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深夜魚

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Oct 20, 2004
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カテゴリ:どこかにある場所
瞼の裏を幻視する。
白い壁に背を持たれた人影が、すっと歩み始めると
壁に黒い人影の影が残った。
今度はその影が動きだしたが、やっぱりそのあとには黒い影、
今度はその影の影が動きだしたが、やっぱりそのあとには黒い影、
今度はその影の影の影が動きだしたが、やっぱりそのあとには黒い影……
いつまでもやむことなく、黒い影が白い壁から沸いて街の中へ歩み去って行く。

瞼の裏を幻視する。
団地の隅にある部屋。薄暗い色で塗られた鉄の扉の内側に、
ずっと人が立っている。長い髪を胸まで垂らして、
じっとレンズから外を覗いている。
男か女かもわからない。身にまとっているのは、無地のパジャマ。
ただじっと息を殺してレンズを覗き込んでいる。
その目は真っ赤に染まって。
誰かが扉の前に立ってチャイムを押してもただそこに立っている。
ただじっとレンズ越しに、真っ赤な目で扉の前に立つ人の顔を見ている。

瞼の裏を幻視する。
狭い部屋にあるふたつの扉を見ている。
右は白い扉、左は緑の扉。
小さなノックが聞こえて、白い扉を開いて少女が入ってくる。
ちょっとおどおどした感じで遠慮がちに。
それから部屋に誰もいないことを確認すると、
自分の白いワンピースを見直して、
ちょっと裾のあたりを整えて、
ノックもせずに緑の扉を開いて中へ入っていく。
行ってはいけない、そういいたいのだが、
彼女たちに私の言葉は聞こえない。
緑の扉が閉まらないうちに、ノックが聞こえ、また少女が入ってくる。
途切れることがない。少女たちはふたつの扉を抜けていく。
戻ってくる少女はひとりもいない。

瞼の裏を幻視する……。





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Last updated  Oct 21, 2004 06:27:12 AM
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charberry@ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo@ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく*@ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
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