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アダムス家の日常とごはん ~青嵐のブログ

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2008年11月26日
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テーマ:お勧めの本(7263)
カテゴリ:読後感想文

「隠居宣言」をしたとき、

ああ、この人らしい、と思っていた。

その後、「お江戸でござる」という番組の最後のコーナーで

時代考証などの解説などをしていたが、

それも番組のリニューアルと共に他の方にバトンタッチし、

「世界一周の旅に出る」と表舞台から消えた。






だが、「隠居宣言」は難治性の血液の病気で

漫画家を続けて行くことがことができなくなったからであり、

「世界一周の旅」というのは

死因にもなった下咽頭癌の闘病の為、ということが

彼女の死後、分かったことだった。



杉浦日向子

最近、彼女の著作を読み漁っている。


漫画ももちろん素晴らしいのだが、

最近、唸りながら読んでいるのは

彼女の食べ物にまつわるエッセイだ。


いや~、本当に、この人は酒飲みだなぁ。

飲みたくなるだけではなく、

この本が酒の肴になってしまう。

 「ごくらくちんみ」

たった7文字なのに、色々な意味が含まれているタイトルだ。

ごくらく・珍味・楽チン・ごくっとツバを飲み込む擬音・・・

ものすごく、楽な、ちんみ


そのタイトルの通り、

珍しいものがたくさん登場する。

珍味としてはよく知られている「青ムロくさや」から始まり、

とうふよう、くじらベーコン、いぶりがっこ、ゆべし、

ふくしらこ、にがうるか、さくらくんせい・・・


あたしが知らない食べ物もあった。

うばい、ばくらい、うみたけ、かつおへそ、

がん漬け、もうかの星、黒いブータン・・・

これに合うおいしいお酒と、

それを食べる人の人生、喜怒哀楽・・・


たった3~4ページという少ないページ数の中で

ひとつの珍味と、その食べ物を元に

隣に住んでいるかもしれない当たり前の人々の

ありきたりな日常の一瞬を鮮やかに切り取っている。


とっておきの珍味を出すとき、

それはけして嬉しいときばかりではない。

それでも、静かな決意や新たな出発、

そして昔を懐かしがるときなどに

目の前に置かれているそれらを媒介として

自分の心に踏ん切りをつけているのだろうか。

そう思わせる短編小説だ。


口絵としてタイトルの下には彼女の書いたイラストと、

その珍味に対する彼女の情熱とも愛情ともいえる

コメントが書かれていて、

それがまた、今までなら食べれなかった珍味ですら、

もしかしたら食べれれるかも、と思わせてくれる。

(「さなぎ」「虫の味」という話も収蔵されているが・・・・)


そして巻末に、それぞれの珍味のお取り寄せガイドも

記載されている。


あたしもある雑誌で、

彼女が取り寄せているのを知り、

取り寄せていたものがあった。



耀盛號(ようせいごう)のうずらピータンだ。

このブログでもたまに登場している商品だが、

本当に美味しい。

車で行ける距離でこれを売っているお店を見つけてからは

そちらの方で購入しているが、

本当に手軽に楽しめる一品だ。



夕食は

●ハンバーガー

 合い挽き肉で作ったパテ・

 千切りキャベツを炒めて、真ん中に卵を落とした巣篭もり卵。

1125

●フライドポテト

●白菜とベーコンのクリームシチュー

 寒くなればなるほど、白菜の甘みは増す。

 白菜がとても美味しい季節になった。





珍味自体は切るだけ、あぶるだけ、

お酒を出すついでにパパッと小皿に盛り付ければ

すぐにつまめるものばかりなのだが、

例えば「ふなずし」はお茶漬けにして。

「からすみ」は酒を振り、軽くあぶり、

大根の短冊にはさんで。

そのままでもおいしい物に

一手間かけるその描写がまた、酒を飲みたくなってくる。




そして全体を通して【生と死】という

隠されたテーマがあるように思われた。


生を捧げて、生の糧として取り込まれ、

また、新しい形で生に変わる・・・


この本の中で、一番心に残ったのは「ほねとかわ」

これは、

彼女自身に付きまとう死の影を反映して

書かれた作品のような気がして、

とても切なくなってしまった。


ある意味、悟ったように。

ある意味、いい聞かせているように。

ある意味、決意しているように。




タイトルに色々な意味が隠されている、と書いたが、

「ごくらく」

そう、やはりこの本にはただ単に

簡単な珍味、という意味合いだけではなく、

隠された生と死を訴えている、

そんなタイトルだったんだなぁ、と気付いたのは、

全て読み終わって本を閉じた瞬間だった。









蕎麦の味がまだ分からないあたしは、

この2冊を読むのにはまだ、当分の時間がかかるだろう。

読みたいけれど読めない本が増えてしまった。


きっと、彼女は蕎麦屋で粋にぬる燗を頼んで

ゆったりと時の過ぎ行くのを眺めていたんだろうなぁ。


「4時のおやつ」

これは左党の珍味とは対極をなす、

甘党の方垂涎の本。

未読なので近いうちに絶対に読みたい。






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最終更新日  2008年11月28日 15時31分56秒
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