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テーマ:中学校社会科(59)
カテゴリ:教育全般と社会科教育
拡大し続けるEUの盟主、ドイツ連邦共和国 EUの前身であるECSC(European Coal and Steel Community=欧州石炭鉄鋼共同体)が1952年に発足したとき加盟国は6ヶ国だった。ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、フランス、イタリア、西ドイツである。ECSCは石炭や鉄鉱石など資源の共同管理を目的としたものだった。 1958年にEEC(European Economic Community=欧州経済共同体)となり、1967年にはEC(European Community=欧州共同体)に発展した。1973年にイギリス・アイルランド・デンマークが、1981年にギリシャが、86年にスペイン・ポルトガルが加わって加盟国は12ヶ国となった。 「EUの旗」 ヨーロッパの統合は進んでいたが、まだ米ソ対立による東西冷戦が続いていた時代である。このころ、西ドイツはヨーロッパの西側陣営の一番東端に位置していた。 1989年、東西ベルリンをへだてていた壁が崩壊し冷戦時代に幕が降りた。翌1990年10月3日、西ドイツが旧東ドイツを吸収する形で再統一を果たした。しかし、統一直後の旧東ドイツ地域の経済は破綻していた。非能率なうえに環境への配慮のない工業生産によって自然破壊もひどかった。 「再統一直後の首都ベルリン」 しかし、旧東ドイツという重荷を抱えながらもドイツはめざましい復興をとげた。現在のドイツ連邦共和国は、面積は35.7万平方Kmで、フランス、スペイン、スウェーデンより狭いが、人口は8230万人(2010年推計~2011年国連人口統計)とヨーロッパ最大である。そして国内総生産(GDP)は3兆3120億ドル(2010年)で世界4位、ヨーロッパ最大の経済大国となったのである。 ECは1993年にEU(欧州連合)となり、加盟国は27ヶ国に拡大した。旧東ヨーロッパの国々が続々と加盟したのだ。そしてその結果、ドイツは地理的にEU加盟国(広義のヨーロッパといっていいだろう)のほぼ中心の位置を占めるようになった。 ドイツ史上初の女性首相アンゲラ・メルケルは、ギリシャの経済危機に際して一貫してEUによるギリシャへの経済支援を主張した。その高い経済力を背景に、今やドイツは政治的にもEUの中心的な存在となっている。 ドイツはエネルギーの6割を輸入し、電力の10%を原発に依存している。メルケル首相は当初は原発推進派だった。しかし福島原発の事故を受け、2022年までにドイツ国内の17基の原発を廃炉とする方針を打ち出した。新しいエネルギー政策の行方も注目される。 現在ドイツには約700万人の外国人労働者がいる。第2次世界大戦後の労働力不足を補うため工業化の遅れた南ヨーロッパ諸国から一時的な労働者として受け入れたのが始まりである。一番多いのはトルコ人の約200万人という。その結果、外国人差別や排斥などの事件も起こっている。 かつて極端な民族至上主義でユダヤ人への差別そして虐殺を行ったドイツが、今は多民族社会への道を開こうとしている。これも歴史上の大きな実験として注目されることだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/02/13 04:08:05 PM
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