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札幌の賃貸【逍遙館】の軌跡

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2015年05月23日
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カテゴリ:回想
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今年の4月30日、東屯田通りの小さな町の本屋さん「文昌堂書店」が閉店しました。
いつから営業されていたのかはわかりませんが、わたしがこの町に引っ越してきた10歳のとき(今から38年前)には、すでになかなかの佇まいで存在していたと記憶しています。
小学生の時から中学生にかけて、ほぼ毎日のように出かけていた懐かしい本屋さん。

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小学生のころは江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ、横溝正史の金田一耕助シリーズに夢中でよく買ったものです。
中学生になると「明星」「平凡」「オリーブ」「ノンノ」「アニメージュ」など雑誌の発売も楽しみでした。

小さな店の奥の一角にレジを兼ねた机があり、そこで店主がいつも本を読んでいました。
黒沢年男がかぶっているようなイスラム帽を頭にのせた店主は毎日毎日同じ姿勢、何時のぞいてもじっと動かず手元の本を見ていました。
こんなに通った店なのに、この店主との思い出はほとんどありません。
ただ閉店の張り紙を見て突然思い出したことがあります。

ある日一冊の海外推理小説の文庫をレジに持って行ったときのことです。
店主が「この本も面白いよ」とロアルド・ダールの「あなたに似た人」という文庫本を出してきました。
なんでこんな何でもないことを30年以上も覚えていたのでしょう?
ほんとうに不思議な感じがします。

確かにその本は面白くて、あっという間に読んでしまったことも覚えています。
読み終わったあとに、さすが毎日色々な本を読んでいるだけあって何が面白いか知っているんだなぁと。
そのときの感想はそんなものでした。

しかし今考えると店主は実にするどい人だったのだとびっくりしたのです。
というのは、あのときレジに持っていった文庫は海外ドラマでお気に入りだった「刑事コロンボ」の原作本だった!と思い出したから。

「刑事コロンボ」の原作者リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクは「ヒッチコック劇場」の原作でもお馴染みで、当時わたしがよく読んでいたウイリアム・アイリッシュ(またの名をコーネル・ウールリッチ)も同じく原作を提供していました。

大きな書店には検索機があり、どこに自分がほしい本があるか簡単に探してくれます。
でも機能はそこまで。スーパー書店員と呼ばれる人たちにしても、面白い本を教えてくれることまでは出来るでしょう。

しかし町の小さな本屋である文昌堂の店主は、こどものときから推理小説好きのわたしが少し大きくなって、海外ものに目がいくようになったのを感じとって、レヴィンソン&リンクやアイリッシュが好きならきっと「ヒッチコック劇場」の原作を面白いと感じるはずだと推理し、他の原作提供者であるダールの「あなたに似た人」を選んでくれたのです。

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店が閉まる前に一度、すっかり年を召された店主に声を掛けるべきだったと悔やまれるのでした。


|逍遙館俱楽部代表|



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Last updated  2015年05月23日 16時09分04秒
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