揺らぎ(2)
お気に入りからチャットルームをクリックする。自動ログインして「気楽に行こう」のいチャットルームに入る。部屋にはミケ、ピーターパン、白雪姫がいた。 アリス:こんばんは~>オール ミケ:こんばんは>アリスピーター:こんばんは>アリス 姫:こんばんは>アリス ミケ:もうそろそろお開きにしようかって言ってたとこだよ>アリスピーター:でも、せっかくだからもう少し話そっか 姫:ゴメン。私、明日早いから抜けます>オール ミケ:うん。おやすみな~>姫ピーター:おやすみ>姫 アリス:おやすみ>姫 姫:(*^ー^)ノ☆。・:*:.・★,。・:*:.☆またね♪ピーター:今日はでぇとぉ?>アリス アリス:うん。まあね>ピータ ミケ:あの彼氏と?>アリス アリス:そそ。あの1回別れた彼氏と>ミケピーター:上手くいってるの??>アリス アリス:微妙かも(^^;;>ピーターピーター:経験上、精神衛生上よくない、よ。そういう付合い方は>アリス アリス:私もそう思う。特に最近>ピーターピーター:自分の気持ちに正直にならなきゃ・・・って私も人の事言えないけどさ~>アリス アリス:自分の気持ちもよく分かってないかも>ピーター ミケ:なんじゃい、そりゃ?>アリス アリス:ダメな雰囲気は感じるんだけど、別れを言い出すまでにはならない>ミケ ミケ:好きなんだね>アリスピーター:自分自身も分からないのね。私もあったわ~。そういうの。でもちゃんと整理しないと大変になるわよ>アリス アリス:そうだね>ピーターピーター:そろそろ私も抜けるわね>オール ミケ:おやすみ>ピーター アリス:おやすみ>ピーターピーター:おやすみ>おおる ミケ:いっちゃったな~ アリス:だね ミケ:まだ大丈夫? アリス:目が冴えてきたかも ミケ:じゃ、オールで行こう♪ アリス:無理。それは無理。(-.-;; ミケ:でもさ、ピーターの行ってた通りだと思うよ アリス:え? ミケ:そんな状態終わってるっちゅーの アリス:でも・・・ ミケ:他の男も見たほうがええで。俺とかな。 アリス:ぷぷぷ ミケ:なに笑っとんじゃい アリス:ゴメン、ゴメンあんまり唐突で ミケ:マジで。俺とそのコウジ?ってやつどっちがええ男か確かめてみたらええんや アリス:頭に入れとく ミケ:遊びはこれまで。ふぁ~寝よか アリス:うん。おやすみ ミケ:おやすみ顔も知らない文字だけの世界。実生活に直接関わり合いの無い、空想のようなものだ、とサトミは思ったりする。でも、だからこそ、心のうちをさらけ出せたり出来る。ミケの言う事も一理あるかもしれない、と思いつつ眠りについた。1週間に1回のペースでコウジに会う。これといって普通のデートをする。新しいカフェが出来たら覗きに行く。ウインドウショッピング、映画、公園を散歩、コウジの部屋に行ったり・・・。その日もビデオをレンタルしてコウジの部屋に行った。部屋に入るとコウジが絡み付いてきた。そしてそのままソファーに倒されキス。キスをされると身体の緊張も解けてコウジを許してしまう。コウジと交わると全て溶けてなくなりそうになる。何もかも忘れて頭の中が真っ白になる。この一瞬がコウジから離れられない原因なのかもしれない。だるかった。コウジは煙草をふかしている。そしてソファで一緒にビデオを見た。シャワーを浴びにバスルームに行く。洗面台に小さなハート型のピアスがあった。サトミのものではない。でも、コウジに問いただす事も出来なかった。自分の存在の位置を確認するのが怖いと思った。何事もないようにコウジの部屋を出た。あのピアスを見てからサトミの心は今まで以上に揺らいでいた。以前のように狂ったように攻め立てるサトミではなかった。どうせなら本当に狂っちゃえばいいのに、そう思ったりした。サトミはまたアリスになっていた。ピーター:それって浮気の証拠じゃないの?>アリス 姫:どうして突き止めなかったの?>アリス アリス:怖かったから ミケ:怖いって?>アリス アリス:また前みたいに崩れるのが怖い携帯が鳴った。コウジからだ。 アリス:ゴメン。ちょっとロム「もしもし」「あ、俺だけど。」「何?」「あのさ・・・明日、会う約束してたけど、高校の時の友達が急にこっち来る事になったから。ゴメン。」「う、うん。分かった。」「じゃ。」 クス クス クス クス ・・・電話の切れ際に女の笑う声が聞こえた気がする。いや、聞こえた。聞こえた気がするって気のせいにしたかった。PCにはミケからメッセンジャーが来ていた。 お~い。まだロムってるの? 早く戻っておいでよ。サトミは、そのメッセージを目にする事無くPCの前で泣いていた。 <つづく>面白かったらクリックしてください → 人気blogランキング