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カテゴリ:趣味能楽尺八
能楽の謡稽古は楽しい。
そして、心地よい。 日本にいた時も、毎日の謡は欠かせませんでした。 しかし昨年までは、音がどんどん下がっていくと、胸椎あたりと骨盤の緊張と詰りを感じ、毎回同じくだりで声が出なくなってしまい、稽古が苦痛の時期がありました。 おそらく、これも修錬でいう「突破口」です。 この「低音が出せない」というのは、キーの高低というよりは、『内臓と関節の詰まり』が苦しいのです。 お寺でお経を唱える時に、和尚さんの声に合わせようとすると、女性はかなり低くめになるので、なかなか声が出ません。 最初は、キーを合わせようとして、高さにばかり気を取られるのですが、喉から声を出そうとしてもそうそう出るものではありません。 身体の詰りがとれてきて、緩んでくると、腰(丹田)が充実してきて、内臓が響くようになり、自然と声が出せるようになります。 腹が空っぽになり、中が響くようになると、音域が広がり、いわゆる倍音が出るようになります。 (空っぽになる感覚になると、そこに力がみなぎってきて、風のように息が通るようになります) 冬至以降のお能の謡は、「西王母」から「羽衣」に移り、金から水の気を受けて、身体が大いに変化しました。この時期は、太陽膀胱経を通していきます。 西は金、羽は水。金生水。 辰年にちなんで、「羽衣」に登場する「白龍」がまためでたいかな…。いや、青龍だとめでたいが、白龍かあ…。 2022年桃花祭、福山鞆の浦にて私の記念すべき”地謡”初舞台。 この美しいシテ・師匠は「羽衣」を舞いました。 日本人がお能の謡いやお経を聞いて心地よく感じのは、ひとつは、言葉の中に、現代の「横文字」「外来語」がないからだと思います。 和製英語やカタカナは、西洋のものなので、「金のエネルギー」を帯びており、東洋の木の属性とは全く異なります。 金属は、硬くて、冷たくて、重く、樹木や草花は、温かく、のびのび、生命力にあふれています。 大和言葉は、音もやさしく、息に合わせて謡うので、どんどん元気になってきます。 2年ぶりに「羽衣」を通して謡いました。内臓が振動し、背骨から頭に抜けていく感覚が心地よく、気づいたら、90分も謡い続けていました。 毎回、この下りが来ると、地の人と天の違いを思い知らされる気がします。 天女に羽衣を返したら、約束の舞曲を舞わずして、天に帰ってしまうのではないかと疑う白龍に対し、 「いや疑は、人間にあり。天に偽、なきものを。」 と返す。続けて、白龍は 「あら、恥ずかしやさらばとて衣を返し興ふれば」 毎回、自らを省みる瞬間です。 この2,3年でお能の舞台をたくさん見ることができたことは本当に幸せでした。 また「能楽旅」ができたらよいな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年01月12日 06時59分49秒
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