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その中の一つが芥川龍之介の「トロッコ」 彼の小説は短編が多く、読みやすいし 高校の国語の教科書には「羅生門」が掲載されるなど 多くの人に親しまれています⭐︎⭐︎⭐︎ そしてこの「トロッコ」私のイチオシ小説なので、紹介したいと思います♫ この物語は大正時代で、主人公は8歳の良平という男の子⭐︎⭐︎⭐︎ 彼は鉄道敷設工事で土砂を運ぶトロッコに惹かれ 線路を軋ませながら走ってくる光景を見るのが大好き 友達とよく村はずれの工事現場を眺めに行きます トロッコには二人の土工が乗っており、 彼らが作業着を風になびかせ山を下り 到着すると土砂をばらまいて、 今度は手押しでもと来た線路を戻っていく… 良平はそんな風景を眺めながら、いつか自分も土工になりたいと思っています ある日、良平は一人でいつもの工事現場にやってきます そこには二人の優しそうな土工のおっちゃん 「おじさん、押してやろうか」と思い切って声をかける良平 「おぉ、押してくれよ」と返事する土工のおっちゃん^^ 良平は二人の間に入り力いっぱいトロッコを押します 「なかなか力があるなぁ」と褒めてくれた良平は嬉しくなります 「いつまでも押していい?」と尋ねる良平 土工のおっちゃんは「いいとも!」と答えてくれたのです トロッコはやがて下り坂へ 三人が乗ったトロッコは風を切りみかん畑を通り過ぎていきます 「上り坂のほうがトロッコを押せるので楽しい」と思っていた良平ですが 風景が流れていく下り坂では「押すよりも乗るほうがずっと良い」と有頂天♫ トロッコは竹藪を抜け、雑木林を通りやがて崖の向こうに広い海が見える頃 良平は遠くまで来たことにふっと気づき帰りたい…と思います しかし、最後まで行かなければ帰れないことも幼い彼は理解しているのです トロッコはさらに上り下りを繰り返し日が傾く頃、休憩場所に到着しました 土工のおっちゃんは良平に 「もう帰んな。俺たちは向こう泊まりだから 遅くなるとお前の家も心配するから」と言います 良平は呆気にとられ (一緒に帰ってくれるんだろうと思っていたのでしょう) 今までの興奮が一転 一人で帰らなければいけない現実に直面してしまうのです><。。。 不安と心細さの中、良平は線路を駆け出します 左手に海を見ながら急坂を駆け上がり、涙で顔を歪めながら竹藪を抜けます 夕焼けが沈み、次第にあたりが暗くなる中 命だけは助かりたい…と願いながら><。。。 土工からもらったお菓子を捨て、羽織と草履を脱ぎ捨て 足袋だけでひたすら走り続けます 早く帰らなければ。。。 やがて夕暮れの中に自分の街の灯りが遠くに見えます 息を切らし走る良平に近所の人たちが声をかけますが、彼は走り続け ようやく自宅にたどり着くと母親の腕の中で激しく泣きます 周りの大人たちは泣く理由を尋ねますが 遠い道を駆け抜けてきた良平は ただ大声で泣くだけでした... (物語の大半はこれで終わりです) 結びで26歳になった良平が登場し、当時の記憶を振り返ります 妻子を持ち、上京し家族を養うために雑誌の校正の仕事をしている彼は 日々の生活に疲れた時、ふと幼い頃のトロッコの記憶を思い出すのです 理由もなく思い出すあの記憶。。。 「塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、 細細と一すじ断続している」という文章で物語は終わります この小説いかがでしょうか 憧れていたトロッコに乗り 気がつけば遠くまで来てしまった不安感 そして一人で帰らなければならない焦りと孤独 大人になっても子供の頃の経験が心に影響を与えること そして良平の人生が子供の頃のトロッコの経験と重なりあう… あれほど憧れていたトロッコは彼の人生の葛藤や不安の象徴のようにも思えるのです⭐︎⭐︎⭐︎ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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