展示会@銀座byみとも
みともの丹波布の展示会に行ってきました。銀座のアップルストアに 行ったついでなんですけどね。だって、この忙しいのに、何もないのに わざわざ銀座くんだりまで行けませんがな。最近の銀座は素敵な街では なくなってきていますしね。でも、まあ、なかなか収穫がありました わ。いくつか面白い反物があったので。ちなみに、この日は,岸野さんの絞り藍染め木綿に藤帯、雨下駄に大島 のコートって身なり。大島のコートはすっかり私物化してしもうてます (母が使わないんだもん、と言い訳)。この後,交詢店に行って、岸野さんの藍絞り木綿を見てきました。ちょ うど100番目はすぐに売れたそうですよ。私は残った中では,3反、 気に入った。1 白地に蜘蛛絞りの濃い藍。一番目を引きますね。白地でスマートな 感じのが似合う人向きかな。2 93番の中間藍に飛び柄で蜘蛛絞り。柄の飛ばせ方が、なんとも素 晴らしい配置ですわ。3 40番代(47だっけ)の濃い藍地。綿紅梅の生地がまたしっかり として、浴衣にも使えそうな感じです。岸野さんは、なんでも去年、脳梗塞をおこされたとか。自分で救急車を 呼んで,その後、リハビリに努められたとか。リハビリ中にも絞りをし てはったんだけど、やっぱり上手くは行かなかったとか。担当医が、直 後から、リハビリ中,回復後の絞り方を研究してはるそうですよ。ええ 所に目を付けた研究やわ♪・丹波布セミオーダーできるのは面白い。私なら黄色と黒の縞? それとも白と 赤と青の3色? でフルオーダーかな。黄色と黒は木綿天然染めで実現 が可能な色調ですが、青は藍でなんとかなるけど,赤は難しいな。昔な がらの丹波木綿の柄に加えて,新しい感覚の柄がありました。天然染め に拘った割には値段は抑えられている感じ。生糸の白で入ったアクセントが効いている感じ。これくらいなら洗って も問題ない程度に入っていて、反物全体の強度を上げているんだと思う。先染めで糸を染めてるから、染まりはとても良い感じでした。でも、茶 色は基本、タンニンだからな、いろんな素材で茶色を出しても,まあ、 ふーんって感じになっちゃうっんだよなあ。緑は藍と黄色の組み合わせ なのが良心的。これなら自然の緑色と言っても嘘ではないですもの。媒 染もミョウバンや石灰と納得できるもんを使っているし。世の中には何とか(ここで植物名を出すと、何か分かっちゃうので隠 す)という植物を使って緑色の染色に成功した、なーんて嘘かましてい る草木染めもあります。媒染の色やんけ~!!! 化学染料を否定する つもりはないですけど(化学者が否定したらあきません)、あれを「草 木染め」だの、「天然」って言うのが許せんのですよ。化学染料の数倍 も毒性の高いの廃液を作って、何が自然に優しいや! (ちゃんと処理 してるんかと心配)・葛布先の池袋の伝統的工芸センターと同じ大井川の葛布です。今回は奥様が 説明に出てきてはった。池袋でも見た、ラックダイの袴を試着させても らっちゃった。市販品ではなく,娘さんのために作った(ネームも入っ てた)逸品です。でも、頼めば,1年くらいの余裕で作ってもらえるそ うです。ウールの袴と比べるときっぱりと姿が良い。普段はウールの袴 でも、式典には葛が良いよな、上賀茂あたりで巫女さんの衣装に採用し たらええかもね。やっぱり袴は葛というのを思わせます(蹴鞠袴は葛で したもんね)。ただ、ン十万円はおいそれと出せるもんやない。でもって、値段が値段 だからって言うと、値段のことを言うなんて、情けない、とおっしゃ る。完璧、気が萎えた。着物着たマネキン(って言うらしい)の 売り子さんや呉服屋の年配の奥様からも似た対応を経験したことがあ る。売るのが仕事ってのは分かるけど,ほんまに上手いこと売る人は、 そんなことは言いませんって。1万円だって稼ぐのがどれだけ大変か。 そういうことを耳にすると、気が萎えるんだけど。それに、色がねえ。黄色がかった赤は未婚女性の袴の色だしなあ。(袴だと緋色が既婚でもええんですが、その規範に準拠すると、礼装は紫になるんで、、、)前に池袋で草履はすごーく気に入ったので、新しい色がないかと思って たけど、さすがに1ヶ月ほどの間隔では無理。急ぐこともないや。半巾を見せてもらうはずが、袴さわぎで忘れてた、、、・麻に江戸小紋交詢店の菅野店長さんお勧めの江戸小紋。茶系でかわった鮫があった。 その変わり鮫の型紙がすごい! とにかく細かく美しい。それを写し取 る技、型紙職人さんと染め職人さん、どっちもすごくないとできない模 様ちゃうかなあ。しかも麻生地ですよ。びっくり。話によると、もとは 裃を染める職人さんとか。それなら納得だけど、裃は麻生地もあります もん。でも、よう、まあ、そんな職人さんが現代にいてはるもんや、 そっちにもびっくり。麻でもこれやったら礼装に使えるんちゃうかという気品と柔らかさ。1 05度以上の温度で処理しているからという説明やったけど,残念だけ ど、それだけでは説明できんよ。色の定着のために蒸しても(当然,1 05度以上)、セルロース主体の麻線維はそうは柔らかくはなりませ んって。他に要因があると思うんだけどなあ。なんやろな。商品そのも のより,テキスタイルの制作工程に興味があるわ。残念なのが,同じ工程で作った紫の鮫小紋を売り子はんがきてはったん やけど、それがあんまりよろしゅうないってこと。色が似合っていない のはまあ、しゃーないとして。くたっとしている着姿。どうせなら襦袢 をもうちょっとエエ絽目の麻とか平織りの上布にせなあきませんて。こ ないな江戸小紋裃柄を売ろうと思ったら,売る側もきっぱりした着姿を 見せんとあきませんて。まだ、背広のおっちゃんが売っている方がエ エってもんでっせ。着物を着て、着物を売るってことの、良さと恐ろしさは背中合わせ。 「その着物ええわ」と思えば、欲しくもなる。なんや、仕立てたら、そ ないな格好になるんかいな、、、では技術的にどんだけ素晴らしいモン だと分かってはいいても,欲しいとは思えなくなるもんですよ。実際に 着物を着て、よう分かってはるのならプラスに働くんですが,そうでも ないとマイナスに働きかねない。少なくとも,私はそう思うなあ。・苧麻に柿渋絹物(紬)は昔からあったけど、麻は始めてと言うふれこみ。試しに染 めてみたと言う苧麻の柿渋染めだそうで。麻という意味では小物用には 広く市販されているので、染まるかどうかの心配はいらんわ。それにト スコ麻なら柿渋染めはよう見かけます。苧麻でも洋服生地では販売され ているので(私もジャケットは持っています),売り子のおっちゃん (問屋さんらしい)が「始めての試み」って言うのは、あくまでも、そ これは始めて,であって、ほんまは間違っているけどね。しかも、反物 巾のもんは普通に売っているので,世の中には、これで着物を作っては る人はいてはると思うんだけどなあ。だから、こんなの日本中探しても 誰も着てません、なんてのも嘘っぽい。で、その生地はとにかく薄い。羽衣様で、麻の中でも透け感の高い物で すわ。私の知っている反物巾の柿渋染めと比べても,確かに透け感はは るかに高い。生地となった苧麻がええのは認めるますわ。着物にした ら、下の襦袢の透けが夏にはええと思う。それより、ちりよけ,コート にええと思うなあ。単衣の春ものコートにしたら、4月からでも利用で きるっしょ。単に色を楽しむだけなら、着物でもええけど、そもそも柿 渋の防護作用ってもんが上モンには合う性質でしょう。軽い雨なら下の 着物を守ってくれます。ペクチン作用で少々の扱いでも色落ちの心配せ んでええ。色堅牢度は抜群に高い(と言うか,タンニンでっせ、経年変 化で濃くなるもんね)。まさに理想のコート素材やなあと思う。ちなみにこれは、ちゃんと小さい青渋柿を使った本格的なもの。色の淡 さから言うと,まだ柿渋の熟成途中のものを使っているようです。同じ 工場で作った絹ものと比べて,色目がさわやかな感じ。なんぼペクチン 入りでも、そこは絹タンパク質とは違うゼイって感じやわ。・越後上布ラミー糸を経だか緯だかに使っている少し値段安いものを古代越後上布 の名称で売っていました。何が「古代」やねんって思う。どーせなら、 「現代上布」でっしゃろに。ラミーでもええのを使えば,そこそこのもんができますって見本やね。 値段と見事にリンクして風合いがようなっているのが面白いというか、 何と言うか。でもねー、安い小千谷でも10年20年使うたら,柔らか くなるんですよ。普段着の麻というのはそういうもんですわ。ほんまも んの上布の細い糸の涼やかさを求めるなら,ラミー半分ではあきません し、でも、ラミーでええんやったら、小千谷の番手の細いもんでも十分 やと思うんで、中途半端な感じがするわ。雪晒も、ハ縫い込みで15000円程でできるとか。木綿や絹は?なん て質問をしてはる人がおった。答える側が麻しかしたことがないって解 答。あんさん、タンパク質をオゾンで曝したら、ぼろぼろになりまっ せ。雪晒の原理を考えなはれな。それくらいちゃと答えなあきません で。オゾンでさらしてOKなのは、理論的に考えるとイロイロあり そうやけど,私が実践的に言えるのは、しなくらいでっせ。しなみたい なマイナー繊維は別にして,少なくとも,木綿と絹と毛は絶対やったあ かんくらいのことは言いましょうよ。・大麻珍しく大麻の布もあった。昨今のマリファナ騒ぎで、大麻を栽培するの もたいへんやからなあ。ほんま、繊維植物としては優秀なんやけどね。 なんせ、大麻は安全だとか(カンタビノイドでっせ! 受容体の感受性 変化ってもんを考えなはれ、ねえ。少なくとも,精神的依存性はあるっ て、大麻合法化主張する人は体現してるやないの)、外国では許可され ている(されていないんだけど、そういうデマを信じてる人が多いのは 情けない)などなどで、ヤバい今日この頃,ますます、繊維としての大 麻も作るのが難しくなるやろうなあ。無理に大麻繊維を使わんでもええっちゃエエんですが,そこは宗教的な 意義もありますさかいにね。On 2009/06/28, at 9:03, wrote: