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カテゴリ:ミシンの事
何をするために必要なのか、どのように使うのか、革加工のプロの業界では ミシンの次に必需品ですが一般的なレザークラフトレベルではお目にかかることも少ない 機械なのです。 工業用ミシンのお店で販売していることすら、一般人には知られていないようです。 そこで今日はこの皮スキ機を語ってみましょう。 私も皮スキの沿革など古い事はわかりませんので、業界の年長者の方に聞いてみたのですが、 戦前からあったようでおそらくアメリカのシンガーミシンか、ドイツ、イタリアあたりで 今の原型モデルが始めて製造されたのではないか、ということでした。 ちなみにミシンの場合のほとんどはシンガーが淵源になっている場合が多く 日本製メーカーはシンガーから見れば概ねコピー品ということになります。 ともあれ、ミシン同様、皮スキも戦後になって国産機械メーカーも外国製をコピーする形で 発展してきたといわれています。 現在でも一番有名でスタンダードなニッピ機械の皮スキをはじめ、ナカジマ、スモリバ、 ニューロング、ニシヤマ、ドイツのフォーチュナーなどのメーカーがありました。 そういえば、セイコーミシンでも作っていましたね。 今、残っているのはニッピとフォーチュナだけでしょうか。 他に比べて高価でも古い皮スキ専門の職人さんなどはニシヤマの機械をよく使っていたりして、 頑強で無骨なデザインかつ高い精度の逸品としてプロから高い評価をうけていたようです。 しかし残念なことに5年くらい前でしょうか、ニシヤマ機械は完全廃業してしまいました。 さて、何故、革加工に皮スキ機が必需品なのかというと‥ 皮製品は靴、鞄、財布、など、切りっぱなしの裁断面ではなく縁を折り曲げて(折込という) 作るものが多くあります。 生地と違って元々厚みがある革の縁を折り曲げようとしたらゴワゴワしたものが 出来てしまいます。そこで折る前に縁先を薄く”漉く”ことが必要なのです。 また、薄くしないと丸くカーブを折り込むことは不可能なのです。 あまり一般人は気にも留めない事ですが、自分の靴なり財布なりをしげしげ見ていただければ 皮スキ機がいかに多く使われているかがお分かりでしょう。 皮スキ機械を使わず包丁一本でこの作業していたツワモノ靴職人さんも私の記憶には ありますが、皮製品の魅力あるディテールを影で演出しているのが、 皮漉き機械だったのです。感謝、感謝。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 1, 2006 11:06:05 PM
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