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カテゴリ:中国問題
果たして中国はオリンピックまで持つのか
今回の地震で五万人の死者が出て、温家宝、胡錦濤両首脳が同時に北京を出て四川に入った。異常事態である。 そしてその地では、人民が政府批判をしても、その映像やネットでの抗議などが驚くほど正確に外部に流出した。海外マスコミは考えられないほど大胆に報じ始めた。愛国を言っている党幹部の汚職と腐敗が全く絶えないし、将来を託す子どもの火曜学校が見るも無残に瓦解した。官庁が無傷で、校舎がおからの如き壁や床。手抜き工事の原因は役人の汚職。 「役人には水を一滴も渡すな」と叫ぶ農民。農村対策の遅れ、貧困地域のそのままの遅れ。給与の不払い、現場監督の給料の持ち逃げ。おとなしい農民でも我慢できなくなって暴動すらおきそうな現状。 さらに深刻な問題は、開発弊害。無数のダムで立ち退いた農民。100万人とも言われる立ち退かされた農民の多くは職もなければ移転した先に家も建てられない。 二〇〇四年十月に、重慶で五万人の暴動が起きて、武装人民警察の発砲で数人が死んだ。同年同月には四川省漢源県で、共産党始まって以来という十五万人が参加した暴動がおきたという。ダムの立ち退きを要求されている農民に補償金が1平米あたり日本円で数十円。これは死ぬか生きるかの問題で、それで農民達が立ち上がって、地方幹部に抗議をしたところ軍隊が導入されたという。 環境問題でもデモが起きているという。サーズ情報を知らされず大パニック。鳥インフルエンザや目口鼻病での死者続発。 北京の反日デモのその日に折江省の東陽で化学工場、染物工場、製薬、化学肥料、農薬などの工場が廃液を全部垂れ流して操業していたため、たとえば妊婦が奇形児を産むとか、原因不明の病気になる。癌の発生率が異常に高い状況に陥った。農村で作った作物を農民が危険すぎて食べられない。野菜は洗剤で消毒してから出ないと中国人ですら決して食べないほどという汚染。 これらの矛盾をすり替える手段として「反日」を演出してきたけれども、いよいよ「反日」でもすり替えが効かなくなってきた。日本のレスキュー隊が真っ先に駆けつけ、日本に対する政府の虚偽が一挙に暴かれ、人民の感じ方が一変してしまったと報じる。 五億の支援金もおそらく政府は隠せない。.日本から渡された戦後の七兆のODAなどの資金援助も、人民に知らされるときは近いかもしれない。 情報操作が聞かなくなった時、独裁政権はそのほころびから、ダムの瓦解が始まる如く一気に瓦解する。 加えてチベット問題である。中国政府はチベットでの民衆の暴動を武力で制圧していることから、世界的に非難を集めている。そのことは最早隠し切れないのではないか。「野蛮なことをする国ではないか」「人権侵害がここまでひどいのか」海外からの投資はオリンピック前に途絶えてしまい、中国バブルの崩壊が一気に来るのではないか。オリンピック前に。 米国経済の衰退は、日本に対してのダメージだけに収まらない。輸出に頼る不安定企業の多い中国市場は日本以上に減速しそうである。中国経済も、日本経済と同等以上に米国への依存度が高い。米国への輸出で経済全体が支えられているのだ。そのため、米国の景気、特に中国の安価な商品の米国輸出が悪化すれば中国経済も影響を受ける。 対日食糧輸出も毒餃子事件の真っ最中であり、増加は難しい。 さらに追い討ちをかけているのは人民元の高さ。かつては1ドルが8元を超えていたのが、前述の通り現在では6元台。つまり、輸出競争力がそれだけ失われることになる。日本の円高克服(360円カラ100円へ)のあの危機を思い出せばそのつらさは並ではない。競争力の弱体化はいまの中国経済にとっては克服不可能ではないか。 世界の資本が入らねば中国経済は立ち行かない。しかし一夜にして経済法が変えられたり、契約の破棄がなされたり、そろそろ世界が見放さないかと思われてならない。 中国が強圧的に出ている今は、国家にとって最大の危機にあるその裏返しであるといえまいか。 サミットは、その意味で中国の覇権主義を正す絶好の時となりうるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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