにならない。ホトトギスよ、せめてお前だけでも来て鳴

きなさい。我が君をお送りするようなつもりで朝戸を開けよう)


 夏の野の 繁みに咲ける 姫百合(ひめゆり)の 知らえぬ戀は 苦しきものそ(― 夏の野の

繁みに咲いている姫百合のように、人に知られない恋は苦しいものです)


 霍公鳥 鳴く峯(を)の上の 卯の花の 厭(う)きことあれや 君が來まさぬ(― ホトトギス

が鳴く峯の上の卯の花の厭きこと、嫌なことがあるからか、ないはずだのに、どうしてあなた

はおいでにならないのだろうか)


 五月(さつき)の 花橘を君がため 珠に貫(つらぬ)く 散らまく惜しみ(― 五月の花橘をあ

なたの為に珠として緒に通しています。散ってしまうのが惜しいので)


 吾妹子(わぎもこ)が 家の垣内(かきつ)の 小百合花(さゆりばな) 後(ゆり)とし云はば 

不欲(いな)とふに似む(― 吾妹子の家の庭に咲く百合の花。もしユリ、後でと言ったら、嫌で

すと言うのと同じようなものでしょう)


 暇無み 五月をすらに 吾妹子が 花橘を 見ずか過ごさむ(― 暇がないので、吾妹子の家

の花橘を見ずに、五月をすらを過ごしてしまうことであろうか。見に行きたい)


 霍公鳥 鳴きし登時(すなはち) 君が家(いへ)に行けと 追ひしは 至りけむかも(― ホト

トギスが鳴くとすぐあなたの家に行けと追ってやったが、それはあなたの家についたでしょうか)


 故郷(ふるさと)の 奈良思(ならし)の岳(をか)の 霍公鳥(ほととぎす) 言(こと)告(つ)

げ遣(や)りしいかに 告げきや(― 故里の奈良思の岡のホトトギスよ、伝言を伝えさせたけれ

ど、どうかしら、伝えたかしら)


 いかといかと あるわが屋前(やど)に 百枝(ももえ)さし 生(お)ふる橘 玉に貫く(ぬ)く

 五月(さつき)を近み あえぬがに 花咲きにけり 朝に日(け)に 出で見るごとに 息の緒

(を)に わが思(も)ふ妹(いも)に 眞澄鏡(まそかがみ) 淸き月夜(つくよ)に ただ一目 

 見するまでには 散りこすな ゆめといひつつ ここだくに わが守(も)るものを 慨(うれ

た)きや 醜霍公鳥(しこほととぎす) 暁(あかとき)の うら悲しきに 追へど追へど なほし

來鳴きて 徒(いたづ)らに 地(つち)に散らせば 術(すべ)を無み 攀(よ)ぢて手折(たを)

りつ 見ませ吾妹子(わぎもこ)(― 大きく広々とした私の家の庭先に、多くの枝を生やして伸

びている橘が、玉として緒につらぬく五月が近いので、こぼれ落ちそうに花が咲いた。朝に昼に

出て見るごとに、命をかけて私の思いを寄せる妹に、清い月の光の下で一目みせるまでは、決し

て散らないでおくれと言いながら、こんなにも私が気をつけているのに、腹の立つ、趣を解しな

いホトトギスが、夜明けの心悲しい時に、追っても追っても橘の木になおもやって来て鳴き、花

を無駄に散らしてしまうので、仕様がなくて引き折りました。吾妹子よ、ご覧なさいな)


 十五夜(もち)降(くた)ち 淸き月夜(つくよ)に 吾妹子 に 見せむと思ひし 屋前(やど)

の橘(― 十五夜が更けて清く澄んだ月の光で吾妹子におみせしようと思った庭先の橘です)


 妹が見て 後も鳴かなむ 霍公鳥 花橘を 地(つち)に散らしつ(― あなたが見た後にでも

鳴いて欲しい。だのに、ホトトギスが今鳴いて花橘を地上に散らしてしまった)


 瞿麦(なでしこ)は 咲きて散りぬと 人は言へど わが標(し)めし野の 花にあらめやも(―

 なでしこの花は咲いて散ったと人は言うけれど、その花は、私が標を立てておいた野の花であ

ろうか。そうではあるまい。あなたが心変わりした筈はないでしょう)


 夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は 今夜(こよひ)は鳴かず い寝(ね)にけらしも(― いつも

小倉の山で鳴く鹿は、今宵は鳴かない。寝たらしいな)


 經(たて)もなく 緯(ぬき)も定めず 少女(をとめ)らが 織れる黄葉(もみぢ)に 霜な降り

そね(― 縦糸も横糸も定めずに少女らが美しく織った黄葉に霜よ降らないでおくれ)


 今朝(けさ)の朝明(あさけ) 雁(かり)が音(ね)聞きつ 春日山(かすがやま) 黄葉(もみ

ち)にけらし わが情(こころ)痛(いあた)し(― 今朝の夜明けに雁の声を聞いた。ああ、春日

山は黄葉したらしい。私の胸が痛むことであるよ)


 秋萩は 咲くべくあるらし わが屋戸(やど)の 淺茅(あさぢ)が花の 散りゆく見れば

(― もう秋萩が咲く時期になったらしい。私の家の浅茅の花が散ってゆくところを見れば)


 ことしげき 里に住まずは 今朝鳴きし 雁に副(たぐ)ひて 往(い)なましものを(― 

あれこれとうるさい噂をたてる里などに住まずに、ああ、今朝鳴いた雁に連れ立って行ってしま

えばよかったのに)





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最終更新日  2023年06月02日 09時49分56秒
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