433883 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

アダムス家の日常とごはん ~青嵐のブログ

アダムス家の日常とごはん ~青嵐のブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

青嵐424

青嵐424

カレンダー

バックナンバー

2024年06月
2024年05月
2024年04月
2024年03月
2024年02月

カテゴリ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2008年11月26日
XML
テーマ:お勧めの本(7252)
カテゴリ:読後感想文

「隠居宣言」をしたとき、

ああ、この人らしい、と思っていた。

その後、「お江戸でござる」という番組の最後のコーナーで

時代考証などの解説などをしていたが、

それも番組のリニューアルと共に他の方にバトンタッチし、

「世界一周の旅に出る」と表舞台から消えた。






だが、「隠居宣言」は難治性の血液の病気で

漫画家を続けて行くことがことができなくなったからであり、

「世界一周の旅」というのは

死因にもなった下咽頭癌の闘病の為、ということが

彼女の死後、分かったことだった。



杉浦日向子

最近、彼女の著作を読み漁っている。


漫画ももちろん素晴らしいのだが、

最近、唸りながら読んでいるのは

彼女の食べ物にまつわるエッセイだ。


いや~、本当に、この人は酒飲みだなぁ。

飲みたくなるだけではなく、

この本が酒の肴になってしまう。

 「ごくらくちんみ」

たった7文字なのに、色々な意味が含まれているタイトルだ。

ごくらく・珍味・楽チン・ごくっとツバを飲み込む擬音・・・

ものすごく、楽な、ちんみ


そのタイトルの通り、

珍しいものがたくさん登場する。

珍味としてはよく知られている「青ムロくさや」から始まり、

とうふよう、くじらベーコン、いぶりがっこ、ゆべし、

ふくしらこ、にがうるか、さくらくんせい・・・


あたしが知らない食べ物もあった。

うばい、ばくらい、うみたけ、かつおへそ、

がん漬け、もうかの星、黒いブータン・・・

これに合うおいしいお酒と、

それを食べる人の人生、喜怒哀楽・・・


たった3~4ページという少ないページ数の中で

ひとつの珍味と、その食べ物を元に

隣に住んでいるかもしれない当たり前の人々の

ありきたりな日常の一瞬を鮮やかに切り取っている。


とっておきの珍味を出すとき、

それはけして嬉しいときばかりではない。

それでも、静かな決意や新たな出発、

そして昔を懐かしがるときなどに

目の前に置かれているそれらを媒介として

自分の心に踏ん切りをつけているのだろうか。

そう思わせる短編小説だ。


口絵としてタイトルの下には彼女の書いたイラストと、

その珍味に対する彼女の情熱とも愛情ともいえる

コメントが書かれていて、

それがまた、今までなら食べれなかった珍味ですら、

もしかしたら食べれれるかも、と思わせてくれる。

(「さなぎ」「虫の味」という話も収蔵されているが・・・・)


そして巻末に、それぞれの珍味のお取り寄せガイドも

記載されている。


あたしもある雑誌で、

彼女が取り寄せているのを知り、

取り寄せていたものがあった。



耀盛號(ようせいごう)のうずらピータンだ。

このブログでもたまに登場している商品だが、

本当に美味しい。

車で行ける距離でこれを売っているお店を見つけてからは

そちらの方で購入しているが、

本当に手軽に楽しめる一品だ。



夕食は

●ハンバーガー

 合い挽き肉で作ったパテ・

 千切りキャベツを炒めて、真ん中に卵を落とした巣篭もり卵。

1125

●フライドポテト

●白菜とベーコンのクリームシチュー

 寒くなればなるほど、白菜の甘みは増す。

 白菜がとても美味しい季節になった。





珍味自体は切るだけ、あぶるだけ、

お酒を出すついでにパパッと小皿に盛り付ければ

すぐにつまめるものばかりなのだが、

例えば「ふなずし」はお茶漬けにして。

「からすみ」は酒を振り、軽くあぶり、

大根の短冊にはさんで。

そのままでもおいしい物に

一手間かけるその描写がまた、酒を飲みたくなってくる。




そして全体を通して【生と死】という

隠されたテーマがあるように思われた。


生を捧げて、生の糧として取り込まれ、

また、新しい形で生に変わる・・・


この本の中で、一番心に残ったのは「ほねとかわ」

これは、

彼女自身に付きまとう死の影を反映して

書かれた作品のような気がして、

とても切なくなってしまった。


ある意味、悟ったように。

ある意味、いい聞かせているように。

ある意味、決意しているように。




タイトルに色々な意味が隠されている、と書いたが、

「ごくらく」

そう、やはりこの本にはただ単に

簡単な珍味、という意味合いだけではなく、

隠された生と死を訴えている、

そんなタイトルだったんだなぁ、と気付いたのは、

全て読み終わって本を閉じた瞬間だった。









蕎麦の味がまだ分からないあたしは、

この2冊を読むのにはまだ、当分の時間がかかるだろう。

読みたいけれど読めない本が増えてしまった。


きっと、彼女は蕎麦屋で粋にぬる燗を頼んで

ゆったりと時の過ぎ行くのを眺めていたんだろうなぁ。


「4時のおやつ」

これは左党の珍味とは対極をなす、

甘党の方垂涎の本。

未読なので近いうちに絶対に読みたい。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年11月28日 15時31分56秒
コメント(9) | コメントを書く
[読後感想文] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


若本   若本 さん
市況祭りって検索してみて下さい!! (2008年11月28日 15時37分47秒)

Re:ごく らくちん み(11/26)   大盛りかあちゃん551 さん
隠居宣言は知っていたけど、その理由は知らなかった。そうだったんだ・・・。
ホント杉浦さんらしい引き際。
本は読んだ事なくて、漫画や「お江戸でござる」の番組を時々見ては、当時の日常生活など、身近に感じる
解説ぶりに、「へえぇ、そうなんだ。」とうなずいてたのに残念です。 (2008年11月29日 01時19分56秒)

Re:ごく らくちん み   ルカ さん
なんかとても深い読み方ですね。青嵐さんのタイトルの書き方に何か奥があるとは思ったけど。。
名前だけは聞いたことある方なんだけど、本は読んだことがないので、今度手に取ってみようと思いました。酒飲みの究極は蕎麦っていうよね、あたしゃ食べる専門だけど(((^^;)
(2008年11月29日 01時46分57秒)

Re:ごく らくちん み(11/26)   kiyop5326 さん
お江戸でござるで何度か見たことはありますが、訃報を聞いた時に「そうなんだ~」程度しか思わなかったのですが、いろんな著書と漫画家の方だったんですね。ほんと、何も知りませんでした(--;A
興味深い本ですね。好きだからこそ書いた(書けた)本なのでしょうね~。 (2008年11月29日 11時11分38秒)

Re:ごく らくちん み   ばる。 さん
私も好きだったなぁ~杉浦日向子さん…
和服を粋に着こなしてる人でしたね。
私はあまり本を読まない人なんで(^^;) 詳しい事は書けませんけど、
ごくらくちんみとはあの方らしい名前の付け方だなぁ~と思いました。
明日から12月だね。早いね!風邪が流行ってるようです。
青嵐家のみなさんも充分に気をつけてね。 (2008年11月30日 17時03分01秒)

Re[1]:ごく らくちん み(11/26)   青嵐424 さん
大盛りかあちゃん551さん
>隠居宣言は知っていたけど、その理由は知らなかった。そうだったんだ・・・。
>ホント杉浦さんらしい引き際。
>本は読んだ事なくて、漫画や「お江戸でござる」の番組を時々見ては、当時の日常生活など、身近に感じる
>解説ぶりに、「へえぇ、そうなんだ。」とうなずいてたのに残念です。

本当。もっと素晴らしい作品をたくさん作っていただきたかった人に限って何で早く亡くなってしまうんだろう?
残念です。
漫画を見ても、至る所に彼女なりのこだわりが散りばめられていて、とても楽しく読みました。

それにしても、引き際の美学とか、真似できないな、と思いました。
本当の意味で強い人だったんだな、と。

(2008年12月05日 16時00分23秒)

Re[1]:ごく らくちん み(11/26)   青嵐424 さん
ルカさん
>なんかとても深い読み方ですね。青嵐さんのタイトルの書き方に何か奥があるとは思ったけど。。

おほほ、そう思っていただけましたか?(笑)

>名前だけは聞いたことある方なんだけど、本は読んだことがないので、今度手に取ってみようと思いました。酒飲みの究極は蕎麦っていうよね、あたしゃ食べる専門だけど(((^^;)

あたしもまだ、蕎麦通にはなれないな~。
だいたい、店を選ぶ選択肢にない(苦笑)

本も漫画もおすすめですよ。
短編小説って、その作者の力量が分かると言うけれど、ひねりが効いていて本当に唸ってしまいます。

(2008年12月05日 16時03分25秒)

Re[1]:ごく らくちん み(11/26)   青嵐424 さん
kiyop5326さん
>お江戸でござるで何度か見たことはありますが、訃報を聞いた時に「そうなんだ~」程度しか思わなかったのですが、いろんな著書と漫画家の方だったんですね。ほんと、何も知りませんでした(--;A
>興味深い本ですね。好きだからこそ書いた(書けた)本なのでしょうね~。

あたしは訃報を聞いた時、本当にショックでした。
この人の漫画、大好きです。
もし手にとる機会がありましたらぜひ。

(2008年12月05日 16時05分01秒)

Re[1]:ごく らくちん み(11/26)   青嵐424 さん
ばる。さん
>私も好きだったなぁ~杉浦日向子さん…
>和服を粋に着こなしてる人でしたね。
>私はあまり本を読まない人なんで(^^;) 詳しい事は書けませんけど、
>ごくらくちんみとはあの方らしい名前の付け方だなぁ~と思いました。
>明日から12月だね。早いね!風邪が流行ってるようです。
>青嵐家のみなさんも充分に気をつけてね。

どうもありがとう。
インフルエンザ、流行っているみたいだね。
今の所兆しはないけど・・・
中耳炎が悪化するかと思うと気が重い・・・

本当、着物の着こなしとか「粋」という言葉が似合う人でしたね・・・
残念です。
(2008年12月05日 16時08分04秒)

ニューストピックス

お気に入りブログ

郡山に行きました bui☆さん

株式会社メノガイア… bmenogaiaさん
本日も元気です(^_^)v ばるちゃん6225さん
にぎやか家族のはち… きいろのぱんださん

© Rakuten Group, Inc.