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テーマ:今日の出来事(292612)
カテゴリ:最近読んだ本
■コミック「岳」のもと本の一つ 12月20日のこのブログに、コミック「岳」(石塚真一~小学館BIG COMICS)に登場する民間ヘリコプターレスキュー隊の「牧英紀」のモデルが、「篠原秋彦」という実在した人物だという話を書きました。 ネットショップから届いた「空飛ぶ山岳救助隊」(羽根田治~ヤマケイ文庫、2011年6月)を読みました。山岳遭難に関する著書が多い著者(羽根田)の作品だけあって、篠原秋彦の生涯を、実際の救助現場の状況をリアルに再現する形でよく描いています。 「空飛ぶ山岳救助隊」 読んでみると、確かに牧英紀は篠原秋彦をモデルにつくりだされたキャラクターだということがよくわかります。それは、民間ヘリコプター救助隊の救助員という設定だけでなく、あごひげをたくわえた風貌や、がんこ一徹で常に完全を求める性格なども、まさに篠原秋彦をイメージしたものになっています。 それだけでなく、「岳」の主人公の島崎三歩が救助した遭難者によく言う「よくがんばった」というせりふは、実は篠原秋彦がよく使った言葉だったこともわかりました。コミック「岳」を描くにあたって、作者の石塚真一は「空飛ぶ山岳救助隊」の単行本(山と渓谷社1998年9月)を一つの参考にしていることがわかりました。 今回、「空飛ぶ山岳救助隊」を読んでいて、ヘリ・レスキューの、危険と隣り合わせの息つまるような緊張感が伝わってきました。また、山岳遭難者の救助にあたる県警救助隊や山小屋関係者、民間救助隊の人々の苦労もよくわかりました。 この本では、山岳遭難救助の取材のために押しかけるマスコミのヘリが、救助ヘリの邪魔になっていることにも触れてあります。 テレビなどで、事件や事故現場の空撮シーンがよく出てきます。しかし、加熱した取材競争は、一刻を争う捜索や救助活動の邪魔になり、時には人のプライバシーや人権を侵害することになります。 取材や報道の自由を掲げるマスコミが、その実、取材される側の人権や、時には生命までをも軽視しているのです。事件や事故現場を撮影した映像を興味本位で取り上げるバラエティ番組などもあります。そのような番組が高い視聴率をとることがないように、視聴者の方ももっと賢くならないといけないでしょう。 篠原秋彦の山岳救助出動は約1700件、救助人数は1000人にのぼるといいます。そして彼は、その間ずっと無事故だったという、民間ヘリレスキューのパイオニアです。 単行本の発行時(1998年9月)、「空飛ぶ山岳救助隊」のサブタイトルは(ヘリ・レスキューに命を懸ける男、篠原秋彦)になっていました。しかし、2011年6月発行の文庫版では(ヘリ・レスキューに命を懸けた男、篠原秋彦)になっています。 篠原秋彦は2002年1月6日、鹿島槍ヶ岳東尾根の一の沢付近での救助活動中に事故死しました。まだ54歳だったそうです。 篠原秋彦の不慮の死から10年目の冬がやってきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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