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灯台

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2020年05月31日
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​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  [​登場人物​
  ​詩人​
  
  天使

  ​数学者​
  悪魔
  花
  
  料理人
  青い鳥



詩人 ​暗い夜の街彷徨う​​​・・・神経がぞろぞろ、女の股に向かって這い出してゆく・・・無数の化石の層だよ、飾り細工だよ・・・動物の歴史には手古摺らされるね、愚鈍で醜悪な上っ面・・・別に詩は芸術だとか、高尚なものだとは口が裂けても言えないがね・・・酸っぱく腐った種の無管轄に属した役目を終えた個体だよ。ああ・・・意図をもっと鮮明に出せるだろ・・・ああ・・・昔に弱者の化身にでも宗旨替えして、生殖の推進機でなく・・・・・・禁欲主義者にでもなるべきだったか・・・狼狽気味だ・・・・・・一廻転させてみた、クローズアップ、文句のつけようがない死の伝染・・・

声 ​​君は声を欲しがってる、書けながら竦み、竦みながら駆けてゆく弩のようなものを・・・・・・君は幼稚な未成熟なその天上的なプリミティヴなものを。まだ君は夢見ている、ユートピアを・・・純粋に仮構的な夢の中の現実的な姿を・・・・それが氷の建造物、陽光という電気的な白いエネルギーでとけてゆく、氷山の一角・・・まだ古い海図は必要か・・・修理手引書・・・破れた砂袋そのものにもなった君よ・・・・・・

 (​​展翅く音がする、​​
​​
天使 酷なことだね・・・まだそのような濾過は必要なのかな・・・彼はもう神秘の鍵が何処にあるのかを知っている・・種明かしはもう終わっているのさ・・・空白、陰影・・・一つ一つの眼の中に見えていながら閉ざされているものの中に声がある・・・壁画や装飾や音楽そのどれにもある真理の種・・・物は照らし出されるためにある・・・・・・

数学者 式の展開と因数分解・・・ああ、数字が好きだ・・・こんなに美しいものとどうして、心中できないことがあろう。ハハハ・・・数字だ、お前たちはなんて美しい、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9・・・メトロノーム、超数字、超超数字、ああ超超超数字、人間も数字! 犬も数字! 猫も数字!・・・破壊的なモザイク、さまざまな結果に直面する迷路すらも探り当てられる・・・数字・・・哲学、ああ奴隷、誘惑の豚・・・すべては関係の長い連鎖だ・・・おお、欲情してきた・・・!

​​​
  (​​​冷ややかな眇眼を与え、​​

  

  [​蜘蛛の巣
 ​ [​廃屋の水道管


  ​​事態の危険性にくらべて、いささか切実生に欠けている。​
  どんな規則になっているのかさっぱりわからない。
   スピン安定技術、旋回半径・・・・冷却開始、知能回路の一時的閉鎖。
  病的無感覚の点、因果関係の逆転、フロイト的復讐・・・。

​   進行方向に向ける対地効果・・・衝撃の吸収・・・・・・。
 
 (それを見て、

​​​詩人​ 水が欲しい・・・キラキラ光る、水晶の水・・・コップの底から、沸き立つ気泡の・・透明な・・・・・・水・・・・・・心は田園地帯を求める、情欲の病熱とは別に常に発熱していないもの・・・冷覚・・・・・・俺は旅をしたいのだろうか・・・メビウスの輪のようだ・・・上半身から下半身へ、しなうように力を伝えるように・・・・・・無言の囁きが、煙のように漂っているだけだ。嘲りだ、採集箱だ・・・・・・待つことになれた詩人に、恥がある・・・物の輪郭を包む淡い透明だ・・・現状とのなれ合いがある、瞬間に便乗し、後を追い掛けるものがある・・・・・・空の青が透いて見えるような脆い花弁、風は空虚なほどに冷たい・・・・・・俺も昔は豊饒な感触で、訳もなく睨みつける視線の表情をして、冷酷、陰険、侮蔑、挑発、ああそのようなものをホチキスでとめたように瞳に飼い慣らしていた・・・・・・昔の話だ・・・・・・裸足で歩いてみようか・・・また雨の中に飛び出してみようか・・・・酒を浴びるほど飲んでぶっ倒れてみようか・・・・・・

声 ​​破滅願望は、己への自虐心・・・同時に完璧主義者の制服・・・鳥籠に春が来ないことがそんなに君は淋しいか・・・大きな川をまだ上手くつかまえられない君は苛立つ・・・いっそ、眼を潰してしまえばいい・・・いっそ、耳を聞こえなくしてしまえばいい・・・君に足りないのは悲壮だ・・・極限まで追いつめて身をすり減らしてしまえばいい・・・余計なことなど何一つ考えなければいい・・・

 (ずるずる、と人間の魂の入った袋を引き摺る音

悪魔 何度も何度も無感覚の荒涼・・・気が滅入るゲーム、パラドックス、破壊、殺戮・・・戦争、パン屑と砂糖の欠片と蟻・・・・・・エネルギーのピーク・・・通行不可能な断崖絶壁に咲く夜の花・・・堕落、冒瀆、そして地獄絵図の見世物・・・・・・古ぼけた貨物船が回帰線をゆく・・・サハラ砂漠の灼熱・・・寄生虫・・・檻に罠・・・不完全な言語・・・・・・そいつはまだ、警告を発する影を望み、捉えられ、抱きしめ、すべての感覚を盈たすため燃え盛る炎の中に入りたい・・・止めてやるなよ・・・見慣れぬ星座・・・食人種を妖術使いのように語ってやるな・・・反射作用・・・そいつらは一切合財呪いをかけられている、そうだろう、俺ですら神を見たことがない・・・だから俺はそいつを徹底的に陥れる、不安にさせる・・・自殺させてやりたいと思う・・・違う、そいつが望んで死にたい・・・もう嫌だと言っただけだ・・・死こそが牢獄だって? 馬鹿言うな、救済さ。正義さ・・・

 (いつまでも揺れ続けている花、

 ​ああ、花とは何なのだろう、教えておくれ、詩人・・・雲や太陽を永遠に反射させ、時に同化するという彼は、飛行機にも、車にもなるという・・・何故ピンクや青や紫があるのだろう・・・ああ、蝶とまらないでおくれ、それは彼に触ってもらいたかった場所なのだ・・・​天道虫よ、動かないでおくれ、青い筋の浪間がのびてしまう・・・

  [真夜中の街燈

  
      (右腕を関節がなくなったような角度で外側に捻じ曲げ、

  [​遠くに見える自動販売機の灯かり​

  (トンネルに向かって怪物が吠えたてているような、
   都会の現実音がゆっくりとせり上がってくる―――

​​​詩人​ ほら見ろ・・・・・・等方位性へと・・・ゼロへと移行する、微笑の兆し・・・明日また自分自身の栄光を手にするために、あらん限りの努力を放ってつちかわれる卑俗な時間のブルース・・・・・・でもそんなもの大脳皮質の認知パターンだ、シナプスーの策略だ、正当的な頽廃だ・・・・・・義務観念、これまで作ってきた、積み重ねてきた建築物がいたましく崩れ落ちる刹那の崩壊・・・亡霊が増えてゆく、工場主に、株式仲買人に、密輸業者に、銀行家に、地方官に、市会議員に・・・・・・声には出せない認識コードという基底構造を俺は振り返ってる、殷賑をきわめた潮・・・・・・生贄になった街の地図、暗黙の衝動、雷鳴・・・・・・陰気な不協和音、それでいて心を痺れさせ、胸を締め付ける暗い澎湃とした、沛然たる驟雨・・・・・・蜘蛛の巣だらけの街に肝臓色のシェルターが覆う帷、およそ幸福の緩慢な足取りの蔭で、貧しさが想像力を発達させるように、俺は、インクの臭いをさせている、俺は先見の明の功徳を持つ・・・俺は復讐に似た愛情を持つ・・・俺は退屈で無意味な迂路を・・・循り環けている精神障碍者にも似た浮遊制御体・・・・・・

​​​声 ​​蚤の心臓、蚊の鳴くような声、猫の額ほどの心の庭・・・でも君は天心に到る一点の雲もない、晶蛍玲瓏。明鏡にして碧玉。それでいて寂滅為楽・・・君はまだ断末魔の吐息を求めてる・・・真綿の首・・・木乃伊とりの蜥蜴・・・


  (正反対の方向へ、低空飛行の跫音―――

​女​ ああ、今日も洗濯をしなくちゃいけない。死んだ細胞みたいだ・・・誰かがほくそ笑んでいるような気がする。シャッター音がする・・・・・・私は、内部が薄汚れた歯の隙間みたいなんだ。腐りかけの薔薇の花と脂肪のまざりあった匂い・・・ああ、暗い告解室の秘密の小声が言う・・・胡瓜が欲しい・・・茄子が欲しい・・・もう後ろから突っ込んでよ、たまらないんだ・・・別の角度の前進・・・遡及・・・せいりがくてききそ!

悪魔 あばずれ・・・!

  [坂道の中腹
  

  金魚すくいでもしているような気がする・・・商店街・・・・・・
   ジーパン姿の若者と擦れ違う・・・・・・
  無防備な無数の開口部・・・・・・世界は扇型・・・・・・


  (何だか、川の底にいるみたいだ、
   ほら顔の上を魚が泳いでいやがる
―――)

  
​​​詩人​ 俺は言葉を貪欲に吸収した・・・ライター用の油・・・継ぎ足し、継ぎ足し・・・誰の眼も誤魔化すことのできないという意味では、アルコール・・・人間の言葉、都市、生活、社会、習慣について・・・期待と拒絶を綯交ぜにした・・・微妙で複雑な反応・・・外部データ・・・回線コネクタ・・・接続・・・俺は叫んだ、拡声器そのもののように、呟くのではなく・・・・・・攻撃や抵抗の意志がないと人間に伝える意志がないと判断される・・・・・・それは意志交換ではなく、コミュニケーションでもなく・・・・・・もっと別の都市制御や、国家制御・・・人類のモラルや愛といった機構に向けられていた・・・・・・危険回避プログラムを持たない詩人は爆弾を仕掛けられたようなもの・・・いつか夢も魂も願望も流れ出してしまった・・・俺達は自壊的なヒステリーの爆発をしていたのだろうか・・・発条の外れた玩具・・・無意味な物質に還元する最短コース・・・・・・幾何学のように合理的な、複雑で、美しい、雪のような言葉・・・・・・最後に残るのは・・・・思想の終焉、終焉の思想・・・極北の文学、文学の極北・・・死の擬制、擬制の死・・・・・・最初考えた、誘惑というよりも生理的なもの、その意識の大きなものへ膨れ上がってくる斑点・・・

声 ​​言葉と駆け落ちする、鼻高きが故に貴からず、奇なるが為に貴しといったところ・・・君はまだ三つ子の魂・・・夢を夢見る、闘いを闘う、魂・・・百になるころには、惚れた欲眼の贔屓沙汰も終わるだろう・・・言葉は国旗やロゴマークにすぎない・・・標識だとさえ思うのだ・・・啼く鹿だと思うのだ・・・啼く亀だと思うのだ・・・蜜蜂だと思うのだ・・・巣だと思うのだ・・・そういうものは百人一首の頃と変わらない孔雀のセックスアピールだよ・・・事物への暗示が象徴であるように、個別的性格が因習的な思考方法となった時に夢が生まれる・・・あるからこそ話してきた・・・なるべくすんなりといくようにと思ってきた・・・・・・

  (メモを書き出す音・・・

料理人 牛ばら肉と・・・玉葱と・・・人参と・・・小玉葱と・・・トマト・・・赤ワインと・・・スープと・・・セロリの葉と人参とローリエの・・・・・・ビーフシチュー・・・・・・


​  (​​​展翅く音がする、​​​)​


​​天使 ああ、美味しそうな匂いだ。

  [粗雑な共同椅子

  (物音は始まりすぐに止む、足のタップ音

  記号だ、分析だ、統計だ、グラフだ、夢だ、魂だ・・・
  毛細血管が急激に収縮し、瞳孔が拡張する・・・・・・


  [混凝土の床のある公園
   


  (​ふっと力を抜く、頭からネジでも一本取るように、​

  [街路樹と高層マンションと砂場


詩人 鍵をまわしてさ、ドアを開けた記憶がある・・・靴は、踵が減った・・・水道の蛇口、でなけりゃ薄縁のベニヤ板・・・・・・不安と衝動の言葉・・・顔のない生き物の群れ、まるで剃り残した髭みたいだ・・・危険の罠の暗示・・・戦慄の輪・・・俺は何処へと歩き続けているのだろう、出口の矛盾のように入口があるがそれも跡形もなく消えてしまう、ほどけるためにあるあやとり・・・・・・理屈の通った推理や、現実的な判断・・・酸素溶接だ・・・接着剤だ・・・・・・目標選定ができなければ辿りつけない・・・だが、辿りつくところに辿り着いてしまったあとで間抜けで不愉快なものばかりだと気付いたあとはどうしたらいい・・・・・・迷うより他にない・・・加えるべき力と、位置と、方向と、さらにそれによって起こる結果とを常に変えるよりほかにない・・・反対側にまわるよりほかにない・・・自分ではなく他者になるよりほかにない・・・・・・さて俺も祈った、奇跡が起こることを・・・俺は無能ではない、反駁したい、俺はまだ過去の神よりも完全で、想像上の神よりもずっと健全だ・・・・・・ああ、永遠なんていうものを見つめている詩人が、自己保存機構を暴走させ、感覚器官に悲しみや怒りや不安や恐れを出力させる・・・蜃気楼へ・・・太陽が谷間の中で凍るような青色の物影を災厄の微行にするように・・・まだ目には目を、歯には歯をといった復讐の顔・・・仮面のなかに汗があり、肋の軋みがあり、蝶の筋肉があり、陰茎の中には深遠な夜がある・・・

声 ​​君はまだ勝手口を探している・・・美しいものを招き入れるために・・・秋の夕暮れ・・・夏の入道雲・・・・・・春の桜・・・・・・そして長い冬、閉ざされた雪、氷りつく・・・ゆらゆらと揺れながら、馬鹿馬鹿しくて気障なもの・・・詩なんていうものを無意識にまさぐっている・・・声も聞こえないほど、君は歩き続ける・・・そして誰もいなくなって、いつかそのいのちも燃え尽きてようやくわかる・・・言葉をはびこらせた意味、言葉にふくらんでいく意味・・・いつも思っているのだろう、どんなことにも違う側面がありはしないかと・・・より深い意味がありはしないかと・・・何故堕落を伴っていることが形式的な肯定や否定を伴うのだろう・・・誘惑とは何なのだろう・・・神の声とは何なのだろう・・・世界とは、時代とは、自分自身とはどのような形でつくられてゆくのだろう・・・恐怖も・・・羞恥も・・・ああ、そこにあるありとあらゆる負債もまた、世界であり、時代であり、また自分自身なのだ・・・・・・知らぬ間に年月は流れ・・・君は白髪の老人になって目覚めてゆく・・・・・・眼を瞑ったら・・・君はまた赤ん坊だ・・・・・・

  (​誰にも聞こえない声で歌っている鳥、​

青い鳥 ​​​​​​​​​​​​​​​​永遠の黄金の一瞬があるとして、無垢の純粋の清浄な一瞬があるとして、それが何、それが何だって言うの・・・・・・僕等は生きてるだけ・・・僕等は生きてるだけ・・・・・・


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最終更新日  2020年05月31日 06時09分10秒



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