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2005年08月09日
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カテゴリ:日常(日々の泡)
 9日の午後1時過ぎです。
 今日からは、ちょっと趣向を変えてみます。
 8月8日から26日まで。

 村上春樹さんの処女作「風の歌を聴け」。
 あれでは1970年のこの日付け。
 大阪の万国博覧会の年の話になってましたが、
 僕は35年後の2005年バージョンで。
 文体は適当に。
 妙に感傷的になったりするので、
 村上さんの当時の文体も入ってきたりするかも。
 まあ、ともかく、2週間ほど下手な日記(ブログ
 なんておしゃれなもんじゃなく)をやってみます。


 2000年8月8日(月)=遡って9日に記録=
 (全国高校野球大会第3日目取材。朝9時出勤で、帰宅は午前1時半)
 
 誰もがクールに生きたいと思う時代があったそうな。
 だとすると、僕はそういう時代に生まれなかったという
 ことになる。44年間。
 
 そう。
 大学時代の何年間か。確かに、ドライに生きたい、と
 思ったことはある。人をドライとウエットの二種類で
 簡単にくくってしまうことを多くの学生が実践していた
 時代だ。

 クールとは違ってた、と僕は思う。
 単にドライ。
 粘着質が嫌われる、というのと同じだ。
 大学時代にドライに生きたいと思っていた
 やつ。結局、汗を流して何かをやるというのが
 嫌だっただけで。

 「僕にも責任があったのかもしれない」
 突然、彼は呟いた。
 なぜか延長戦が二つ入り、すべての仕事の
 終了時間が午後8時半を回ったこの日。

 阪神甲子園球場前の「白木屋」で彼は、言った。
 生ビールの大ジョッキを一杯づつお互いに空けて
 いる時だ。

 彼が語った責任は、僕が感じた範囲では、彼が責任
 と取る必要のないものにしか思えなかった。
 ただ、須磨の海岸に流れ着く波=海水が、いずれは
 南極まで行く可能性を秘めているというのとは同意
 だ。

 「仕方ないんじゃないかな。君の責任と思ってる
 ことは、すべての中で最後。かんぬきのラストの
 ‘コトン’の部分でしかないよ」
 僕は、さほどうまいと思えないビールのジョッキを
 左手で掲げながら言った。
 「それは分かってるんですけどね」
 僕の目を見ず、テーブルの上に並んでいる最初から
 冷たいつくねの棒に指先を掛けながら彼は言う。

 あの人。
 今は会社を休んでいる、ある責任感の強い男だ。
 僕と彼との共通の知人で、先輩でもある。

 「白木屋」の中の座った席からは見えないが、
 ほんの3分も浜の方向へ歩けば着く甲子園球場。
 僕は、この先輩が、10年近く前にやはりこの
 球場で、この季節に、今の僕らと同じように取材
 されていたのを思い出す。

 ドライか、ウエットか。
 いや、僕は身近で見たこともないけどクール、って
 観念であの人は生きようとされたのか?

 「僕はあの人のように、谷川さんらのように
 ぎりぎりまで追い込んで真剣に物事にあたったこと
 がないかもしれない」
  彼は、つくねを終え、再びビールのジョッキを
 手にしながら、自らに言い聞かせるように呟く。
 
 「そんなことないよ」
  言わずに、こう言わずに、心の中で君は君なりに、
 と考えて何もいわない。それがきっとクール。
 ドライでなくてクール。

 でも、そんなこと出来っこない。
 僕は、オレは生きてるんだ。余分なセリフを吐く
 なって?いや、誰もそんなことは言ってない。
 言ってないが、なにをやってもウエット。

 「今月一杯は休むらしいよ」
  と僕。
 「帰ってきても、これまでと同じようにやってください、
  ってとでも言えないですよ」
  と彼。

 クールに。あるいは、最低限ドライに。
 とよしんば目ざしたとしても大抵ウエットで終わる
 僕の第一日が終わった。

  (物語?はフィクション。登場人物を勝手に想像するのは
 結構ですが、この世に生存する誰のことでもありません)

 (下)この欄。26日までは、本と映画の紹介にあてようと思う。
 最初の今日は、村上春樹さんに敬意を表して、この文庫本を。
 タイトルが最高だと思った。本屋さんで見たとき(1998年
 8月)すぐ手にとって、家に帰ってボクシング、辰吉ーアヤラの
 世界タイトル戦を見ながらページをくった。横浜だったんだよな、
 あのときの辰吉君の試合。現場で見てないんだから。
  どうでもいいけど、いいタイトル。どうですか?





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最終更新日  2005年08月09日 15時44分57秒
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