ますます難しくなる近未来予測
昨日(12/30)が東証の大納会だった。これで、今年1月20日の本ブログで出題していた「2014年 今年はどうなる」の正解が出そろった。以下長くなるが正解とコメントを書いておこう。
1 2月開催のソチオリンピックで、日本はメダル(金・銀・銅合わせて)を8個以上とる
過去最高は、1998年長野大会の合計10個(金5,銀1,銅4)だが...
正解は「〇」。ギリギリ8個獲得(金1、銀4,洞3)という結果だった。IOC(日本オリンピック委員会)はもっと高い目標を掲げていたが、自分は8個が分水嶺だと思っていた。想定外だったのは、女子フィギュアの浅田選手、女子ジャンプの高梨選手がメダルを逃したこと。男子ジャンプでのレジェンド葛西選手の五輪出場7回目での自己最高となる銀メダルは見事だった。
2 6月開催のサッカーワールドカップ・ブラジル大会で、日本はベスト8以上に入る
これまでの成績は、2002年日韓大会と2010年南ア大会でのベスト16が最高だが..
正解は「×」。予選リーグCで1分け(対ギリシャ)、2敗(対コートジボアール、コロンビア)で予選リーグ敗退。当時世界ランキング44位の日本としては順当な結果として受け止めざるを得ない。ソチ五輪もそうだが、商業メディアが儲けたいがために騒ぎすぎた感が強い。
3 元東北楽天イーグルズの田中将大投手が、大リーグで10勝以上をあげる
昨シーズン24勝0敗という驚異的な成績を残したが、果たしてメジャーではどうか...
正解は「〇」。 20回先発して13勝5敗。5月20日のカブス戦で敗戦投手となり、昨季から続いていた日米通算連勝は34でとまった。7月9日に右肘の違和感から故障者リストに入ったが、9月21日は復活登板して13勝目を上げた。故障がなければ15勝は楽に超えていただろう。すばらしい成績だった。
「田中投手ヤフオクドームでの最後の勇姿」
(7回を7安打3失点に押さえ勝ち投手(この年の19勝目)となる~2013年8月30日撮影)
4 NHKの12月の世論調査で、阿倍内閣の支持率は50%以上を維持する
与党内に有力な対抗馬も無く、野党勢力は分散し凋落しているが...
正解は「×」。 10月52%、11月44%で、12月調査では「支持する」47%、「支持しない」38%。調査は5日~7日の実施だが、14日投票の衆院選で自民党は291議席と安定多数を確保、阿倍内閣が信任されたという結果だった。問題なのは52.66%と戦後最低を記録した投票率である。明確な争点を作り得なかった野党の一人負けともいえるし、各党の政見に関する報道が不十分だったメディアにも問題がある。低投票率での共産党の議席増は想定内で、この結果は決して「躍進」ではない。
5 12月最後の為替市場で、1ドル110円以下の円安になっている
2年前の70円台と比べると、現在の105円はかなりの円安だがもっと進むのか...
正解は「〇」。12月30日の東京外為市場は1ドル119.79~119.81円だった。アベノミクスのデフレ脱却、金融緩和政策で円安が進行している。衆院選で阿倍内閣が信任されたので、円を売ってドルを買う円安はさらに進行し、2015年は1ドル130円までいくかもしれない。
6 今年中に、日経平均株価が1日の終値で18,000円を超える日がある
株価は現状では底堅いが、4月に実施される消費税アップがどう景気に影響するか...
正解は「×」。 昨日(12/30)の大納会での日経平均は1万7,450.77円。12月は1万7,500円台でもみあい、1万8,000という設定は絶妙だった(自画自賛)。今年は1万5,908円で始まり、4月11日に1万3,885円と最安値をつけたが、その後は押し上げた。2015年は2万円が攻防線になるだろう。
「庶民には関係ないが躍る見出し」
(1年間で7.1%の上昇、大納会での終値としては15年ぶりの高値だった)
7 我が国の原子力発電所の稼働率が0%という状態が継続する
全国17ヶ所の原発はすべて運転停止中か定期点検中、再稼働へのハードルは高いが...
正解は「〇」。2014年中は原発稼働率は0%が続いた。2011年3月11日の東日本大震災による福島第1原発の事故以来、原発の安全基準が厳しくなり運転休止が相次いだ。2012年7月から再開していた関西電力大飯原発(福井県)3,4号機も2013年9月15日以降運転休中である。
8 村上春樹がノーベル文学賞を受賞する
このところずっと下馬評にはあがっているが、今年こそ受賞なるか...
正解は「×」。 村上春樹の受賞はならなかったが、青色発光ダイオードの発明で天野、赤崎、中村の3名が受賞した。最近の文学賞選考にはメッセージ性が重視されるようだ。村上春樹は確かに多くの国の人に読まれている物語作家だが、メッセージ性が不足しているように思う。
9 11月実施のアメリカ合衆国中間選挙で、民主党が下院の過半数を獲得する
現在は過半数を下回っているが、オバマ大統領の残り任期に弾みをつける結果となるか...
正解は「×」。 野党共和党が上院52議席、下院243議席を確保し、民主党は上下両院で過半数確保ができなかった。オバマ大統領は任期を2年残してレームダック状態となったが、選挙後にキューバとの国交回復というサプライズを発表した。あえて選挙前でなかったところに、現在のアメリカの保守回帰という傾向が読み取れる。
10 年内に日中首脳会談が実施される
政治的に冷え切っている日中関係を打開するきっかけがうまれるのか...
正解は「〇」。 11月10日、安倍首相と中国の習近平国家主席との首脳会談が行われた。野田首相のとき以来約2年半ぶりである。あの笑顔なき握手は、日中の様々な課題を象徴する、リアリティあるシーンだった。でも、両国の経済関係は政治的困難を凌駕する量をまだ保っている。
<出題者shigeの予想>
1=○、2=×、3=○、4=○、5=×、6=○、7=○、8=×、9=×、10=×
<正解>
1=○、2=×、3=○、4=×、5=〇、6=×、7=○、8=×、9=×、10=〇
4,5,6,10問の4問が不正解で、6問正解の60点でした。自己評価は「まあまあ」というところでしょう。「2015年 今年はどうなる」の問題は、例年通り1月20日ごろ発表する予定です。
今年2014年を一言でいうと「国際化(グローバリゼイション)の良い面と悪い面がいろんな面で浮き彫りになってきた年」ということではないだろうか。社会、文化、経済面での活動が国境を越えて展開していくことが国際化であるが、果たしてそれは人類にとって正しい進化なのだろうか。
今年は「経済格差拡大」、「地球規模での環境汚染」、「国際的犯罪やテロ」など、国際化の負の側面がクローズアップされたように思う。国際化を必然の流れととらえるのではなく、地域の多様性を尊重することを基盤に、地域に適した持続性のある発展が今後の課題となってくるだろう。