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重松清「希望の地図」 「希望の地図」(重松清:幻冬舎 2012年3月)は、不登校になった男子中学生と、その父親の友人であるフリーライターを中心に書かれた物語です。この本の帯には「被災地への徹底取材により紡ぎ出した渾身のドキュメントノベル!」とあります。 この単行本のもとは「日刊ゲンダイ」に、2011年9月から翌年2月にかけて連載されたものです。だから、この物語には東日本大震災から半年後の被災地の状況が具体的に反映されています。 「希望の地図」 東京の世田谷に住む中学1年生の光司は、有名私立中の入試に失敗し地元の公立中に入りました。しかしいじめを受けて不登校になります。2011年9月11日、光司の父親は、光司を大学時代の友人でフリーライターの田村章に会わせます。やがて光司は田村章の被災地への取材に同行するようになります。 物語仕立てですが、光司と田村章が出会う被災地の状況は著者重松清の実際の取材に基づいているようです。なぜなら、田村章という名前は重松清のフリーライターとしてのペンネームなのです。 <田村章とともに光司が訪れた地(その一部)> <印象に残る言葉> 「2年半経って」 重松清には学校のいじめや不登校などをテーマにした小説が多い。主人公の光司が、被災地の姿に触れて元気を取り戻す過程は書かれているが、彼の出す結論や結果には触れていない。それは、「被災地」とか「被災者」という言葉でひとくくりにできない、東北の現状をも象徴しているのだろう。 マスコミからは伝わらない現実の一部が確かに伝わってきます。特に中学生に読ませたい本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/01/18 07:26:53 PM
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