一度は行きたい店(船越栄一郎カムバック記念)
今日、大学時代の先輩に誘われ、秩父宮ラグビー場に早稲田大VS大東文化大を見に行った。試合中、先輩(成人式を迎えたお寺の息子顔)は「集中!!」「ここ一本!!」と声を掛ける。まるで自分のチームのように早稲田を鼓舞する。そう、先輩はアツイ人なのだ。人間とは罪なもので、何かが突出していると、何かが欠ける。沢田研二だって、若い頃は格好良かったが今じゃしなびたタヌキみたいだし、MC小宮もMCハマーの真似は飛び抜けてうまいが、浅香光代の真似はそれほどでもない。この先輩もご多聞にもれず、物凄くアツくていい人なのだが、服のセンスがあまりよろしくない。今日は、真緑のスエットに、老人がよく指にはめているゴムのような柄をしたニット帽(ピップエレキバン色)という格好。まるで修行から脱出してきた織田無道のような姿なのだ。待ち合わせ場所の駅のホームに行くと、混んでいるにも拘わらず、先輩の周りはキン肉バリアが敷かれていた。誰も近寄ってこないのだ。(これをドラマがコケた真中瞳状態、もしくは、大人なった間下このみ状態という)でも、先輩は立てなければならない。(一場は毎日シモ半身が立っていたから、あのような結果になったのだが)私は「いや~、こんなに原色が似合うのは若人あきら以来ですよ」と言おうと思ったが、自重した。ラグビーは早稲田が勝ち、我々はメシを食うことになった。3度のメシより野口五郎の歌、野口五郎の歌より三井ゆりが好きな私たちは、当然のごとく歩き出した。私は嫌な予感がした。秩父宮ラグビー場は外苑前にある。一駅歩けば表参道だ。「表参道」常にウラ街道を好む私にとって、(もちろんキャプテン翼ではウラベ君のファンだし、いただきますでは浦部粂子のファン)表参道の敷居は高い。橋爪功にとっての月9、高杢にとっての漢字検定のようなものだ。しかし、我々は歩いた。そして、おしゃれな若者で溢れかえる裏原宿に辿りついてしまったのだ。オシャレな店に、オシャレなカップル。その横を、修行から逃げてきた織田無道と必死に別所哲也の顔真似をする地井武男が歩く。我々だけを切り取れば、そこは巣鴨にしか見えない。しかし、現実は違う。周りを見渡せば、イケ男にイケ女。イケ田ダンはいないものの(正確にはダン池田)、そこは現代の最先端を行っている町だ。飯を食うと言っても、どこで食べればいいんだ???オシャレな店しかないじゃないか!!!どこに入ればいいんだ!!!私が織田裕二ならば、目薬を指して「キタッー」と発狂してしまう程の危うさだった。そんな時、織田無道(高級車は売り飛ばせ)先輩が「あの店入ろうよ」と言った。目をやると、そこには「あきよし」の文字が…。「あきよし」いかにもショーケンと仲悪そうな名前だ。そんなことはどうでもいい。私は嫌な予感がした。ドンキホーテで買えるような安っぽい旗で「定食 うまい」と書いてある。店構えからして、いかにも不味そうな店なのである。地方の錆びれたスナックが、とりあえず昼も営業している感じだ。いくら我々が脱走兵のような格好をしているかといって、せっかく原宿に来たのだから、もう少しマシな店で食事をしたい。しかし、先輩の言うことは絶対だ。皆さんも考えて欲しい。山本譲二が北島三郎の誘いを断れるだろうか。断れるはずがない。小金沢昇司が山本譲二の誘いを断れるだろうか。断れるはずがない。氷川きよしが小金沢昇司の誘いを断れるだろうか。断れる。仕方なく、私は「あきよし」に入った。:ガラガラガラ :いらっしゃいませ・・・・・・。入った瞬間、私と先輩は目を合わせた。「この店はヤバい」目と目で通じ合う、かすかにUN色っぽいだ。若旦那(やる気のなくした荒木大輔顔。なぜか板前姿)とママ(ちょっと悪そうな小森のおばちゃま=鶴ちゃんと仲良さそう)が出迎えたものの、調理場にしか電気が付いていない。奥の座敷は真っ暗なのだ。かろうじてカウンター席には、木漏れ日が入る。まあ、客が入ったんだから電気くらい付けるだろうと思い、カウンター席に座った。1分経過。3分経過。まるで動く気配がない。まあ、カウンター席は暗くないからいいんだけどさ・・・。しかし、ここで引き下がるわけにもいかない。我々は仕方なく、カウンターに座った。テーブルには、お箸とコップが置いてあった。んんん???私は目を疑った。家で鼻をかむティッシュの上にコップが乗っているのだ。「えっ…。普通ナプキンの上に乗せるもんじゃないの…?」まあ、そのくらいは許そうではないか。おおらかに行こう。私は木村一八ではないのだから。若旦那(ドッジボールで外野任されない顔)にお茶を注いでもらいながら、私と無道先輩(カールおじさん似)はメニューを選んだ。さんま定食800円、あじ定食800円。んうん、軒並み高い。まあ、値段は問題じゃない。美味しければいいのだ。私は、からあげ定食(800円)無道先輩(織田無道を優しくした感じなので、今後いがぐり一休さんに改名)は鴨うどん(800円)を頼んだ。我々は今日のラグビーの感想を述べ合いながら、食事を待っていた。すると、20代後半のカップルが店に入って来た。私はセーターにパーカー、その上にジャケットという1人南極物語を演じていたので、全く寒くなかったのだが、どうもこの部屋は寒いようだ。一休先輩も真緑のコートを脱いでいない。そのカップルは寒い素振りを見せた。普通の店なら、有無を言わず暖房を付けるはずだ。(普通は客がいようがいまいが、来た時寒さを感じさせないため付けとくはずだが)しかし、若旦那(板前姿になぜかジーパン着用)は、「寒いなら、暖房つけましょうか?」と聞いた。そこまでは、まだよかった。カップルは、ぎこちない素振りをしている。どうやら外国人らしく、言葉が通じない。すると、言葉が通じないのをいいことに、若旦那は暖房を付けるのをやめた・・・。なんてセコイんだ・・・。ツルセコ・・・。調理場に戻った若旦那(相撲部入ったら3日で辞めます顔)は、ママに言った。「ママ、出番だよ」???すると、ママは韓国人カップルに向かって「ホットヌードル?ドライフィッシュ?ボイルフィッシュ?」と話し掛けた。韓国人は苦笑いしている。一切言葉を発さない。ママの英語は通じていない。「お待ちどうさまでーす」そうこうしている内に、私の頼んだから揚げ定食が届いた。私は、からあげにソースをかける主義なので、目の前にあるソースを取った。「ん?ウスターソースか」仕方ないので、右隣にいる先輩のソースを取った。「ん?これもウスターか」仕方なく、私は左にあるソースを手にした。「これもウスター???」この店には、ウスターソースしか存在しなかった。中濃はないのかよ!!いくら洗い物が面倒くさいからって、全部ウスターにしなくても・・・。いたよ、実写版ツルピカはげ丸が。仕方なく、私はウスターソースでから揚げを食べた。「中身が・・・焼けてない・・・」からあげは生焼けだった・・・。ぇぇぇぇぇぇ…。お口直しに、とキャベツをほおばった。ニガイ・・・。キャベツガニガイ。カラアゲハヤケテナイ。ウスターソースシカオイテイナイ。ゴハンハヒカラビテル。アキラカニキノウノノコリ。ママハエイゴガトクイ。ワカダンナハ,イタマエスガタナノニ,シタニジーパンハイテル。イノウエワカノオッパイモミタイ。ああ・・・。私が途方に暮れている間に、若旦那(将棋は弱いがハサミ将棋も弱い顔)が、先輩(水木一郎と仲良くなりそう顔)に鴨うどんを運んできた。「アチッアチッ、アチ!アチチチッ!!」アチアチいいながら、うどん持ってくる店員初めて見たよ・・・。綺麗な指してたんだね 知らなかったよ・・・。そんなに熱いなら、手袋して持ってくればいいじゃない・・・。「火の中の栗を拾え」と言ったら、本当に拾いに行って死にそうだね、あなた。ことわざを地で行ってるよ、若旦那・・・。そんな冷めた目で見ている場合じゃない。私は目の前にある敵と戦わなければいけないのだ。ウスターソースのかかった生焼けから揚げを食べなければ・・・。しかし、あまりにも油っぽい。私は、水を頼んだ。すると、なぜか若旦那はカウンターにあるボトルを冷蔵庫にしまい、新しいボトルを出してきた。え・・・ぬるい水を出しっぱなしにしてたの・・・。まあ、いいや、早く水飲みたいなあ。「失礼します! ああっああああぁぁぁ、、、すいません」若旦那は水をこぼした・・・。あんた、この店以外じゃ生きて行けないよ・・・。なんで最初からボトルの口開けてるの・・・。普通、閉めとくもんなんじゃ・・・。若旦那は、私に水を注ぐことなく調理場へ戻った。じゃあ何で、ボトルの口開けといたんだろう・・・。調理場ではママが「ライス?ライス?」と得意げな顔で言っている。韓国人に話し掛けているのではない。先程の英語に満足したのだろう。独り言だ。それにしても、、「ママ、出番だよ」と言われた割には、英語力はそれほどでも・・・。ってかさ、「ママ、出番だよ」って、一体何???いけない、いけない。早く水飲もう。私は、若旦那が置いていったコップに目をやった。キ・タ・ナ・イ・・・。人の唇の跡がコップを覆う。明らかに洗ってないじゃん・・・。私は仕方なく熱いお茶を飲み干し、そのコップに水を入れて飲んだ。から揚げ、ごはん、キャベツ・・・。今まで、この3種類を食べたけど、今飲んだ水が一番美味しかったかな・・・。やっぱり、ちゃんと冷やしてるだけのことはあるね・・・。部屋にはテレビが付いていた。いつもなら「料理作りに集中しろよ!」といいたくなる所だが、今日はもう諦めている。私は若旦那とママの会話を聞いてみた。ママ「母さん失踪してるみたいだけど、見つかるの?」どうやら、失踪した母親を捜すという感動番組を見ているようだ。若旦那「テロップに再会って書いてあるから大丈夫だよ」あらら、水こぼす割りにそんな所は冷静なのね。。。ママ「本当に逢えるの?」若旦那「今4時25分だから、あと30分あるから大丈夫だって」なんだ、その水戸黄門的見方は。そうこうしている内に、韓国人のお客さんの料理ができたようだ。カウンター越しに持っていけばいいのに、若旦那は、わざわざカウンターを出て、直接持っていった。「アチッアチッ、アチチチオチオ!!」愛想尽かしちゃうなあ。私は言いたい。「ママ、出番だよ」やっとの思いで、から揚げ定食を食べ終わった。お勘定の前に、私はトイレに行った。ドアを見ると、ガムテープの上に「TOILET」と書いてある。手抜き。。。お勘定を済ませ、我々は外に出ていった。「ありがとうございます!!」「またお越しください!!」「ありがとうございます!!」「またお越しください!!」深々と頭を下げられ、2人に2回ずつ言われた。こんなに心に響く「またお越しください」は初めて聞いた。また行こう。ネタ探しに。。。ないものはない!お買い物なら楽天市場シエ藤HP http://siefuji.hp.infoseek.co.jp/siefuji.dance.dance.dance.htm