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学生であるYさんにとって”数学”は難解なものらしい。
ひとつつまずくと、進むたびにドンドン訳がわからなくなるそうだ。
なんと言っても”公式”が呑み込めない。

それならばと、クラスでも優秀なK君に教材を借りることにした。
その学年全体が使っている問題集だ。
学習塾で、2学年も上の教材をスラスラ解いている。
彼ならば間違いないだろう。
早速、家に帰ってからページをめくる。

驚いた！
全然参考にならない！
借りて失敗した！

”答えしか書いてない・・・。”
優秀すぎる彼の頭の中で、すでに”式の過程”が終了している。

力の差がありすぎるものは”参考にならない”ようだ。
まぁ、例えてみれば
”近所の丘にしか登ったことがないのに、
　いきなりヒマラヤ登頂を目指すようなものだ。”

でも、このK君こんなに優秀なのに時々間違いがあるのがご愛嬌。
過程を書いていたら間違いなかったはずなのにね。

ヒマラヤといえば、以前友人が旅したブータンである。
なんでこんなマニアックな旅行かといえば、
彼女が同行した友人は、かの”海外青年協力隊”の方であった。
当たり前の観光旅行的国は興味が無い。

そこで彼女は”登山”に挑戦した。
やっとの思いでたどり着き、ひーひー言いながら山を下った。

「スゴイ山でしたね。」
と言ったら・・・・

「あれは軽く丘で慣らしただけで、本番は明日です。」
と言われ、丁寧にお断りしたのは言うまでもない。

ブータンの標高は人口の多い中央地域で１２００メートル～５５００メートル。
首都ティンプーの標高は約２５００メートルである。

私なら、すでに高山病の病いにふせっている事だろう。
恐るべし海外青年協力隊！！

しかし、この国になんのしがらみも無くなったら
”シニア海外協力隊”となって、世界に羽ばたくのも良いかも知れない。