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テーマ:最近観た映画。(40086)
カテゴリ:最近見た映画
■3つの言葉が使われる台湾映画 「海角7号~君思う、国境の南」は2008年に台湾で公開され、台湾で史上2位の観客動員を記録したという。(ちなみに1位は「タイタニック」)日本では2009年12月に公開されている。 「台湾映画の大ヒット作」 <ネタバレにならない程度のあらすじ> 約60年後、台湾の恒春の町。ミュージシャンの夢が破れた青年阿嘉(アガ)が郵便配達のアルバイトをしていた。彼が担当した郵便物の中に、宛て先不明の手紙があった。住所は「海角7号」。しかし、現在この地名は実在していない。実は、その手紙は60年前に引揚船の中で書かれた手紙だった。亡くなった父(元教師)の遺品を整理していてこの手紙を見つけた娘が投函したものだった。 この60年前の手紙の物語と、恒春の町おこしのための町民バンドの話が絡みながらストーリーは進行していく。阿嘉は町民バンドのリーダーとなる。そして、このバンドのマネージャーは、モデルになる夢が破れた日本人女性友子がやることになった。 果たして、60年前のラブレターは届けられるのか。そして、小学生から老人までの素人ばかりで作られた町民バンドはどうなるのか・・・・・・・・・。 この映画では、中国語(北京語)、台湾語、日本語の3つの言葉が使われている。自分には中国語と台湾語の違いは判らなかったが、日本語版の字幕では、台湾語には文頭に「・」のマークがつけてあった。 台湾の民族構成は「本省人」85%、「外省人」13%、「先住民」2%となっている。「本省人」はもともと台湾に居住していた中国系の人たち、「外省人」は第2次大戦後の中華人民共和国の成立で台湾に逃れてきた国民党軍と移住者たちである。 大雑把にいうと、「本省人」が使ってきた言葉が台湾語(もともとは中国本土の福建省沿岸から来た人々が伝えたという)、「外省人」が第2次世界大戦後に持ち込んだのが中国語(北京語)となる。そのほかに、もちろん先住民も独自の言語を有している。 50年間の日本統治時代には日本語が強制された。しかし、人々は台湾語を話し続けた。そして、戦後は中国から来た国民党政府により中国語(北京語)が公用語とされ、台湾語はまた無視された。それでも台湾の人々は、自分たちの言葉を話し続けてきた。 台湾の南部に行くほど台湾語が話される割合が高いという。だから「海角7号~君思う国境の南」では台湾語が飛び交っているのである。このことを知っただけでも、この映画を観てよかった。また、先住民出身の警察官、客家人(はっかじん=中国語の方言の一つ客家語を話す人)の商売人なども登場し、台湾の多面性を再認識することもできた。 台湾で大ヒットしただけあって、台湾の人々の陽気さや活気とともに感情の機微がよく描かれていて楽しめる映画になっていた。 大半のメディアがこの作品を好意的に取り上げる中で、日本統治時代を郷愁で表現し、植民地支配の暗部を描いていないと反論する声も一部にはあったという。どんな表現にも多様な感じ方があって、それはそれでよいと思う。 歌手の中孝介が、青年教師役と本人役の2役で出演しているのも見逃せない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/01/28 03:55:24 AM
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