次の10年
私も、この道に入り早くも30年が過ぎました。最初の10年間が味噌・醤油の発酵食品としての醸造(微生物の働きによって醸し出される)の基礎を勉強した10年間であり、次の10年間は、醸造についての経験を積ながら、味噌・醤油を使う側にとって良い味噌・醤油は考えながらの10年間でした。味噌・醤油を使う場面を考えるとその使われ方はさまざまです。さまざまな食材につけたり、かけたり、とそのまま使われるケース一つとっても、食材が違っただけで使われる味噌・醤油も最適な物を使う側は選択します。その他、味噌・醤油自体があらゆる素材、調理に万能な調味料であり、四季を問わず、むしろ四季折々の食材の良さを引き出す名脇役的存在であり、醤油味・味噌味といったベース的な使われ方以外に、隠し味的な使い方にもその持ち味を発揮します。このことは、すなわち発酵食品だからこそ故のなせる技と考えています。単なる甘味、辛味、塩味といった味ではなく、長い期間かけて微生物の働きによって分解発酵から生まれる甘味や旨みなどの成分、それらが混ざり合い、また組み合わさりその成分から新たな味や香りが合成され複雑な風味が出来てきます。まさに醸造という醸し出される奥深い風味が味噌・醤油の最大の特徴です。この良さを活かした、味噌・醤油屋ならではの商品造りを基本に商品開発をしております。味噌・醤油の良い所も、悪い所?も全てを知っているのは実は、味噌・醤油屋です。日々の味噌・醤油のさまざまな調理・料理を想像しながら味噌・醤油造りをしていると色々アイディアが生まれてきます。味噌・醤油造りをしているからこそのアイディアが商品特徴につながっていると思っています。こういう感覚から料理について考えると、そこにもまた違ったアイディアが生まれて来るといった相乗効果があると思っています。つづく・・・